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89話 兄のいる時間 サンキ

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。

「ポチ! もっと早く飛ぶデス!!」


「姉御、無茶言わないでくださいよ。これ以上スピード出したら兄貴の体に悪いですぜ」


「ポチがしっかり結界を張っていれば無問題デス!!」


「へいへい……それじゃ、行きますぜ」


「うおおおおおお!! 気持ちいいデスね兄様!!」


「……」


 サンキはポチことジェネシスドラゴンの背中に乗っていた。もちろんポチはドラゴンモードだ。


 サンキの前にはルドが抱えられている。


「ここで急降下デス!!」


「いくら結界があるっていっても兄貴の体に障りますって!! ゆっくりおりますぜ」


 空から地面に向かって徐々に降下するポチ。

 2人と1匹が辿り着いた場所は、初めてサンキがルドに必殺技を披露した場所だった。


「ひえぇ〜〜これは姉御が?」


「そうデス!! 兄様に初めて必殺技を披露した跡デス!!」


 山が抉られていて、見る人が見れば神秘にも感じる景色が広がっている山奥だ。


「それで、なんで今日はここに?」


「もう一度披露するデス!!」


「……えっと、なんて?」


「む、もう一度披露すると言ったデス! 兄様との思い出を再現することで兄様の魂を刺激してみるデス!!」


「そうですか……え? もう一個山を抉るんですか!?」


「再現なのでもちろんデス!!」


 前回必殺技を放った山とは別の山に向かって構えるサンキ。そして——


「アルティメット・カタストロフィ!!」


 前回同様山を貫通してどこまでも伸びる光。

 光が収まると、正面には円状に抉られた二つの山。


「姉御……前よりでっかくねぇですか?」


「もちろんデス! 私も日々研鑽してるデス!」


「……」


「どうデスか兄様! 何かグッとくるものがありますデスか!?」


「……」


 サンキとは長い手錠で繋がれているが、必殺技を出す際に隣にいたせいか、ルドの髪はグチャグチャに崩れていた。


「姉御……やっぱダメみたいっすね……あぁあ兄貴の髪がぐちゃぐちゃですよ」


「むむぅ……次デス!!」


「え!? まだやるんですか姉御!?」


 そう言ってルドを抱き上げるサンキ。首でポチに合図をする。"早くドラゴンになれよ"と。


「はぁ……へいへいわかりましたよ」


 ドラゴンモードに変身するポチ。サンキはルドを抱えたまま飛び上がり、ポチの背中に乗った。


「レッツ、ゴーデス!!」


「しっかり兄貴を抱えていてくださいよ〜」



 ———————————————————————



「次はここデス!!」


「海以外は何も無いですぜ?」


「……」


「海を割るデス!!」


「……姉御、頭打っちまったんですか?」


 ポチのツッコミなどお構いなしに必殺技の構えを取るサンキ。


「姉御!! 兄貴にあまり影響ないようにしてくださいよ!!」


「わかってるデス!! はぁぁぁああああああ!!」


 必殺技のために力を貯めるサンキ。そして——


「アルティメット・カタストロフィ!!」


 海に向かって放たれたサンキの必殺技は、前回同様水面を抉りながら水平線まで伸びた。


 やがて光が収まると、モーゼのように海が戻る……と思いきや、海が戻らないで抉られたまま残っていた。


「これは……何をしたんですか姉御!?」


「ちょっと凍らせてみたデス! 成長した姿で刺激してみたです!!」


 少しして、水の圧によって崩れる氷。


「ん〜もうちょっと保つかとおもったデス」


「いや充分ですって……」


「どうデスか兄様? 私も成長したデスか?」


「……」


「姉御……きっと兄貴にも姉御の思いは届いてますよ」


「そう……デスね……もう遅いので帰るデス……」


「姉御……そうですね」


 そういってドラゴンモードになるポチ。

 サンキはルドを抱えてポチが下げてくれた翼から、歩いてポチに乗る。


 帰りはポチが気を使ってゆっくりの速度で飛んでいた。


「姉御、兄貴はきっと戻ってきます」


「そうデスね……」


「それとも、姉御は兄貴の強さを信じてないんですか?」


「そんなこと無いデス!! 兄様は最強デス!!」


「そういうことっすよ。最強の兄貴がこのままサヨナラなんてことはないっすよ」


「そうデス!! 今は休んでるだけデス!! 兄様! 肩を揉んであげるデス!!」


「……」


「全く、上がったり下がったり大変な人だなぁ」


長い作品になりますので、よければ【ブックマーク】してお楽しみください。

またページ下部の【☆マークで評価】していただけると、ハジけるほど喜びます。

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