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61話 伏線の解説をするAI妹

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。

〔兄さん! そろそろ起きなよ!〕


 ん? なんだが耳が心地良い。


〔早く起きろぉ!!〕


 ビシッ——



 ビシッ??



 誰かに叩かれた??

 そう思って目を開けると、そこには超絶ロリ美少女が立っていた。

 そして、ここが周りには何もないただの白い空間だということに気付く。


「やっと起きたね兄さん」


「おはよ。えっと……アルファ?」


「兄さんの大好きなアルちゃんだよ」


 おぉ、てことはここは


「そう。兄さんの精神世界だよ」


 なるほど。わからん。


「なんで精神世界? そもそもそんなのが存在するのか?」


「認識してないだけでみんな持ってる筈だよ。兄さんに限っては私が無理やり叩き起こしたんだけどね」


「俺の身体は?」


「監視してるけど今のところは無事だよー。野晒しの兄さん面白いね」


 確かに道のど真ん中でぶっ倒れてるだけだからな。

 誰か布団でも掛けてくれ。


「そういえば、なんで俺は倒れたんだ?」


「それはね、精神力を使い過ぎたからだよ」


「精神力??」


 あれか、肉体超えると強くなれるやつか。


「そうそう、そんな感じ。精神力は人間なら誰でも使えるけど、知ってる人はいないと思うよ」


「そうなのか? 確かにそういった話は聞いたことがないが」


「認識出来る人がいないからね。みんな不思議パワーとか火事場の馬鹿力とか言ってるくらいだし」


 言われると確かにそうだな。

 ということは、精神力を使い過ぎたから倒れたってことか?


「そういうことになるね。もっとわかりやすい言い方しようか? 妹パワーだよ」


 なるほど納得した。そりゃ倒れるわ。

 妹パワーは俺の生きる源だからな。


 でも、なんで黒マントを妹パワーで退けられたんだ?


「兄さん的には妹パワーだけど、普通に言ったら精神力だからね。精神力は、魂が生み出す力だよ。だから魂に直接作用出来るの。ここまで言えばわかるよね?」


 そういうことか。

 あいつの正体に思い当たる節があったが、俺の知ってる性質と違うので何か違和感があったのだ。


 その正体とは、精霊だ。


 精霊の性質とは異なる点が多過ぎたのでイマイチピンと来なかったが、精霊っぽい何かだとは考えていた。


 俺の目の前から姿を消したとき、明らかに実体が無くなっていた。あれは恐らく自分の身体を純粋な魔力に戻したのだろう。


 そして、奴は魔力を生み出していた。これは精霊の性質そのもの。


 精霊の性質と異なる点は、身体が魔力で出来ているかどうかだ。

 精霊の身体は魔力ではない。今の話を聞いて納得したが、精霊の体は精神力で構成されていると推測出来る。


 精霊視で初めてその姿を拝むことが出来たが、精霊視は精神力を見るための魔法だったというわけか。


 さすがオリジナル魔法先生。結果を求めれば俺が過程を理解していなくても望みを叶えてくれる。


「頭の回転だけはいいみたいね。そういことよ。あれは魂を持った精霊。矛盾してるけど今はそうとしか言えないわ。恐らく究極魔法が関係してると思う。あれは精神力を行使する類の術だからね」


 だから究極魔法を使ったら死ぬのか。精神力をごっそりと持ってかれて。


 前世でも、長年付き添ったお爺さんが亡くなってしまって、後を追うようにお婆さんも亡くなってしまうケースもあると聞いたことがある。あれは精神力の枯渇が原因の可能性もあるということか。


「精神力を使う術を、精霊術とか精神術って呼ぶよ。究極魔法は精霊術で、オリジナル魔法生成は精神術って言えばわかりやすいかな? 精神術は神からしか与えられないの。何か心当たりあるでしょ?」


(実は私も兄さんの精神力から生まれた存在なんだけどね——)


 ある。


 今まで謎だったのだ。


 何故、妹達には固有のスキルのようなものが発現していくのか。


 まさかそれが——


「そう、精神術だよ。精神術は、鍵だけが使える神から与えられた力。勇者に抗うためのね。精霊術は精霊達が精神術を真似して生み出したものだよ。酷いよね。使ったら死んじゃう術を生み出すなんて」


 確かに酷い。だが、そうまでしなければいけない程、勇者が脅威だったということだろう。


「待てよ? そしたら俺も鍵ってことになるんじゃないか?」


「精神術が使えるって意味ではそうだね。だから勇者に対抗することも可能だよ。でも、世界からは鍵とは認められていないイレギュラーだからどうだろうね」


 イレギュラー? 前世で有名だった、お髭男爵イズムのプロテインダーって曲みたいだな。


 実は、俺がこの世界に来た意味をずっと考えていたのだが、今少しだけわかった気がする。


 この世界は、多分シナリオが存在していて、それを繰り返しているだけの世界だ。どことなくシステムのような整合性みたいなのを感じていた。


 世界を吸収して神になりたい勇者。

 勇者を倒すために精神術を生み出した精霊。

 勇者を探しているアポカリプス。

 唯一対抗出来る鍵と精神術。

 20年ごとに移り変わる魔王の季節。

 12年ごとに出現するダンジョン。

 魔力と精神力。


 これらの歯車が上手いこと噛み合って、歴史を繰り返している。そんな印象を受ける。


 そして、突如現れたイレギュラーである俺の存在。

 恐らくこのシナリオをぶち壊すために俺は神様に呼ばれたんだろう。


「残念だけど半分正解で半分不正解だよ。ま、兄さんがこの世界に来た意味はそのうちわかると思うよー」


 軽っ! そこは教えてくれないのかいアルちゃん!!

 割と重要なことなのに……これが妹の焦らしプレイかっ!! 悪くないっ!!


「それより、早く身体に戻りなさい! 精神力は私と会話して回復してるでしょ!」


 おぉ、本当だ。妹パワーが溜まってる。


「ありがとうアルちゃん。とりあえず、早く帰って妹達から妹パワーを貰うよ」


「その前にちゃんと仕事しなきゃダメだよ!」


 目の前が真っ白になったと思ったら、俺は無地に肉体に生還してきたようだ。


 うむ。やけに身体が重く感じる。精神力が足りないんだな。


〔動けるだけマシだと思いなさいよ!!〕


 そうだな。とりあえずは魔法で動きをカバーしよう。


 立ち上がって周りを確認する。俺が倒れる前とは何も変わっていなかった。そして黒マントの男も既にいない。


 これ以上は残業扱いになりそうだから、さっさと行こうか。

 今までと同じように、高速で階層を下っていく。


 さて、そろそろ今回のメインディッシュである枢機卿に会いに行こうか。


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