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37話 兄、卒業

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。

 

 家を買って妹達と暮らし始めてから、3年の月日が流れた。

 今日、俺は魔法学校を卒業する。


 この3年間は平和で幸せな毎日だった。

 日々成長していく妹達を見守る。大きくなるにつれて大人の女性の魅力がどんどん溢れてくる妹達を見て、俺は日々理性と戦闘を繰り返していた。


「それじゃ、行こうか」


 この3年で少しばかり住み慣れた家のエントランスで、俺は妹達に声をかける。

 学生生活、最後の登校だ。


「はい。行きましょう兄上」


 イクスはプラチナ色の髪をお尻の位置まで伸ばしている。

 15歳になったイクスは、前から魅力的だった体が80レベルくらいレベルアップしていた。

 それはもう、かの有名な魅惑の女スパイに負けずとも劣らないスタイルだ。

 性格も大胆になり、そのおかげか騎士団でも頭角を現した。現在は第一部隊の隊長を任されていている。


「一緒に登校するのは最後ですわね。感慨深いですわ」


 ジーコは、相変わらず赤髪ツインテールだ。

 大人の女性にはまだ遠いものの、小悪魔的な魅力とあざとさを持ち合わせる女性になっている。

 胸は相変わらずだが、小振りなお尻が可愛い。

 興奮すると妄想モードに突入するようになった。


「寂しくなるデス……」


 サンキは元々黄土色だった髪から、少し黄色みが無くなってオレンジブラウンのような色になっている。

 体付きは筋肉質寄りであるものの、女性の肉もしっかりとついておりアスリートの様な美ボディになっていた。

 語尾のデスは相変わらず抜けない。


「あたり……まえに……なって……ました……」


 シロも変わらず緑色の髪で、髪型もナチュラルボブ。

 胸はジーコより少し大きい程度で、可愛らしい膨らみがあった。

 変わったことといえば、読書の時に眼鏡を掛けるようになったことか。

 眼鏡バージョンのシロの可愛さは半端ない。


「寂しくなるよねぇ。私達はあと3年かぁ」


 ウドも水色のウェーブ掛かったセミロング。

 いつのまにか毒舌キャラを卒業したみたいだ。

 体付きは妹達の中でも一番平均的で、健康的かつ年頃の女の子といった成長をしていた。

 ただ、最近は俺が訓練と称して始めさせたバンドのおかげで校内に一定数ファンがいるらしい。確か"奇跡の歌声"と言われていた。


 ちなみに俺にはまだ聞かせてくれない。「まだ納得のいく完成度じゃないからね!」といつも言われてしまう。寂しい。


「そうですわね。ですが3年なんてあっという間ですわ!」


「すぐにお兄様に追いついてみせますわ!」


 ロッカとチセも変わらず金髪ショート。変わった事と言えば、イヤリングを付け始めた。今はロッカが右耳にイヤリング、チセが左耳にイヤリングをつけている。

 なんか合体出来そうだが、そんなことにはならない。ならないと思う。たぶん。

 体付きはウドより少し胸が大きいくらいだが、所作に磨きがかかっていて、いろいろと美しい。歩き方とか仕草とか。

 ちなみにチセ、俺の歳に追いつくのは多分不可能だぞ。オリジナル魔法先生に頼まない限りな。


「ルドと最後……おんぶする?」


 ハーピ、おんぶは大丈夫だよ。

 ハーピは薄ピンク色の髪を伸ばしている。寝癖があるのは相変わらずだ。

 体付きについては、もう語る必要がないだろう。

 頭一つ抜きん出てるなんてヌルくはない。エベレストだ。

 最近はずっと寝ているとうことは無くなり、兄妹が普段何をしているのかに興味が湧いてきたみたいで、いつも誰かにくっついて回っている。


「そういえばお兄ちゃん、卒業したら何するかそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」


 キュウカは少し前から、髪型をポニーテールに変えていた。

 うなじがヤバい。見ていると引き込まれてしまう。なんで女性のうなじはこんなにすごい魅力があるんだろうか。もはや魔力だ。

 肌の白さも相変わらずで、胸もイクスの次くらいにあるため美しさを極めたと言っても過言ではない。


「それについては、もう少し待ってくれ。色々と考えていてな」


 実は卒業してからの進路を、妹達には秘密にしていた。

 キュウカは常に俺を監視しているが、進路についての話をするときは完全に妨害して、わからないように徹底した。

 少しサプライズがしたくてな。


 妹達と、学生最後の登校を満喫する。

 3年で見慣れた景色も、今日だけは色が少し鮮やかに見えた。


 いろいろな思い出を話しながら歩くと、時間は一瞬で過ぎ去っていく。

 誰かが加速魔法でも使っているんじゃないかと思うくらいに、早く学園に到着してしまった。


「それじゃお兄ちゃん、最後の晴れ姿しっかり見ているからね」


「私も! しっかり……見ていますわ」


 ジーコが早くも泣きそうになっている。


「あぁ、ちゃんと見ていてくれ。父上と母上の分も」


 俺はジーコの頭に手を乗せて言う。

 魔法学園の卒業式では、親族の参列は行われない。

 卒業して初めて国の魔術師として認められ、それを親に報告に行くのが風習となっているためだ。


 俺と妹達は、魔法学園の校門で別れた。妹達はこのまま武道館へ向かい、俺は教室へ向かう。


「シスハーレ君、おはよう」


「おはようございます。クラウス嬢」


「おはようございます! シスハーレさん!」


「マインもおはよう」


 教室に着くと、入学してからずっと一緒だったクラウスさんとマインに迎えられた。幼馴染でずっと一緒だったが、今日で二人ともお別れだ。

 二人とも卒業したら魔術団に入団するらしい。


「今日の卒業生代表挨拶、緊張していませんか?」


「えぇ。生徒会長を3年連続でやらせて頂いたので、慣れてしまいました」


「シスハーレさんの勇姿を見れるのも今日で最後ですか……本当に僕はずっと憧れていました!」


「ありがとう、マイン。でもこれからはマインもその姿を下の世代に見せていくんだからな」


 俺達が話していると、卒業生は武道館に来るようにとアナウンスが入る。

 共に過ごした仲間達と移動し、武道館に入場して式が執り行われる。


 残念ながら前世みたいに歌を歌ったりということはない。

 それでも一生に一度の経験だ。一度死んで転生した俺にとって、一生に一度とはすごく尊いことだ。


「卒業生答辞、代表ルド・シスハーレ、前へ」


「はい」


 名前を呼ばれたので、返事をして壇上に上がる。

 会場を見渡すと、2階席で俺の姿を見つめる愛しい妹達の姿が目に入った。

 これが学生生活、最後のかっこいい姿だ。

 妹達にも、ここにいるお世話になった全ての人にも届く様に、俺は感謝の答辞を述べた。



 ————————————————————————



 卒業式が終わってからは凄かった。

 まず、後輩達に囲まれて花を渡されたり、握手を求められたりと、とにかく動けない。帰る頃には陽が落ちていた。


 帰ってからは妹達に加えて、アル、コル、リン、マル、シームのメイド妹達とメイド長のユナさんがみんなで卒業祝いパーティーをしてくれた。


 メイド妹達もあれから成長した。昔の妹達を見ているようですごく癒される。


 ちなみに家には手紙が添えられた大きな花が届けられていた。送り主はアーシェ。今度お礼を言いに行かないといけないな。


 卒業祝いパーティーは夜までみんなでどんちゃん騒ぎ。

 トランプで白熱したり、クイズ大会もやった。


 寝る時も妹達と一緒。


 そろそろ本当に理性がぶっ飛ぶ。

 最近イクスやジーコあたりが際どい下着を見せびらかしてくるので冗談じゃなくヤバい。賢者時間魔法がなかったら完全理性に飲み込まれていただろう。



 次の日の朝は、普通に妹達を見送る。

 卒業式の次の日でも、魔法学園は通常営業だ。


 俺も既に決まっている職場に行かなければならない。


「それじゃ、行って来ます」


「いってらっしゃい、ルド様」


「「「「「いってらっしゃい、お兄様!」」」」」


 俺は仕事先の自分の机に転移し、他の職員に挨拶をする。

 その後、仕事は別の場所で行うためその準備をして移動。


 仕事は慣れるまではツーマンセルで行うらしい。

 俺は先輩の後に続いて歩く。


 目的地の部屋に到着すると先輩が先に部屋に入ったため、俺も後に続く。


 部屋に入って最初にやる仕事は挨拶だ。


「皆さん、おはようございます。今日からこのクラスの担任になったルド・シスハーレです」


「兄上!?」


「兄様!?」


「兄様デス!!」


「にぃ……さま……」


「兄さん!?」


「「お兄様!!」」


「お兄ちゃん!?」


 どうやらこの反応、サプライズに成功したみたいだな。

 俺は魔法学園を卒業し、魔法学園の教師になった。妹達のクラスの担任に。


 いろいろと訳があるのだが、一番はやはり妹達のそばにいたいからだ。

 俺にとってそれ以上に優先するべきことは無いからな。

 領主? まだまだ現役バリバリの父さんに任せておけば大丈夫だ。



「さぁ、みんな席について、出席をとるよ」



 俺と妹達の、新たな学園生活が始まる——


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