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34話 妹と住む家を買うため博打をする

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。


 昨日は妹達が、孤児院の子供達と触れ合った。

 孤児院には、先日助けた5人のこの他にも10人の子供達が居て、最終的にはみんな外に出て遊んでいた。


 その時、孤児院の子達から「お姉ちゃん達の服かわいい!!」と言われていたので作った甲斐があった。なお、仮面は付けたままなのでまだ顔は晒していない。


 鬼ごっこやかくれんぼなど子供らしい遊びばかりだが、普段外から来客がほとんどないのですごく喜んでいたようだ。


 陽が傾いてくるというところまで遊ぶと、孤児院のユニから終わりを告げられる。

 みんな別れ惜しそうにしていたが、再会の約束をして帰宅した。


 帰宅後、妹達を交えて話し合った結果、毎日一人か二人で孤児院を訪れようという話になった。


 みんなすっかりお姉さんになっている。姉属性を手に入れたようだ。

 9つ子なのでみんなの中に姉や妹といった概念はほとんど無いからな。


 そして今日。

 俺はとある場所に来ていた。


「いらっしゃいませ。本日は物件をお探しで?」


 そう。それは前世で言うところの不動産だ。

 なぜ今不動産に来たかと言うと、もちろん今後住む予定の家を決めるためだ。


 実は前から寮を出ることを考えていた。

 何故かって? それはもちろん妹達と一緒に暮らしたいからだ。


 ということで家を探していたのだが、どうせなら昨日会った5人の子達を見習いメイドとして雇おうかと思って、今日は別の不動産を探しに来ていた。


 妹達も今後について心配していたしな。責任感の強い子達だ。


 そうなると、当初の予定とは違ってくる。住む人が10人から15人に増えたわけだし。相当大きい家を探さなければいけない。かつ学園からも近い位置。


「はい。15人程度で住める家で、学園から近いところがいいのですが」


「それでしたら……こちらなんてのはどうでしょうか?」


 俺が手渡された資料に写っていたのは、立派な豪邸だった。


「そちらの物件なのですが、先日急死なされた宰相殿の物です。宰相殿は複数の家をお持ちでしたが、独り身でしたので国から売りに出していいと許可が出まして。元々あった宰相殿の私物は国の方で回収済みです。しかし不気味なのかどなたにも不評なのですよ……最悪取り潰して別の家を建てようかと考えておりました」


 土地も広く、これなら3軒から4軒くらい家が建ってもおかしく無い広さだ。

 急死したことから不気味がられているが、別にここで死んだわけじゃ無いので関係ないと思う。問題は風評の方だろうな。


 だが、風評なんて一時の物だ。時間が経てば無くなるだろう。

 そうなるとこの規模の土地を手に入れられるのは今だけということになる。


「こちらは、土地込みで建物を買って、建物を新しくしても問題は無いのですか?」


「もちろん、ご購入後はお客様の好きにして頂いて構いません」


 さすがに宰相が生活していた空間で暮らすのは抵抗がする。あまりいい気分ではないな。

 これはオリジナル魔法先生にお願いして、建物を変えてしまった方が良さそうだ。


「この土地はいくらですか?」


「はい。こちらは金貨1万5000枚、白金貨だと1500枚となっております」


 金貨1万5000枚。


 この世界の通貨は、銅貨、大銅貨、銀貨、金貨、白金貨とあって、銅貨が日本の10円、大銅貨が日本の100円、銀が日本の1,000円貨、金貨が日本の10,000円、白金貨が日本の100,000円と同じくらいの価値になっている。


 日本円で言うと1億5000万。高く感じるかもしれないが、王都の中央付近でこの大きさの時と建物込みならば相当安い。


 あまりに反応が悪いので大分安くしているはずだ。


 俺の今の手持ちは、約金貨1000枚。

 これは学園生活中に狩った魔獣の素材を売って手に入れたお金だ。


「わかりました。それでは現金を取ってきますので少し待っていて頂いてもいいですか?」


「そ、即決ですか? いえ……有難いのですが……わかりました。それではお待ちしております」


 建物も見てないから驚くのも無理はない。立て直す建物なんて見る必要無いしな。


 さて、あとは不足している金貨1万4000枚をどう入手するかだが、これに関しては既に決めている。


 実はこの世界には、簡単にお金を増やせる方法が存在する。

 それは、もちろん"カジノ"だ。


 神様がこういう文化をもたらしてるとは意外だったが、カジノ大国というものが存在している。どの世界でもギャンブルは大人気だ。


 俺はとりあえずカジノ大国"シシ王国"へと転移する。


 シシ王国の王都には、中央に大きなカジノ施設がある。王城は王都の一番奥にあるが、カジノ施設の方が大きい。


 世界一金が動く国とも言われ、国のお金のほとんどはカジノからの売上なのだとか、王族がカジノを経営してるだとか、様々な憶測が飛び交っているが真実は定かではない。俺もわざわざ調べてまで知りたい事でもない。


 行商人も多く訪れるため街に活気もある。人と金が入り混じっている国だ。

 カジノは年中無休で一日中営業していて、建物も街もビガビガ光り続けていることから、眠らない街とも呼ばれている。


 早速、俺は目的地のカジノ施設へと入場する。


 カジノ施設の中には、さまざまな遊び場が存在する。

 ポーカー、ブラックジャックなどトランプを使ったギャンブルが人気だ。


 だが、今回の目的は既に決まっている。

 それは、ルーレットだ。


 他にも様々なギャンブルが存在するが、これが手っ取り早くお金を増やせるだろう。


 ルーレットは、ディーラーと呼ばれる人が回転盤にボールを投げ入れて、ボールがどこに止まるのかを当てるもの。

 回転盤には38個の数字が書かれたポケットが存在していて、参加者はボールがどのポケットに入るかを予想するのだ。


 賭け方は複数存在していて、例えば偶数に止まる、高い数字の止まるなど、賭け方によって配当が決まる。


 今回俺が狙うのは、一番配当が高い1点ピンポイント掛け。ストレートアップと呼ばれるもので、当たれば36倍になる。


「ゲームに参加致しますか?」


「はい。空いていますか?」


「こちらの席へどうぞ。チップの交換は必要ですか?」


「お願いします。この金貨1000枚で」


「畏まりました。チップの内訳は、どういたしますか?」


 カジノをする時は現金をチップに交換する。

 現金だと嵩張るからな。金貨100枚チップとか金貨10枚チップなど種類は豊富だ。


「金貨1000枚チップを1枚で。今日は当たりそうな気がするんですよ」


「そうですか……幸運を祈ります」


 ディーラーさんも不思議そうにしている。

 そりゃ金貨1000枚渡して金貨1000枚チップに替える馬鹿なんて普通いないからな。普通は金貨100枚を数枚と金貨10枚を数枚とか分けて交換する。


 さて、本番はここからだ。


 実はこのカジノ、不正対策を結構しっかり行なっている。

 まず台やボールや回転盤への魔法干渉を検知するため、こういった道具に魔法で不正をすることは出来ない。

 その上この空間自体にも魔法を検知する効果がある。カジノ内では、魔法を使うとそれだけで捕まる。


 ではどうすれば良いか?

 俺はとりあえず交換してもらったチップを"9"と書かれた場所に置く。

 これで俺は9の数字が当たりだと予想したことになる。


 俺が賭けたのを確認したディーラーは、回転盤にボールを投げ入れた。


 ボールが止まるのを待つ事数秒。ボールが9のポケットに入る。


「お、おめでとうございます。こちら、金貨1000枚チップ36枚です。ゲームを続行しますか?」


「ありがとうございます。いや、やはり運が良かった。今日は運を使い切ってしまったみたいなので、これで辞めておきます」


 俺はそう伝えて席を立つ。

 チップは換金所で現金に交換することが出来るので、交換することにした。


「こちら、金貨3万6000枚です」


 俺は金貨3万6000枚が入った袋を受け取り、そのままカジノを出る。

 若干怪しまれる要素もあるが、俺は一切不正はしていない。カジノ内ではな。


 実はカジノに入る前に、とある魔法を使った。それは"未来予知"。

 ハーピほど遠い未来が見えるわけでは無いが、10分先くらいまでなら見ることが出来る。


 誰にでも出来る簡単な不正だ。みんなも試してみて欲しい。

 未来を予知してギャンブル。負けるはずがない。もはやギャンブルで勝った感覚ではなく、銀行からお金を引き出した気分だ。


 未来予知の効果が切れてしまうため一度で終了してしまったが、怪しまれない限り何度でも使えそうだな。金貨3万6000枚くらいであれば、この規模のカジノだと平気で動く金額だ。もっとハイレートになると白金貨10万枚単位でお金が動いたりするし。


 お金に困ったらまたシシ王国に来よう。


 俺は大金を持って、先程の不動産の元へ転移した。


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