12話 妹達と魔法競技大会の特訓
ここで話すことじゃないかもしれませんが、カクヨムさんの異世界ファンタジージャンルで、デイリーランキングで、237位になりました。皆さんのお陰です。記念に連投稿してます。
魔法競技大会の時期がやってきた。
魔法競技大会とは、前世でいうところのスポーツ大会みたいなものだ。
内容も、なんとびっくり地球と似たような球技。
あの女神様も地球がお好きなようだ。
俺は妹達と、学園から少し離れた草原に来ていた。
何故かと言うと、
「よし、それじゃ魔法競技大会に向けて魔法野球の特訓をするぞ」
「「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」」
「ふあぁ」
そう。妹達の特訓に付き合うためだ。
妹達は、息ピッタリな返事をする。若干一名あくびだったが。
妹達は、9人ピッタリなので魔法野球の競技に出場する。
「まずは普通のノックからだ。広がって配置についてくれ」
妹達は、自分のポジションへ移動する。
ほら、ハーピも行くんだよ。
さて、妹達が配置に着いたところで俺は早速ノックを始める。
ふむ。イクスとサンキは流石だな。身体能力抜群なので、どんな球でも捕れる。
ジーコはボチボチであるが、返球が正確で力強い。これはピッチャーにピッタリだ。
ウドとキュウカも問題なくこなしている。
ロッカとチセは、コンビネーションが凄い。ダブルプレーとか出来そうだ。
問題はシロとハーピか……
ハーピはやる時はやる子だから今はいいだろう。
シロは……そうだな。少しアドバイスをしよう。
「シロ、常に目に視覚魔法を掛けておくんだ。球の軌道が読めるようになる。あと、球が飛んできたら重力魔法で無理やり地面に落としてしまうといい」
「わかり……ました……!」
そう。魔法野球なので真面目にやる必要はない。
それぞれの特性を活かしたプレーをすればいいのだ。
さて、
「よし、ハーピ以外は大丈夫そうだな。ハーピはまぁ、本番になれば力を発揮してくれるだろう。そろそろ"魔法ノック"いくぞ?」
「兄上の魔法ノック……必ず受け止めてみせます!」
「バッチコーイ!!」
イクスとサンキはノリノリだ。
魔法ノックとは、そのままの意味だ。
魔法野球では、バッターも魔法を使って球を打ち返してくる。
そのため、球には魔法効果がかかっているのだ。
守備はこの魔法効果を適切に判断して、捕球しなければならない。
一応、魔法の訓練にもなる競技という訳だ。
「まずは、イクス。いくぞ」
そう言って俺は、加速魔法を使用してノックする。
打ち出された球は、外野付近にいるイクスに向かって直線的な軌道で飛ぶ。
イクスは身体強化魔法を使うと、鞘のまま剣を手に握る。
「一の太刀、"打ち上げ花火"!!」
なんとイクスは飛んできた球を上に打ち上げた。
上空に高く上がった球は、勢いが無くなるとそのまま落ちてくる。
イクスはそれを難なくキャッチした。
「兄上! 捕れました!!」
流石だな。勢いを上手く流して捕るとは。
「よくやった。次はサンキ!」
「キタキタ!」
サンキには、超高弾道の球を打つ。
上空から高速で落ちてくる球にどう対処するかな?
すると、サンキは落下地点を瞬時に判断して移動し、正拳突きの構えを取って息を整える。
球が高速でサンキの元へ落ちる。さぁどうする?
「チェストォォォォ!!」
なんとサンキは落ちてきた球をそのまま殴った。
球は拳の前で勢いが殺されていく。そのまま動かなくなり、最後に落ちるところでサンキがキャッチ。
強すぎれば球をどこかに飛ばしてしまう可能性もあるが、力の加減までしっかり出来るとは。
「見事だサンキ。よし、次はロッカとチセだ」
「私達のコンビネーション、見せて差し上げますわ!」
「今こそ、ツイスターゲームの雪辱果たす時ですわ!」
ロッカはツイスターゲームでの出来事を根に持ってるみたいだな。
さて、今度はこれだ。
俺は幻影魔法で球を4つにして打ち出す。
「チセ、見極めをお願いしますわ!」
「もう見えてますわよ! ロッカ、右上の球ですわ!」
「任せて下さいまし! ウィンドウ!」
チセとロッカは、それぞれ連携をとって上手く対処した。
これを一瞬で出来るのは二人の強みだな。
そのうち言葉でのやり取りも必要無くなるだろう。
「よくやった二人とも。ジーコはピッチャーの予定だからお休みだ。次はシロ、いくぞ」
「私もいいとこ見せたかったですわ……」
「は……はい……!」
ジーコは少し残念そうにしている。が、ピッチャーでいいところを見せて貰おう。
俺はシロに向かって、変形魔法を施した球を、バウンドさせながら打つ。
歪んだ球は、ランダムな軌道を描きながらシロへと向かった。
「わ……え……えい……!」
シロは、飛んでくるボールに重力魔法を掛けて止める。ここまでは完璧だ。
「シロ! 地面に一度でも着いたボールを取ったときは、一塁に投げるんだ!」
そう。ここで投げれなければ、野球にならない。
さぁ、シロはどうする?
「……えい!」
シロが魔法を発動すると、なんと球が消えていた。そして、
「あれれ、ここにあるよー?」
なんと一塁にいるウドのグローブに球が収まっていた。
転移魔法か……天才では??
これアウトに出来ない奴いないんじゃないかな。
「とまっ……てる……球は……できる……よ……」
球が止まってれば転移でどこにでも移動出来ると。
一番不安要素であったが、一番強いかもしれない。
「シロ、転移魔法をその歳で使えるとはな。よく勉強していたな」
「にい……さまに……ほめられ……たくて……」
動機が可愛い!! 殺す気か!!
さぁ残るはウドとキュウカとハーピだが、ウドは一塁にいるため、基本は仲間からの捕球のみだ。
魔法野球では、わざわざ一塁側に打球を飛ばす奴はいないからな。飛んで行っても基本軌道を変える。
キュウカはキャッチーを担当してもらう予定だ。
「よし、それじゃジーコとキュウカのバッテリーも確認しておくか」
「やっと私の出番ですわね! 待ちくたびれましたわ!」
「ジーコ、お手柔らかにね」
ジーコとキュウカのコンビはあまり見たことがないな。これは新たな一面を見れて楽しいかもしれない。
ちなみにシロがピッチャーをして、転移魔法使えば負けないんじゃね? と考える輩もいそうなので言っておくが、俺は妹達が輝いてる姿を見たいのだ。そんなつまらんことはしない。
「よし、いつでも投げてきていいぞ」
「兄様!! 負けませんわよ!!」
まずは初球。ここは見逃そう。
ジーコは振りかぶって球を投げる。いいフォームだ。
投げるときに加速魔法を使ったか。コントロールも完璧だな。
そしてキュウカがしっかりとキャッチ。ナイスなバッテリーだ。
何も文句は無いが、魔法野球はそんなに甘く無いぞ?
「兄様、私の球を恐れて手も足も出ませんこと?」
「ジーコ、魔法野球ってやつを教えてあげよう」
ジーコがムキになって球を投げてくる。
今度はコースから大きく外れてるが、キュウカの的に戻ってくるように調整されているな。
ならば
「減速魔法、座標指定魔法」
俺はジーコの球を減速し、指定した場所に来るように魔法をかける。そしたらあら簡単、ただのノックになってしまった。
「ジーコ、相手に魔法をかける隙を与える球はダメだ。もう少し複雑な魔法で惑わさないとな。それとキュウカ。バッターが魔法を使ってるときは、キュウカが妨害魔法でサポートするんだ」
「さすが兄様ですわ……」
「お兄ちゃんには敵わないですね……」
そんなことないぞ。2人とも初めてのバッテリーにしてはいい出来だ。これなら魔法競技大会でもいい結果を期待出来そうだ。
「よし、今日の特訓はここまでにするか」
「ルド、私まだやってないよー」
ここで意外にもハーピから声がかかる。
なるほど、楽しそうにしてると混ざりたくなるもんな。
「よし、じゃあ最後にハーピのノックをやって終わろう。ハーピは外野でいいか?」
「わかったよー」
念のためハーピは外野にしておく。何があってもイクスが身体能力でカバーしてくれる筈だからな。
ハーピが外野に着いたところで、俺はまず、普通のノックを行った。
すると、適当にハーピ方向に打った球が、何故かハーピの元に吸い寄せられるじゃないですか。
そのまま難なくキャッチ。
なるほど、"手◯ゾーン"を使うか。
ならば!!
俺は続けて、加速魔法をかけた打球を打つ。
もちろん、後ろに向けてだ。
俺の打球は後ろに向かって、とんでもない速度で飛んでいくが、地面に落ちる寸前にハーピの元へ移動を始めた。
そのまま難なくキャッチ。
なるほど、効果範囲も申し分ないと。
ならば、今度はこの場でバウンドさせてみよう。
地面にバウンドさせる勢いで、先程シロにやったように変形魔法をかけながら打つ。
すると、球を打った瞬間、球が宙で浮いて止まっていた。
浮いている球はそのままハーピの元へ向かう。
何ということだ……
ハーピが本気を出したら試合にならない!!
一体どんな魔法を使っているんだ??
「ハーピ、凄いな。一体、何の魔法を使ったんだ?」
俺はハーピに近付いて聞いてみる。
「魔法は使ってないよー。夢で見ただけ」
夢で……見ただけ?
「あ、私が補足するね、お兄ちゃん。ハーピはね、夢で見たことを現実にする力があるんだって」
キュウカからとんでもない話しを聞いてしまった。
それ、なんていうチートですかっ!!
ハーピは、やる時はやる子なのです。
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感想もまだ着いていないで、是非書いてくれると妹達も喜びます。




