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103話 ただいま

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。

 家に帰ってきた日の夕方。エントランスで妹達が起きるのを待つ。

 その間、アルちゃんが作ってくれた資料を読んでいた。


 この資料には、俺が勇者に消されてから今までに起きたことが事細かに書かれていた。


 中でも気になるのは、神の位を得た物達とイクリプティク。


 急にキャラが増加して覚えきれないぞ。


 ちなみにアルちゃんは妹達の看病をしてくれている。

 俺の精神力を存分に使ってあげて欲しい。今までたくさん貰ったからな。


 大量の資料をある程度読み終えてふとテーブルを見ると、軽食のサンドイッチとクッキーが置かれていることに気付く。


 これは……メイド妹達の精神力を感じる。


 肉体を失ったことで黒マントの奴らと同じような存在になった俺は、精神力センサーなる物がいつの間にか備わっていた。


 そのセンサーから感じ取るに、このサンドイッチはコルが。

 クッキーはリンとマルとシームが作ってくれたようだ。


 夕食前ではあるが、折角作ってくれたので頂こう。


 サンドイッチは野菜が中心であっさりとした味わいだ。とても愛情を感じる。


 クッキーはかわいい猫の形をしていた。それぞれに個性が出てて面白い。一つ一つから優しさを感じる。


 どちらもメイド妹達がどんな顔で、どんな思いで作ってくれたかが伝わってくる物だった。


 心配をかけてしまったな。しっかりお礼を伝えよう。


 軽食を頂いたタイミングで、2階から駆け足の足音が聞こえてくる。


 この音の大きさとテンポは……イクスだな。


「兄上!!」


「イクス、ただいま」


 2階の踊り場から顔を出すイクス。そのまま階段を降りるかと思いきや、2階から俺の方に向かって飛び降りてきた。


 俺はイクスを受け止めてそのままお姫様抱っこをする。イクスの身体能力だからこそ出来るダイナミックお姫様抱っこだ。


「兄上!! よくご無事で……」


「ただいまイクス。心配かけてごめんね」


「いいのです……こうしてまた会えたのですから……」


 少し泣いているだろうか。イクスをそのままソファへと降ろし、溢れている涙を拭ってあげる。


 この涙は俺の罪だ。こんな涙は絶対にもう流させてはいけない。

 二度とこの涙を流させないと誓う。


 そうしていると、2階から足音が二つ聞こえてきた。


「兄様!!」


「兄さん!」


 階段を駆け降りて来るのはジーコとウドだ。


 ジーコはそのまま俺の胸に飛び込んできて、口付けをしてくれる。


「あ!! ジーコ!! 抜け駆けはずるい!!」


 ウドからクレームが入る。


「私はもう決めたのですわ!! 兄様が戻って来たら自重はしないと!!」


「それにしても、急すぎるでしょ!」


 二人でそんなことを話していると、イクスが立ち上がって俺に口付けをしてくれた。少し上唇をハムハムされる。やらしい。


「あ!! イクスまで!! 抜け駆けはダメでしょ!」


「ジーコがしたなら私がしてもいいだろう!!」


「むぅ……交代だよ!!」


 そう言ってウド唇を重ねてくれた。柔らかくて温かいな。


「は、はじめてのキスなんだからねっ!」


「私もです」


「……」


「あれ、ジーコは?」


「いえ……その……兄様が眠ってらっしゃる時に……」


「なんだと! これは会議だ!!」


 相変わらず元気がいいな。体調も良くなったみたいだし一安心だ。


「ジーコ、ウド、ただいま。心配をかけてごめんね」


「いいのですわ兄様。いつも助けられてばかりの私達でしたから。少しだけお返し出来ただけですわ」


「そうだよ兄さん。少しは私達も役に立つでしょ?」


「あぁ、本当に頼りになるよ。俺はこんな妹達に支えられて幸せ者だな」


 4人で会話をしていると、さらに足音が聞こえてくる。


「兄様、おかえりなさいデス!!」


「お兄様! 信じてましたわ!」


「お兄様! お待ちしてましたわ!」


 サンキとロッカとチセが2階から降りてきた。そのまま交互に抱擁を交わす。


「サンキ、ロッカ、チセ、ただいま」


「兄様がいると元気がでるデス!!」


「本当ですわね! これからはあまり無茶をしてはいけませんよ?」


「次からは私達もお供致しますわ!」


「あぁ。もう二度と心配をかけないと誓うよ。頼りにしてるね」


 誇らしげな顔をするサンキとロッカとチセ。俺がいなかった期間で成長したのを感じる。


 最後に聞こえて来たのは、一番静かな足音だった。


「にい……さま……」


「シロ、ただいま」


 シロはすぐに近づいて来ることはしないで、俺の目を見つめた後に話し始める。


「ごめん……なさい……」


「謝るのは俺の方だと思うんだけど、どうしたんだい?」


「にいさんの……ことが……わからなくて……」


 ここまで言って泣き出してしまったシロ。


「シロは魔王城で兄様に殺意を持って攻撃したことを悔やんでるのですわ……」


 ジーコが補足をしてくれた。そういうことか。

 俺はシロに近づいて、震える体を抱きしめる。


「シロ、」


「……」


 なんと声をかけるのが正解かなんて知らない。俺は俺が素直に思ってることを伝えるだけだ。


「ダメな兄だけど、シロが俺のことを誇れるように頑張るから、これからもシロの兄でいてもいいかな?」


 シロが泣いてるのは全て俺のせいだ。シロを泣かせている原因を作った俺は、兄失格といっても過言ではない。


 だが、俺はシロの兄で居続けたい。その為ならば全てを捧げる覚悟がある。


「私も……にいさんの……誇れる妹に……なる」


 充分誇れる妹なんだけどな。そう言ってもシロは納得しないだろう。芯を持った強い子だ。


 改めて心に刻み込もう。俺は大切な妹達の兄であるということを。


「みんな起きたみたいですね」


「おはよぉ!!」


「やっと揃ったね!」


 最後にキュウカとハーピとアルちゃんがエントランスに顔を出す。


 俺の全てがここにある。あぁ、帰って来たんだ。



「みんな、ただいま」



 改めて感謝を伝える。



「「「「「「「「「「おかえりなさい!!」」」」」」」」」」



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