10話 妹の守護神
前回と同じ流れなのは気にしない。
最近、いろんな目で見られるようになった。
新入生の女の子は俺を見ると、「騎士様//」とか「お兄様//」とか呟いて顔を赤らめている。
逆に新入生の男の子には、「悪魔だ……」とか「妹の番人……」とか呟かれている。
一体なぜこんなことに!!
「いやぁ! シスハーレさんも流石ですね! 新入生を最上級魔法で泣かすなんて! 学園はその話題で持ちきりですよ!」
なんでそんな話題が出てるんだ!
俺は決しておかしなことはしていない!
あのクソガキが"妹を寄越せ"なんて口走るから、少しお灸を据えてやっただけだ。
「いつもは冷静なシスハーレ君に、こんな一面があったなんて……」
クラウスさん、なんで溜め息なんてついてるの。
あとマイン。それ以上からかうなら怒るよ?
まぁこれに懲りて、妹を寄越せなんて馬鹿が出てこないことを祈るよ。
今はクラスで魔法の訓練をしていた。
いつものように、クラウスさんとマインと魔法の訓練を行う。
ちなみに二人ともエリート委員会の一員だ。
この前の新入生お手伝いにはいなかったがな。
「それにしても中学級で最上級魔法を使えるなんて……シスハーレさんはやっぱ天才ですね」
「そうか? マインはまだ使えないんだっけ?」
「マイン君どころかこの学園で使える人はシスハーレ君以外いませんよ。そもそも授業でやりません。一体どこで覚えてきたんですか?」
どこって言われても……覚えてないな。
魔法はいろいろ覚えすぎでどこで何を習得したかまでは覚えてる余裕がない。
「え〜と……忘れました」
「はぁ……最上級魔法を覚えたことさえ忘れるなんて……やはり規格外ですね」
「ありがとうございます。クラウス嬢」
「褒めていませんよ」
そんな会話をしている頃、訓練の終了を告げる金が鳴り響いた。
「もう終わりですか。次は……昼食でしたね。シスハーレ君はどちらで?」
「私は食堂で妹達が待っていますので」
「聞くまでも無かったわね……それでは私は弁当を持ってきていますので失礼します」
「僕も購買で買ってきているので、クラウスさんと一緒に行きますね」
そういって二人は去っていった。
さて、可愛い妹達とランチタイムだ。
————————————————————————
確か妹達は、一足先に食堂にいって席を確保しておくと言っていたな。
その為は食堂へと向かっていた。
やがて食堂が近づくと、何やら騒動が起きているようだった。
「ここは私たちが先に取っていた席です! 退くわけには行きません!」
「うるさい! 新入生の分際で! ここは私達がいつも使っている席だ!」
さらに近づけば、妹達が何やら高学級の生徒と揉めている。
仕方ない。ここは助け舟を出しておくか。
「失礼、どうなさいましたか?」
「こいつらが私たちの席を陣取って邪魔をするんだ!」
「私たちが先に取っていた席です!」
そうか、妹達は教えられてなかったんだな。
「キュウカ、食堂は基本自由だが、中学級や高学級の方々が好みの席を決めている暗黙のルールがあるんだ」
キュウカは落ち込んだ様子で話を聞いていた。
「先輩方、申し訳ございません。新入生でそう言ったことはまだ知らなかったのです。これから私が教えていきますので、ここは納めて貰えますか?」
俺は頭を下げて謝罪を行う。
妹達は驚いていたが、同じように頭を下げた。
「ふん、教育がなっていないようだな。しっかりしろ!」
「はい。申し訳御座いませんでした。みんな、行こうか?」
妹達は俺に対して申し訳なさそうにしている。
気にすることはないぞ。これも兄の勤めだ。
俺達がこの場を去ろうとした時、後ろから声が聞こえた。
「全く、これだから新入生は」
「どうせ落ちこぼれか何かだ。この学園じゃやってけないよ」
「ガキが、帰ってママのおっぱいでも吸ってな」
カッチーン
あぁ、今のは聞き捨てならんな。
俺達は悪いと思って謝罪もした。
百歩譲って俺を罵るのは何の問題もない。監督責任があるからな。
だがしかし、妹達をここまで罵られて、黙ってられるほど、
俺は人間出来ちゃいないぞ?
さぁて、てめぇらビリビリしちゃえ。
俺は全力で上級の雷魔法をプレゼントする。
騒ぎも大きくなっていた。
妹達も、先生も止めに入るが俺は止まらない。
「貴様ら!! 俺のことならまだしも、妹を罵るとはな!! ぶち殺してやるからこっちに来い!!」
俺はそう叫びながら何度も雷魔法を喰らわせてやった。
奴らはごめんなさいと連呼していたが関係ない。
これは後の話になるが、俺には「上級生狩り」や「妹の守護神」と言った通り名が付けられたらしい。
うん。妹の守護神は悪くないぞ。
脳味噌が休まる〜〜




