人魚姫「泡になりたくないので筋トレしたら王子様にドン引きされて婚約破棄されて国外追放になった」
注)色々ひどいです
◯王宮・庭園
王子「姫ッ! お前との婚約を破棄させてもらうッ!」
姫:「そんな、ひどい。どうして…」
王子「どうしてだって、鏡を見ろッ!」
そこには筋骨隆々な、ゴリゴリマッチョなガールがおりました。顔だけ美女です。
姫:「待って、これは、あわあわバッドエンドを物理的に回避するためなの! 筋肉があればなんでもできるの! あなたと愛し合うために……」
王子「やめろ、来るなー! 俺が愛したのは儚げな美少女であって、断じてパワフルなゴリマッチョではないッ! 追放だッ!! 二度と顔を見せるなーッ!!!」
「いやぁぁぁ!!?!?」
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◯魔法の森
姫「……ああ、ああ、うう、うあ」
元・人魚姫は、森をふらふらさまよいます。
今や2メートルのマッスルモンスター。
手足の筋肉はヒラメのよう、人外レベルでパンパンなのです。
肩クジラ、
腹筋ウミガメ、
背中にシャチが宿っています。
顔だけ絶世の美女、まるでコラ画像のようです。
姫:「ああ私はどうすればよかったの? 神様、神様」
ぶつぶつぶつぶつ言いながら、独り言は加速しランナーズハイ!
姫:「オー、人魚姫よォー、この秘薬を飲むとォー、激しい頭痛と腹痛とォー、喋ったら泡になる病になっちまうゥー。覚悟はあるかァー?」
「私、筋トレしますッ!」
「ナニ言ってるゥー、前代未聞ッ!」
「筋肉は泡より強しッ!」
一人オペラでどんどん歩く
すると花畑〜、しげみの陰に、黒い影〜カサカサ
オオカミ「へっへっへ、うまそうな女……ファッ!? なんだなんだ、新種のモンスターか?」
姫:「待ってて王子様ぁー、必ずやぁー、眠れぬ夜もあったけどー、チクショー!」
オオカミ「うわなんじゃこりゃ逃げろー」
オオカミ、無事に逃走。
姫:「王子様のー、バカヤロー!!」
熊:「クマァァァ!!!」
あるぅ日、
森のぉ中ッ、
くまさんにッ
姫:「うるさいわね」ドゴォ
熊:「あばばーッ!」ヒューン
✨ キランッ♪
◯夜空
⭐️「へい、もくもく雲さん」
☁️「なんだいヒトデみてーな星さん」
⭐️「熊さんが星の仲間入りだね」
☁️「そうだね。もくもく」
⭐️「あの姫、元・人魚姫、アンタよりもマッチョだよ」
☁️「なんだってー、もくもくー……ダメだ。マッチョレベルがちがう」
⭐️「あー、わりーわりー。お前はすごいよ。オレなんてヒトデみたいな謎生物だもん」
☁️「そういえば僕もよく分かんない生き物だね。もくもく」
北風「オイラは空に顔ついてるよ」
三日月「ボクなんて、アーチに顔と鼻の謎クリーチャーだよ」
「「「「あははははー」」」」
◯魔法の森・奥地
姫:「チクショー」げしげし
引き続き、姫が環境破壊を続けます。
木々が舞い、川が生じて、山が飛ぶ。
そこにカボチャの馬車が、通ります。
魔女「ヘイそこのお嬢ちゃん、お困りかい?」
姫:「あら、その紫マント、魔女さんかしら?」
魔女「ご名答。そういうアンタは森でドレスなんか着ちゃって、やんごとなきお姫様なんだね」
姫:「そうよ。マッチョになった途端、王子様に婚約破棄されて国外追放されちゃったのよ!! あーもうムカつくー」ドシン
また地割れです。
魔女「お、おお、それは大変だったねえ。そうだ、いいものをやろう」
姫:「なんですって」ワクワク
魔女「ほれ、リンゴじゃ。かの白雪姫も絶賛の、ほっぺたひくひくデリシャスリンゴ。食べるとあらゆる呪いがたちまち解けるという──」
姫:「買います買いますッ! 言い値で買いますッ!!」
魔女「んなっ、チョロすぎじゃろ……まあええわい。えっと、どうしよ、とりあえず100万円くらいで」
姫:「はい」(金貨チャリン)
魔女「まじで!! まいどありー」
姫:「いただきまーす」シャリ
姫、モグモグする。
喉を鳴らして、ゴクン。
魔女「ひえーっへっへっへ、バカめ、毒リンゴじゃ!! さあ有り金全部置いてけー」
魔女、本性をあらわすッ!
姫:「んだとオラァ!」
姫、ノーダメージッ!
魔女「バカなッ、なぜ動けるッ! インド象が即死した呪いじゃぞ!」
姫:「騙しやがったなー、えいえい」
魔女「ぬわーーーーっ!!」
✨ キランッ♪
◯魔法の森
森を駆け抜ける二つの影があります。
ウサギ「ぴょーん、ぴょーん、遅刻遅刻ぅー。ボディビル大会に遅れちゃう、ピョーン!」
ウサギ、まるで陸上選手です。100メートルハードル走で余裕で世界新記録を取れそうなレベルです。
アリス「ウサギさん待ってー」
アリス、常識的なマッチョです。
人間界ではミスオリンピアを狙えそうですが、目指すは人外魔境、めざせミスフェアリーテイル!
(アイリ◯・カイルは関係ないぞ)
ウサギ「ピョンピョンピョンのピョーンっと」
ウサギさん、圧倒的速度!
アリスの視界からフッと消えます。
アリス「はあはあ、ダメ、くそう、ペース走を怠ったからすぐ息切れしちゃうの」
姫:「大丈夫? 急いでるのね」
アリス「だれかしら? でも困った時に手を差し伸べられるとつい、握っちゃうの」
姫:「私は、元・人魚姫! 名前はアリエール!」
アリス「私はアリス。ウサギさんがボディビル大会って言うから後を追っていたの」
姫:「よろしくね、じゃあ早速行くよ」
アリス「ふえ!?」
お姫様だっこ!
アリス顔まっか!
姫:「さあレッツゴー! ジェット海流ペンギンスクリューダッシュ!!」
ブゥン!!!!!
◯不思議の国・お茶会のテーブル
まさにボディビル会たけなわ。
おやおや、様子がおかしいですね。
お茶会の長いテーブルの上に、マッチョがズラリと並んで笑っているのです。
するとどこからともなく、帽子屋マッチョハッター登場!
帽子屋「ヒャッハー、さあさあ皆さんマッスルポーズをとってくだされー」
みんな「「「 うぇーい! 」」」むきむき
帽子屋「紳士の諸君、淑女の諸君、肩をとりあいマッチョの鎖を、次から次へと渡していこう!」
みんな「「「 ひゃっほー 」」」むきむき
帽子屋「マッチョ!」
みんな「マッチョ!」
帽子屋「マッチョ!」
みんな「マッチョ!」
わはははは!
帽子屋「ひゃひゃひゃ、毎日が特別なマッチョ!」
まだアリスは来ません!
帽子屋「さぁ来ました。本日のメインイベント! マッスルダンス! アツアツの筋肉が、砂糖とティーポットをくぐり抜け、踊る!」
ウサギ「間に合ったァ!」
帽子屋「きたなマッチョうさぎ! それならお前がトップバッター! 行けッ、ウサギ、キミ決めた!」
と、アインシュタイン顔の帽子屋が、ウサギの耳をつかんで、テーブルの上へ投げつけるッ!
ガシャーン!!(ティーポットが割れる)
ウサギ「あっつ、あつあつお茶があつあつオチャー!」
帽子屋「さあさあ映えあるNO.1、ウサギ! アスリート体型だー。ホップ、ステップ、ジャンピング! カップを踏んで、マッスルポーズ! 大胸筋が白い毛皮ビームを放っているー! 首の時計がチャーミングだぞ!」
ウサギ「なんてこった。紅茶がこぼれてカップの破片が散り散り。こんなクレイジー大会があってたまるか!」
帽子屋「なんてったって、オレはマッチョハッター。いかれてるのよ。はい次」
セイウチ「うがー!」
ウサギ「待ってまだ終わってない」
セイウチ「おらおらー」
ウサギ「ぎゃー」
✨ キランッ♪
帽子屋「No2、ミスターセイウチー! スタンダードなゴリマッチョ! それそれ自慢のおみ足で、ポットもカップも皿も破片も、全てゲシゲシ踏み潰すッ! まさに重戦車だー!」
セイウチ「オレは、毎日、牡蠣を食べてるぞ! タウリン豊富なんだぞ!」
帽子屋「さあさあ次は──」
ぷーぷぷっぷっぷ♪ (ラッパの音)
帽子屋「この音は、まさか、まさかまさかのさかさのさー?」
トランプ兵「みなのものー、ひかえるのだー」
トランプ兵「女王様の、おなぁりぃぃぃ!」
Q❤︎:「ほーっほっほっほ、我こそが、ハートのクイーン! 世界最強のマッチョなりぃぃぃ!!!」
なんという事でしょう。
身長5メートル超!
かつてないゴリマッチョ!
フィットネスのブラとパンティで、そのパワーを見せつけているのです!!
とんでもないバケモノが登場してしまいました!!
帽子屋「まーぶーしーいー、」
セイウチ「なんてこった、」
Q❤︎:「みなの者、引き立て役、ご苦労であった。さあ我が筋肉の前にひれ伏すがいい。崇めよ、讃えよ、そして賛美せよ!」
ははぁー
腹筋大森林!
肩に花壇を乗せてんのかい!
背中にイモムシが宿ってる!
Q❤︎:「むむむ、なんじゃその小馬鹿な掛け声は、ムキー! なんか腹たってきたー!!」
女王様が顔を真っ赤にしたその時!
ドシーン ドシーン ドシーン
大地が震え、空気も震える。
木々が倒れる音がする。
そしてお空を見上げると…
アリス「待たせたわね!」ドシーン
アリス、なんと、身長50メートル超え!!
Q❤︎:「な、なんなのだ、この、デカい、光景は、夢か……いや、いやいやいや、現実だ!」
アリス「うふふ、巨大化キノコを食べちゃった♪」
Q❤︎:「みなの者、かかれー! 首をはねろー、首を取った奴は騎士団長に昇格だー」
トランプ兵「「「 おおー! 」」」
アリス「えい!」
巨大右ストレート!!
まるで暴走トラックだー!!
トランプ兵「「「 ぐわー 」」」ばらばら
アリス「あなたも後を追わせてあげる!」
Q❤︎:「ほざけ、貴様には筋肉が足りない。巨大化しようとも我には勝てない。」
アリス「どうかしら、それー!」パンチ
Q❤︎:「ハァー!!」ピターン
アリス「うけ止めた!? まさか!!」
Q❤︎:「愚かな、これが地力の差だ。いくら巨大化しても無駄だー、せいやっ!」
アリス「キャー!」
どしーん (しりもち)
Q❤︎:「はっはっは、我、最強! あはははは」
姫:「えい」
Q❤︎:「ぐふっ」
こうして、元・人魚姫の最強伝説が証明されましたとさ。めでたしめでたし。