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第2話 

 「それにしても俺たち、この大草原で全く生物にエンカウントしないな。」


 「私たちにとっては好都合だけど。見渡す限りの草原。あるのはあの丘ぐらい…」


 「…っ!桃華っ!!!」


 「ちょ、えっ!?どうしたの!」


 「いいからしゃがめ!」


 「わ、わかった!で、でも急にどうしたの?」


 「…あれを見ろ。あれは、丘じゃねぇ…」


 「ん?……あっ!あ、あれって…」


 「多分…ドラゴンってやつだ。」


 「…っ!」


 「なんでドラゴンがこんなところにっ!?」


 「私たちここどこか知らないけどね。」


 「ちょっと言ってみたかったんだよ。察しろよ。」


 「あのドラゴンは寝てるのかしら。」

 

 「あんな堂々と寝れるなんて、さすが生物の頂点。」


 「隼人は寝るとき、必ず布団を頭までかぶって丸まっているものね。いつも何に怯えているの?」


 「桃華だよ!なんで3mも布団離してるのに俺は寝てる間にお前にボコボコにされなきゃいけないんだ!」


 「それは小さい頃の話でしょう?今では寝てから起きるまで布団にシワすらできないくらい寝相は改善したわ。」


 「小さい頃のがトラウマになってああしないと安心して寝れないんだ!あと今のもそれはそれで怖いわ!」


 「友だちには白雪姫と呼ばれたわ。」


 「死んでるんだよなぁ…」


 「そんなことより、あのドラゴンどうするの?あなたの滅竜魔法インフェルノボルケーノで倒せないの?」


 「お前はいつまで俺の黒歴史を掘り返せば気が済むんだ?」


 「漆黒ノートは私の愛読書だもの。」


 「もうやめてくれ…」


 「ふふ…ごめんなさい。あの全10冊にも及ぶ超大作。まだまだネタはたくさんあるの。あなたの頑張りはムダにしないわ。」


 「消し去ってくれ…」


 「そんなことより、これからどうするの?」


 「そうだな。本当は今すぐにでもあれから離れたいんだが…」


 「離れないの?」


 「この大草原に他の生物が全くいないのってあれのせいなんじゃないか?」


 「…ドラゴンを怖がって他の生物が逃げたしたってこと?」


 「多分。だから、ドラゴンから離れれば他の生き物に遭遇するかもしれない。俺たちはレベル1だ。この世界の基準はわからないが現段階の俺たちより強い魔物かなにかがいないとは思えない。」


 「つまり、あのドラゴンを魔除けにするってこと?」


 「そうだ。」


 「でも、危険すぎるんじゃない?」


 「だが、未知の危険に身を投げ出すより、ドラゴンという確定した危険のほうが安全だろ?」

 

 「できれば、危険じゃない安全を選択肢にほしいわ。」


 「ここは異世界だからな!冒険に安全が保証されれば、それは冒険ではなくただの旅行だ!」


 「はぁ…わかった。私は隼人について

く。安全運転でよろしくね。」


 「任せろ。」


 「まあ、いざとなったらあなたのインフェルノボルケーノがあるものね。」


 「それはもう勘弁してください…」



















 「やっと川に着いたわね…」


 「ああ、やっぱり他の生物には全く会わなかったな。」


 「ええ。この道で正解だったようね。」

 

 「日も暮れてきちゃったな…今日はここで野宿しよう。」


 「やっぱり野宿しなきゃ…だめ?」


 「当たり前だ。現代っ子が寝ずに歩き続けられる訳がない。」


 「私はまだ歩けるわ。」


 「うそつけ。それにここならALSOKより安全安心だ。」


 「確かに。霊長類最強のタックルもドラゴンには効かないでしょうね。」


 「だろ?だから休むならここしかない。」


 「わかった。じゃあ布団はどうする?」


 「なしで寝るしかない。」


 「私、こんな石だらけの地面じゃ横にもなりたくないわ。」


 「それじゃあ、葉っぱでも集めてくるか?」


 「虫がいそうでやだわ。」


 「がまんしろよ…」


 「ムリね。生理的に無理なものは理性ではどうにもできないわ。」


 「そういやお前、昔から虫だけはムリだったな…」


 「ええ、だから魔法が使えるようになったら虫を殲滅する魔法を一番最初に覚えるわ。」


 「生態系のためにやめてくれ…じゃあ、どうやって寝るんだ?」


 「…そうね…それじゃあ…隼人、そこでM字開脚しなさい。」


 「M字開脚…ってはあっ!?いや、なんでだよ!」


 「いいから早くしなさい。私こう見えてとても疲れているの!」


 「疲れすぎて頭おかしくなったんじゃないか!?」


 「あなたが寝ろっていったんでしょ。今から寝るの。」


 「言ったけど…意味がわからん…はあ…これでいいか。」


 「ええ、それじゃあ。よいしょっと。これでよし。」


 「俺を背もたれにして寝るのか…寝心地はどうだ?」


 「最悪よ。」


 「そりゃ悪うござんした…」


 「けど、どんなベッドよりも安心して寝れるわ。」


 「そ、そうか…」


 「けど、やっぱりまだ寝れないわ。あなた、布団なら寝かし付けなさい。」


 「そんなイケメン限定機能は俺には搭載されてない。」


 「そう。それじゃ変わりに漆黒ノートを暗唱するわね。」


 「お、落ち着け!…わかったから。で、などうすればいいんだ?」


 「それぐらい、自分で考えてほしいわ。」


 「はあ…うーん…んー…あー…じゃ、じゃあ…これは…どうだ?」


 「ほう、私の頭をなでなでするなんて、イケメンでも許さないわ。」


 「ご、ごめん!」


 「ふふ…でも…隼人ならいいわ…続けなさい。」


 「りょ、了解であります!」


 「それじゃ私は寝るわ。」


 「ああ。おやすみ、桃華。」










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