6.二人きりの作り方・さん
家に帰ると、姉が俺のミントキャンディをがりがりやっていた。
「…おぉーい」
「あに?」
「いや、なに?はこっちの台詞だよ…。それ俺の」
「名前書いてなかったもん」
「…なに?なんで不機嫌なの?泣きたいのはこっちだっつの」
俺は真栄田。ただ今、報われない片思い中。
姉もまたしかり。
「あきちゃんにもらったんでしょ、これ」
姉は棒についた琥珀色の飴を見つめた。中には、細かいミントが閉じこめられている。
「どーせちえに作ったあまり、くれたんでしょ。
そんであんたは、あきちゃんが彼女のために作った飴なんて食べられなくて、
でも捨てられなくて、こーしてとっておいたんでしょ?」
「…そーいうねーちゃんだって
ちえこさんが笑顔で話す彼氏の話なんか聞きたくないって
そんな気持ち抑えようとしてその飴喰ってんだろ。」
しばし沈黙。
「よくわかるわね」
「ねーちゃんこそ」
いやになるわ私たち。
嫉妬深いところもあきらめが悪いとこもそっくり。
ほんとだよ。大体、あんな女のどこがいーの?
あらそれこそこっちの台詞よ。あの子のどこがいーの?
いっとくけどな、俺はあいつが好きなだけだ。他の男は興味ない。男が好きな訳じゃないっ。
答えになってないじゃない!私だってちえ以外女の人好きになったことないです!
けんかになりそうなので、二人とも口を閉じた。
沈黙。
「ちえ、怒ってたよ。真栄田君のせいであきちゃんに会えないーって」
「俺はテストが近いらしいぞって言っただけだ」
「あ、そ」
また沈黙。
「辛いなあ。」
それでも私やっぱりちえのこと好きなんだ。
俺だってあきらが好きだ。
こんなところまで似なくてもいいのにね。さすがは兄弟。
一途なとこまで、そっくりだなんて。