5.二人きりの作り方・に
私の名前はゆき。
高校一年生。
髪の毛は肩までで切りそろえてある。いわゆるおかっぱ。
性別は女。
家族構成は、両親と兄と弟。
ただ今、報われない片思い中。
時は昼休み。所は学食。
「う」
「…?どうかした?」
「ゆきちゃんカレーなの?この暑いのにお昼ご飯カレーなの?」
「暑いからこそじゃない。ちえ、一口食べる?」
「…あー。ちえこさん今体の三分の一カレーでできてるからいいです」
「もーすぐテストだから、体力つけないと」
「うん。そこいらはばっちりだよ。あきちゃんのおかげで。ただ、メンタル面もまたあきちゃんのおかげでささくれてきたのだよ…」
わけわかんない。
わかんないけど。
それでもどこか幸せそうなその顔。
…あー。なんか泣きそう私。
そんな私をよそに、ちえは話を続ける。
昨日はミントキャンディを差し入れられたとか。集中力アップのためらしいけど、効いてるかは今一わからないとか。ミント苦手だったけど、これは美味しいよとか。
初めてあったときは、ちえのそんな幸せそうな顔想像できなかった。
幸せなんだね。
ちえを笑顔にしたのは、幸せにしたのは、あの子。私じゃ、ない。
「勉強、みてあげよっか」
「いいの!?ありがとーゆきちゃん!」
大好きだよー。
うん、私も。
ああほら、報われない。
多分、ずっと。
だったらせめて
「じゃあ、数学からね」
「んー」
せめて今は隣に。