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三人の証人

精一杯やります。

 いきなりで申し訳ないが、俺はある異世界を救った。まぁこの話あとでいいだろう。長くなるしな。今は特殊な力は残っているが、しがないただの学生だ。

 『証拠があるのか?』 と聞かれればそれはないと答えるしかないのだが、証人はいる。この世界に五人ほどな。

もう少しすればその内の三人が、この生徒会室に集まるだろう――


「お前だけか」


噂をすればすぐに来た。いきなり文句を垂れながら、ギターケースを肩にかけた長髪の女生徒が入ってきた。さきほど言った証人の中の一人。


「・・・・・・」


名前はキルス・アミリーヌ(仮名:霧崎 亜未里)。長く澄んだ髪は綺麗な顔より引き立たせ、美の相乗効果を生んでいる。

スタイルもよく出るとこは程よく出ている。異世界では伝説的強さを誇った剣士で能力も申し分ない。

 ただ俺とは味方だったのだが、色々とめんどくさい性格なので俺の基本対応はスルーが主流になっている。


「どんだけ沈黙を貫けるかどうかの我慢勝負か?」


訳の分からない勝負はやめろ。静かに過ごしたいとは思ったが、変な勝負に巻きこむな。

それにどうせお前我慢できないだろう。無謀な戦いを挑むなよ。


――案の定というか予想通りというか、五分も我慢できずに霧崎は話しかけてきた。

 

 あっちの世界でもメンタルが弱かったが、こっちの世界でも変わらないらしい。今は好きな学食の話題を好き勝手に話し、水を得た魚のように活き活きしている。


「今回の学食の新メニューは食べたか? 日替わりもいいが、新メニューもたまらなく美味しいぞ! ぜひ食べてみろ! あっ! デザートは

のおすすめはな・・・・・・」


口を閉じても開いても面倒なやつだ。赤の他人にはクールで無口な態度で誤解されやすいが、実際は子どもっぽいアホな女子だ。


このまま延々と学食トークが続くかと覚悟していた――


「オイッス~」


ツインテールのロリッ娘が甘ったるい語尾で入ってきた。

ただでさえ幼い容姿をしているのに、黒髪ツインテールという髪型をしているせいか中学生――いや、下手すれば小学生にさえ見間違えてしまう容姿の、この女子は元敵のラスボス的存在だったワテール・マリヌス(仮名:渡辺麻凜)だ。


元敵だったはずが、今は助かったと思ってしまう俺は大分この世界の生活に慣れたと感じる。異世界では冷徹で無口だった彼女の姿は欠片もない。


杖を持っていた異世界とは違って、今は大量の漫画本とラノベを抱えている。いわいるヲタクになってしまったのだ。

ちなみに後日述べるつもりだが、ヲタクになった原因は俺のせいらしい。


「魔王のこんな姿を見たら家臣はどう思うんだろうか」


元敵の事ながら哀れみの感情が収まらない。


「何回もいうけど、魔女王!!」


小声で言ったのだが、聞こえていたらしい。訂正を求めてビシッ! と指差す。その仕草は妙に白々しく、寒い。

 

以前なら背筋を凍らせた動作も素性を知った今じゃ、気恥ずかしさから、変な意味で寒くなる。


「遅れてすいません!」


そんな寒い空気を暖めてくれる存在シオナ・セスティーン(姫宮詩織)が、タイミングよく到着してくれたことに、俺は感謝の念を禁じえない。金髪碧眼で大人びた容姿ながらもどこか愛いらしく、それでいて上品さも兼ね備えたその姿はまるでどこかのお姫様にも見えるのは、どうしてだろうか問われれば、即理由は答えることができる。本当に姫なのだから仕方がないと。


「おい! モンスターが出たらしいぞ。すぐに向かえ! 金が逃げるぞ!」


勢いよく扉を開けて室内に飛び込んできたのは、我が生徒会の顧問であり生徒からの評判名高い高橋先生だ。

 さっきのセリフで分かるように、金にガメツイ。守銭奴という呼び名さえ生温く思うほどの金の亡者である。さらに重要なことを付け足すと、俺は先生に七千五百円の未回収債権がある。金は好きだが、金に嫌われている。


「おい! 勇者! どっちが先に倒すか勝負だ!」


亜未里はギターケースを担ぎ一番に部屋をでる。そもそもお前場所分かるのか?下手すれば死ぬぞ。

まぁ、いいか。運と身体だけは強いから死にはしないだろう。


「じゃあーいくぞー」


続いて、麻凜が部屋を出て行く。漫画を読みながら歩くのは危ないだろと、注意したいが怖いので俺は黙って見送る。


「え、えと・・・・・・準備するものはっ!! これで大丈夫ですかね」


 後方だから大丈夫だろという前に、彼女は慌しく飛び出して言った。転ぶなよ。回復役がいないと、救急車の世話になるからな。


「私のためにおまえら頑張れよ!」


他人事じゃない。あんたが一番頑張れよ。俺の借金返すためにな。


なんでこんな生徒会になってしまったのか。それは少し時間をさかのぼらなければならない。


――そうあれは一ヶ月くらい前のことだ。


 まだ生徒会メンバーがみな異世界でのイメージ通りだったときのことで、俺が異世界から帰還して数ヶ月経った頃の話になる。



初めてまともに書いた小説です。続けられるように頑張ります。

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