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22.殴り込み

 とある街。〈城塞都市クルルス〉から馬で1週間掛かる場所で―――炎の化身が暴れていた。


「こ、これ以上先へは……ッ!?」

「邪魔」

「ッ!!? がぁあああああああああッッ!!?」


 夕暮れの中、太陽より眩しく、尚激しく、轟々と唸りを上げて燃え上がる屋敷。

 燃え盛る炎の化身―――暁色の髪を持つ少女は埃でも払うかのように振るった腕の先から炎を放った。その炎の顎が行く道を遮ろうとした者を一吞みにして吹き飛ばす。


 初めはこの少女を無力化ないしは殺そうと大挙し押し寄せてきた屋敷の守衛達も……その全てが圧倒的な大火により地に伏す事となった。金に物を言わせ買い漁った装備も魔道具も、この少女の前では無力。最後の一人は何度か食い下がってきたが……それも少女にとっては少々しぶとかった程度の認識しかない。羽虫でも叩き払うように先の一撃で完全に意識を刈り取った。

 屋敷に居た戦力はこれで尽きた。少女の道を阻む者はもう誰も居ない。炎が屋敷を食い荒らす中を少女は悠然と歩む。迷う事無く一直線に。


 その姿はまるで炎の妖精。焔のドレスを身に纏い、銀の髪紐(リボン)でツーサイドアップにした暁色の長髪が煌々と輝く。硬い靴底が床を打ち鳴らす度に足下で火花が咲き、周囲の炎はそれを王者の歩みとして平伏するように彼女の前へと紅炎の道(レッドカーペット)を敷く。


「―――ふッ」


 そうして少女は紅き道を進み……辿り着いた部屋の前、その扉に向かって脚を振り上げる。そして爪先に炎を渦巻かせた蹴りを一息に突き込んだ。

 扉が炎脚により砕け散る。飛び散る残骸は地面に落ちるのを待つ事無く炎によって燃やし尽くされ灰となって消えた。


「随分、くだらないこと……してくれたわねぇ?」

「ひぃ……ッ!?」


 部屋の中、この屋敷の主である男が身を潜めていた部屋へ足を踏み入れた少女が鋭い目を向ける。金の瞳が爛々と輝き部屋の隅で蹲っていた男を睥睨する。舞い上がる火の粉が少女のドレスをたなびかせ肺まで焼くような熱風を巻き起こす。

 屋敷全体を炎に包まれ、部屋の出入り口さえ少女に抑えられた男は恐怖に顔を青褪めさせ……それも直ぐに熱気によって赤くする。既に男は暑気により真面に動く事さえ出来なくなっていた。


 何と憐れな男であろう。屋敷には火を掛けられ、子飼いの者達は全て燃やされ、そして最後に……少女は自身さえも手に掛けようとしているのだから―――だが少女にはこの男に掛ける慈悲など欠片すら持ち合わせていない。


「最後に覚悟なんて決めなくていいわよ。そのままガタガタ震えてなさい」


 炎が。


「“驕る者よ”」


 炎がその牙を爪を、猛る獣の如く男へ殺到させる。


「“サラマーの獣に追われし愚か者よ”」


 獣の如き炎が男を包み込み―――


「“自戒の鋸に心臓を捧げよ”」


 爆炎が……噴き上がった。


「【焔摩天(ヤーマ)】」


 臓腑はおろか骨の髄からまで噴き上がる炎が、男を内側から燃やす。

 赫々と。血を燃料に猛り狂う。


「――――――ッッ!!?」


 全身の穴という穴から獄炎を噴き上げた男は魂まで焦がす熱に悲鳴まで焼き尽くされる。


「……じゃ、これは貰ってくわ。さよなら」


 焼かれる激痛のたうち回る男に興味など無い少女は手早く壁を破壊……その内側に有った隠し金庫から目的の物を回収する。そうして荷袋に収めたそれを担ぐとそのまま立ち去るのであった。




「―――ふんっ!!」


 火に包まれた屋敷の正面扉……それを中から蹴り飛ばして破壊したのは炎の化身の如き少女。彼女は用が済んだ屋敷から外へと進み出る。そうして庭へと下りると炎上する屋敷を見て告げる。


「私と喧嘩しようなんて百年早いわ! 灰から人生やり直しなさい!」


 少女が回収した荷物も、踏み締める地面の草も……火が燃え移る事も熱くなる事も無い。

 何故なら燃え盛り荒れ狂う炎は全て少女の支配下。意のまま想うまま。


「さて」


 パチンと、少女が指を鳴らした軽やかな音が周囲に響き―――全ての炎が消え去った。

 意志一つであれだけ猛威を振るった炎を鎮火させた少女の装いが変化する。

 炎のドレスから動きやすさに重点を置いた旅装へと変化した服、腕や脚など大きく露出したそれはしかし見た目とは裏腹に最上級の性能を誇る。世界樹の樹皮から紡いだ糸と精霊の薄絹を縒り合わせて製造された少女の服は彼女の魔法と親和し、万物から身を護る炎と化す。


 火が消えた屋敷は殆どが炭化しており……炎熱が消失した事によりそれが変形、その圧力によって自壊する。

 けたたましい崩壊音を背に少女は呟く。


「ゴミの処理はこれで終わりね」


 暁の少女は歩く。誰も彼女の歩みを止められない。

 炎に呑み込まれた()()()()()()()()が……しかし誰も止めようとしない。出来ない。その身に火傷も後遺症も残っていなくとも……心には覆す事など出来ない圧倒的恐怖が刻み込まれた。僅かに保たれた意識の中で少女が立ち去るのを願うのみ。

 奴隷で私腹を肥やしていた屋敷の主もまた同様。男は死ぬ方がまだ優しく温かい程の獄炎に苛まれ……30代半ばだった筈の姿はまるで老人のように成り果てていた。それでも廃人にならず自意識が残されているのは少女の魔法によって強制的に保護されていたから。男にはまだ正規の法で裁かれるという大事な仕事が残っている……それを白痴のまま受けさせる気など少女には無かった。


 炎による審判を下した少女は遙か先を見据える。此処ではない、その視線の先に在る『都市』を見るように。


「……まさかクルルスで見つかるなんて―――」


 夕焼けから宵へ。夜空の下で輝く暁の少女は金眼を決意の炎で燃やす。


「待ってて……私の精霊様」


 長く尖った耳。ヒューマンとは違う特徴を持った少女は次の目的地に向かって力強い一歩を踏み出した。




 ◆◆◆






 寂れた貧民街(スラム)。その中には身寄りのない子供を集め、住居や食べ物と引き換えに犯罪行為をさせる卑劣な集団が居る。

 夕闇が〈城塞都市クルルス〉に帳を降ろす中、セーギはその隠れ家(アジト)の一つに強襲を掛けていた。


「―――ごめんくださーい!!」


 錠の付いた扉が力尽くでこじ開けられる……と云うより建物から扉その物が引っ剥がされる。セーギはその扉だった物を適当に投げ捨てる。

 扉の破壊と落下音、そして場違いな挨拶の声が響き渡り建物内に居た男達が異常に気付く。


「な、なにもんだ!?」「殴り込みか!?」「良い度胸だっ!!」「ここが“巨腕”のアジトと知っての行動か!?」「このボケがっ!!」


 部屋から飛び出た男達は入り口の惨状を見て―――大胆不敵に屋内へ踏み入って来た謎の青年(セーギ)を敵と判断し殺到してくる。


(……50、48、37、55、43―――)


 セーギは視界に映る男達の力量(レベル)を確認し、同時に腰に差していた木製のナイフを抜く。刃渡り30㎝程しかないこれは道具屋で訓練用か子供の玩具として売られていた一振り。


「立ち退きを言いつけに来ました」


 セーギはそんな戯れ言と共に木剣へ氣力と魔力を流す。


「はああ!? 手前ぇふざけてんじゃ―――」


 直近に居た一人がこめかみを木剣に打ち抜かれ意識を飛ばす。

 男が倒れていく間にセーギは流れるような動きで建物の奥へと侵入……そのまま2人目の顎を鋒で撫でるように叩く。脳を揺らされ前後不覚に陥る男を尻目にセーギは更に奥へと進む。次の標的に選んだのは手斧やダガーなどの凶器を持ち出してきた男達。

 そしてこの時点で初めの二人は未だ倒れていない。


「へ―――?」「は―――?」「ほ―――?」


 破砕音。唖然とする男達。彼等の手に有った凶器はその全てが根元から叩き砕かれていた。


(数打ちの安物……これで十分だな)


 セーギの強化した木剣が相手の武器の強度を上回った。それにより金属武器が玩具で砕かれると云う異常な現象を生んだ。


(……もっと力を抑えて)


 木剣の強化を剛性から弾性を重点に割り振る。先程の武器破壊の結果はかなりきわどい所での成功であり、セーギは戦いの中で魔力と氣力の扱いを微調整して精錬させていく。そして稲妻のような踏み込みと共に武器を失った男を打ち抜き吹き飛ばす。


(殺さないように。でも確実に倒す)


 5人が()()に地に伏せるよりも疾くセーギは次の標的に向かって躍り掛かる。

 蹂躙。セーギは相手に反撃らしい反撃を許さぬまま敵対者を掃討する。悲鳴すら上げられずく男達は一人、また一人と意識を刈り取られる。


 ―――5分も経たぬ間に、隠れ家内で立っている者はセーギを除いて皆無となった。




 ◆◆◆




 幾つ目かの隠れ家への討ち入り。セーギはたった今掃討を終えた場所に有る一番作りの良い部屋。で家捜しをしていた。机を開け、棚を探し、何も無ければ動かして隠しスペースがないか調べる……そんな彼の足下に長剣を握ったまま失神している男が転がっている。

 その男は中々の使い手でセーギは武器破壊を早々に諦めて真っ当に叩き伏せた。レベル150代だったその男は一撃では沈まず数発程打ち込んだ。木剣が壊れぬよう、相手を死なさぬよう、そう手加減した上での結果であり……はっきり云ってセーギの敵では無かった。為す術無く一方的に殴り倒された部分だけ抜き出せば他の男達とさして変わらない。


 ―――そうしてセーギは細工や仕掛けなどを雑に素手で破壊し……目当ての資料や物品を持って外へと出た。そのまま表で待機していた人物……翡翠蛇の刺青を刻んだ男が居る物陰まで歩いて行く。


「はいどうぞ」

「は、はいっ! 確かに!」


 セーギから押収物を手渡された男は畏まった態度で受け取る。


「これまで通り中の人は全員気絶してるから後処理は頼みます」

「はい!」

「じゃあ俺は次に行くから」

「はいっ……あ、あの!」

「ん、どうしました?」

「あの拠点には雇われていた腕利きの用心棒が居たと記憶していますが……」

「……あー……」


 セーギは記憶を漁り、唯一該当しそうな長剣の男を思い出す。


「多分居たよ。他の人より念入りに叩いといたから安心して。朝までまともに起きれないと思うし」

「おッ……おお、お疲れ様ですっ!」

「うん、ありがとう」


 畏まり加減が一層増した男に背を向けたセーギは路地裏の一角へ目を向ける。

 ―――路地裏から小さな影が飛び出してきた。


「キュー」


 その影の正体は首輪を付けた黒い()()。それは一直線にセーギの足下へ駆け寄ってくる。


「やあ()()()。ここは終わったから移動しようか」

「キュウ」


 子犬を指してセーギはマリーと呼んだ。

 それもその筈、子犬が付けている首輪はロベリアが部下を使って用意させた『魔道具』であり、その“鳴らない鈴”が周囲の認識を欺かせる魔法を発動させる媒体として機能している。そうして黄金の聖獣はこの魔道具によって何処にでも居るような子犬に姿を変えたのである。

 しかしながら効果が有るのは外見に対する認識のみであり、鳴き声・挙動・臭いや魔力などの気配は自前のまま。用途が『夜の散歩用』と云う触れ込みであるが……その一部の特殊な性癖御用達の品だと知らないセーギとマリーは「便利な物も有るんだなー」と暢気に考えて使用している。

 目敏い者や偽装を見破れるスキル持ちには無力であるが、セーギとしては無駄な注目を集めずに済めばそれで良いと云う考えなのでこれで十分であった。


「潰すなら早い方が良いし、サクサク行こう」

「キューン」

「あ、今のは犬っぽい」

「ワフゥ」

「おぉ!? 凄い、犬の声だ」

「ワッフッフッフッフー」

「犬はそんな笑い方しない」

「…………」


 並んで歩きながら次の目的地へと向かうセーギとマリー。

 マリーはしょんぼりしつつもその歩みしっかりしていた。脚の負傷を魔法薬で完治させたからである。今ではもう全力で走り回れる。その走力はちょっと目を見張る物があり、それを見たセーギは自分の脚で歩かせた方がマリーの成長に良いだろうと判断しこうして一緒に歩く事にした。オーク・デーモンから短時間ではあるが逃げ果せた脚力は伊達ではなかった。




 ◆◆◆




「貴様はいったい何者なんだ!?」

「……通りすがり?」

「ふざけっ―――!?」


 セーギの首目掛けて振られる戦斧―――その重厚な刃を柔な筈の木剣で下からかち上げる。そのまま木剣が頭上高く掲げられ……目の前の大男に向かって振り下ろされた。


「か……ッ!」


 脳天に痛烈な一撃。その直後、側頭部・顎・首・鎖骨・胸・鳩尾・脇腹・丹田へと瞬く間に重く鋭い木剣の応酬を浴びせ―――


「……ゲェ、あ……ッ」


 滅多打ちにされた大男は白目を剥いて仰向けに倒れた。

 戦斧を取り上げていたセーギはそれを危なくないよう部屋の隅に立て掛け……窓から見える都市が完全に夜の闇に沈んでいる事を確認する。


「……これで“巨腕”は壊滅、かな?」


 日没から深夜の時点で潰した隠れ家と拠点の数は十数ヶ所以上。その中でセーギが最後に襲撃した此処は一番警備が厚く厳重な場所だった。そこには“巨腕”の首領であるスキンヘッドをした2m超えの大男が居た。

 首領のレベル280。セーギはそれでいつかの用心棒よりも強めに攻撃をお見舞いして地に沈めた。


「さーて物色物色……お? これは……“魔法の鞄”ってやつか?」


 魔法が込められた袋、魔法の鞄(マジックバック)と呼ばれる物を首領の私物らしき物の中から見付ける。肩に掛けられるよう紐が取り付けられたそれをセーギは拾い上げる。袋の口を開けて中に入れればまるで粘性の強い液体に触れたような感覚を感じる。

 広い。外見よりも遙かに広い容量を備えている。それがこの袋に掛けられた魔法の恩恵であり、セーギが適当に中をまさぐれば様々な物品の気配を感じ取る……だが―――


「中身がわからない」


 魔法の鞄から何かを取り出す時はその何かを想像しながらでなければ上手く取り出せない。よってセーギは普通に取り出すのを早々に切り上げ、この場で中身を全て出す事にした。袋の口を大きく広げてひっくり返す。そうして上下に振れば口からバラバラと中身が飛び出してくる。

 財布から始まり、予備の武器、乾物系の非常食、防具、その他道具類……等々。そうしてぶち撒けていけば最後の方で書類の束や小箱などが出た。セーギはその小箱を手に取ると様々な角度から眺める。


「……紙の束が機密文書の類いで、箱の方は……魔法が掛かってる? 無理に開けて中身が燃えても嫌だしこれもロベリアさんのとこに任せよう」


 重要な物が敵の手に渡らぬよう非正規の手順で開こうとすれば発火なので中身を消去する措置が為された物も存在する。セーギは僅かに感じる魔力の気配からこの小箱にはそんな機能が有るだろうと予測する。


 しかしながら、セーギの能力を持ってすれば箱を破壊し情報が処理される前にその中身を抜き出す事は不可能で無い。だがそれも絶対では無い。素人が確実性不明な手段を取るより専門家に任せた方が安心であるとセーギは判断した。そうして重要そうな物は魔法の袋とは別の物に詰め込む。

 金庫を破壊し、壁を剥がし、床を捲り、天井を開く。そうして自力で回収できる物は全て回収したセーギは慣れた歩みで正面から堂々と出ていく。




 ――――――




「じゃあこれ。魔法掛かってるのもあるから専門の人にお願いね」

「はいっ! お疲れ様ですっ!」


 セーギは物陰で待機していた“翡翠蛇”の一員……いつの間にか人数が増えていた彼等に荷物を任せて次に向かって移動を始める。

 セーギを背中を見送る翡翠蛇の者達の目には畏怖を越えて畏敬が込められていた。

 ―――セーギが単独で潰した隠れ家と拠点の数は今の時点で19ヶ所。叩きのめした総数は三百人を超え、レベル150以上の者は10人前後、中には300に届く者まで居た。それらが下っ端と同じように気絶させられている光景を幾度も見せ付けられた彼等はセーギが自分達のボスと同じ存在なのだと痛感していた。

 彼らの絶対的なボスであるロベリア。彼女がセーギと云う何処の馬の骨とも分からぬ男に対して過剰な待遇で歓迎したのに不満を持っていた者は多かったが……それを図らずもセーギは実力で払拭した事になったのである。


 セーギはそんな彼らの畏まった様子に苦笑を漏らす。理解出来ない訳では無いが……しかし、自分よりも明らかに年嵩の者から全力で礼を尽くそうとされると気分的に圧倒されてしまう。


 そいてセーギは今回のことで大体の“平均”という物が理解出来てきた。


(……レベル100超えは強者、150は更に上、200から超人、300は逸脱者……それ以上は常識の埒外かな?)


 レベルが200を超えた者達はそれ以下の者とは違い特殊なスキルや鍛錬に裏打ちされた戦闘技術を確認する事が出来た。


(……俺は勿論、剣聖のシータさんや翡翠蛇のロベリアさんも普通の人から見たら別の生き物みたいに見えているのかも)


 セーギはそう考えながら次の標的、暴力団(ギャング)“赤獅子”のアジトを潰す為に歩き出す。


「……順調だな」

「ワン」


 セーギはこれまでの道程を振り返り、大きな問題が発生しないままに一つのギャングを壊滅出来たことを不思議に思う。

 闇討ち、そして誰も逃がさす仕留めているとは云え……こうまで順調なのは流石に異常である。


(見落としの一つや二つあって当たり前。でも……結果はこれだ。何処も俺を待ち受ける様子は無く、全部不意打ちで片付けられてる。()()()()と言えばそれまでだけど―――)


 セーギは足下を走って付いてくる犬……に偽装したマリーを見やる。

 心当たりが無いでは無かった。



 ――――――


 奇縁:それは砂漠の中の砂の一粒。しかし確かにそこに存在する縁である


 天運の秤:思いを秤に乗せ、新たな天運を引き寄せる。


 ――――――



「いったい何が起こるんだろうなー、これ……」

「わふ?」


 セーギはこれから起こるであろうマリーが引き寄せる“奇縁”と“天運”に胸騒ぎのような物を感じ……それでも「何とかなるか」と前向きに宵闇の道を進んでいった。

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