#04 信じていいの?
東京都羽町市、マル食品羽町工場B館……
戸田と青池は資料庫のあるA館から物を作る機械のあるB館に移動していた。これは資料庫で調べて分かったことだが、どうやらこの工場は、倉庫のあるA館、機械の置いてあるB館、そして事務所のあるC館の全部で三つの建物がある。A館は二人が隅々まで調べたので問題がないことが分かったが、戸田が気になったのはC館だった。このC館は事務所しかないのに、なぜか建物は大きかったのだ
「戸田、気になるのは分かるけどC館はあと!先にB館から!」
青池はそう言うとB館の扉を開けた。戸田はC館を横目で見ながらB館に入った
「また無駄に広いわね」
青池はそう言いながらゆっくりと歩いた。食品工場とだけあって衛生管理もしっかりしていたが、青池は気になることがあった
「そういえば、なんで従業員がいないのかしら」
青池がそう言うと戸田少し考えるとこう言った
「ゾンビが出たので、休みになってるとかではないですか?」
「でもほとんどの会社はゾンビが出ても討伐されれば業務に戻るはずなのに……」
青池がそう言ったときだった。誰かが前にいる気がして青池は顔を上げた。しかしそこには誰もいなかった
「どうかしましたか?」
「いや何でもない。ちょっとヤバいかも」
青池は頭を押さえながらそう言った。青池は少し前に剣で頭を殴られていた。なのでおかしくなったと考えたのだ
「そこの君達!君達は何が目当てなのかな?」
突然二人の後ろからそんな声がした。戸田はすぐに振り向くとそこにはネイブやテンと同じようにマントを羽織っている人がいた
「ネイブ?テン?」
青池はゆっくり後ろを見るとそう言った。しかし違ったらしく、その人はこう言った
「残念。ネイブでもテンでもないよ。僕はエイト言えば分かるかな?」
エイトはそう言うと突然剣を抜いた。そして戸田に向かってこう言った
「そこの男性警察官も剣を構えたらどうだ?女性の方は戦えそうにないみたいだし」
戸田はそう言われると慌てて剣を抜いた。戸田がエイトの顔を見ると、笑っているように見えた
「用意は出来たね。じゃあいくよ」
エイトはそう言うと戸田に素早く近付いた。そして戸田のことを蹴り飛ばした。すると戸田は後ろにあった壁にぶつかってしまった
「やっぱ剣なんて一日じゃ使えるようにならないよ」
エイトはそう言うと倒れている戸田に近付いた。そして剣で戸田を刺そうとした……
ガンッ!
「剣を振れたようだけど、弱い」
エイトはそう言うと青池も戸田と同じように蹴り飛ばした。なんとか力を振り絞って剣を振った青池だが、やはり今の状態では力が弱すぎるらしく全然効果がなかった。しかしこのままでは戸田が殺られてしまう…… そう思った青池は倒れながらも拳銃を手に持った
パンッ!
青池は引き金を引いた。するとエイトは青池を見てこう言った
「残念でした。当たってないよ」
エイトはそう言うと青池に近付いた。そして青池が手に持っていた拳銃を奪い取った。そしてその拳銃を遠くに放り投げると剣を持って戸田に近寄った
「それじゃあそろそろ逝こうか。バイバイ」
エイトはそう言うと剣を大きく上げた。そして思いっきり剣を振り下ろした。青池は何もできず、エイトが剣を振った瞬間目をつぶった
ガンッ!
突然そんな鈍い音がした。なので青池が恐る恐る目を開けると、戸田の前に剣を持った一人の男性がいた。どうやらその男性が戸田をエイトの攻撃から守ったようだ
「おいセブン、じゃまするな」
エイトがそう言ったものの、セブンはエイトに向かって斬りかかった。するとエイトは血を流して倒れてしまった……
「青池さん。大丈夫ですか?」
戸田はそう言うと青池の所によってきた。青池は剣を使って自力で立ち上がった。しかしまだ二人の前にはエイトを倒した敵がいた
「戸田、私が援護するから、近接はお願い」
「分かりました」
戸田はそう指示されると剣を構えた。その後ろでは青池が拳銃をセブンに向けていた
「君達は勘違いをしていないか?」
突然セブンがそう言った。が、青池はセブンの話を聞こうとせず、拳銃を向けていた
「俺は君達の仲間だ」
セブンはそう言うと剣をしまった。そして着ていたマントを脱ぎ捨てた
「俺はゾンビ殲滅局の潜入捜査官だ」
セブンはそう言うと対策官手帳を見せた。そこには「ゾンビ対策官」という文字とともに、「伊中俊」と名前が書かれていた
「戸田、下ろしていいわ」
「了解です」
戸田はそう言われると剣を下ろした。すると青池は、ゾンビ殲滅局の潜入捜査官である伊中にこう聞いた
「信じていいの?」
青池はそう言うと伊中の目を見た。伊中は少し間をあけてからこう言った
「もちろん」
戸田は伊中からそう聞くと剣をしまった……
伊中俊
または「セブン」
ゾンビ殲滅局、潜入捜査官
武器……剣
拳銃
藤井七彩
警視庁ゾンビ対策課一班、巡査
武器……短剣
拳銃