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アカシロ  作者: 髭紳士
1/1

赤と白

放課後の学校。

部活動が行われている最中、カーテンが閉めきられた薄暗い教室の中で会談は行われた。

赤と白。

テーブルに置かれたチェス盤越しに二人が対峙する。

女は駒をつまんだ。

「今回の件、どう落とし前をつけるつもり?」

赤のボーンが前進する。男は白の駒を手の中で遊ばせた。

「落とし前?何故」

白のナイトが斜めに跳ねる。

女がグラスを傾けた。

「とぼけないで」

冷えきったトマトジュースが注がれる。

「あなた達以外いないでしょう。こっちの団旗に白のペンキで落書きするなんて」

男は箱を取り出した。

「それは君たちの妨害行為に対しての報復だ」

男はココアシガレットをテーブルの上へ並べていく。

「副団長を拉致、監禁。作戦会議中にクラッカーを持って襲撃。こちらの練習場でフェス…」

女はココアシガレットを男の口にくわえさせる。

「細かいことを気にする男は嫌いよ。それにあなたもフェスでは結局一緒に歌ってたじゃない」

鋭い金属音が響く。野球部のノック練習が始まったのだ。

「とにかくだ。今回の件、こちらから謝罪することはありえない」

男はキングを後退させた。そこに赤のクイーンが迫る。

「謝罪なんて求めてないわ。私が欲しいのは勝利だけ。完璧な勝利だけよ」

再びグラスが傾けられる。しかし、男はそれを無視して瓶に入ったトマトジュースを飲んだ。

「それは無理な相談だ」

刹那、野球ボールが窓に直撃し、ガラスの破砕音が教室に鳴り響く。咄嗟に男は女に覆い被さった。テーブルはひっくり返り、物が床に散らばる。女はココアシガレットをくわえて言った。

「甘いわね」

外の喧騒と熱気が室内を満たす。


二人は乱れた教室を直し終わると背中を向けた。

夕日が差し込み二人の間を別つ。

「ケリをつけよう」

「決着をつけましょう」

体育祭は三日後に迫っていた…

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