ぼくのしゅうたいせい
どうも。つぶらと申します。こちらのサイトでは初投稿になります。この作品には参考になった曲があります。分かった方は、私に名前を覚えられます。また、ところどころ関西弁が使われたり、視点変更、時間軸の変更、殺人、流血表現などがあります。人によっては物凄く読みにくかったりします。ご了承ください。
バットエンド大好きおばさんなので暗めの終わりとなっております。
Keyboard/椎名みかり視点 12月24日 月曜日 19:36
「もうええわ。お前なんて出ていけ。」
武瑠の口から出たその言葉は、僕の心をぐちゃりと潰した。確かに、次のライブ会場の手続きを間違えたのは僕だ。けれど、たったそれだけの事でバンドを脱退させられるものだろうか。でも、きっとそう言ってもはバンマスである武瑠は聞いてはくれないだろうから。
「...うん、分かった。僕は抜けるから、新しい優秀なキーボード担当を探してよ。じゃあね。」
皮肉じみた別れの挨拶を投げ吐いて、バンドメンバーに背を向けた。本当はもっとあっさりと居なくなりたいのに、強がって震えを耐えていた足ではどうしようもなかった。
ただ俯いてとぼとぼと歩いていた僕には、今自分がどこにいるのかが分からなかった。どこかの高架下だろうか。周りはビルの明かりが見えて、クリスマスとやらで騒いでいる悩みなんて何一つ無さそうな人達で溢れ返っていた。こんなに寒い時期なのに、僕はTシャツにパーカー、七分丈位のサルエルパンツという馬鹿みたいな恰好をして、事の熱が冷めるのを待っている。
drums/古田広大視点 1月5日 金曜日 10:25
みかりがバンドを抜けてから一週間と数日が経った。あれから武瑠もみかりも練習に来なくなった。メールや電話、チャットで連絡を取ろうとしても何も返っては来ず、チャットの既読が付くだけやった。
しかしある日、武瑠から電話があった。
「もしもし、武瑠?」そう言おうとした瞬間に、携帯越しの武瑠の声に遮られた。
「みかりが...倒れとる...俺ん家で...頭に血が...」
俺は頭が真っ白になった。武瑠が放った言葉をパニックになった頭で紡ぎ直した。それが真相かどうかなんて分からない。消えそうな武瑠の声はまるで闇に包まれたようで、暗めな雰囲気の曲を歌う彼からすら聞いたことない声だった。通話時間が二分になる頃には、俺はもう走り出していた。
bass/藤岡尚弥視点 1月5日 金曜日 10:27
広大からメールがあって、今はタケルさんの家へ向かっている。一応、ギター担当のリュウさんも連れて。無理やりにリュウさんを連れ出して来たから、多分彼は何が起こっているのか分かっていない。
「なおくん、急にボクを引っ張り出して、どうしたん?」
なんて、目の前を煙草の煙でいっぱいにしていたその顔は、バックミラー越しでもわかる位、何かに悩んでいる様だった。
「コーダイさんから呼ばれて、タケルさんの家に向かってるよ。」
「ふーん。」とリュウさんはまた煙を吐いては窓の外を眺めていた。
guiter/開木隆視点 1月5日 金曜日 10:27
みかりくんも武瑠くんも居なくなって、ボクは結構心配してんねんで。こんなに煙草ふかしとるけど。ボクなんて本業は一番暇なんやし。元は会社の課長やったのになぁ。
二人が喧嘩しとった時、武瑠くんがどんな思いで、どんな気持ちでみかりくんに言葉をかけているのかを考えていた。武瑠くんは音楽だとかバンド活動をとても大事に思っていたから、ライブ会場の手続きをしていないとなれば、彼のこれまでの努力は多少なりとも崩れる。そう思った。ボクらのバンドがお客さんからの信頼を無くす事を、武瑠くんはすごく恐れていた...のかな。
そう考えると、言葉も心も上手く繋がらないもんなんやな。
※vocal&band master/湯浅武瑠視点 1月5日 金曜日 10:46(10:25)
広大が家に来た。ついでに尚弥くんと隆くんも。多分広大が呼んだんやろうけど。
怖がりな隆くんは何も知らなかったらしく、頭に血をつけて倒れているみかりくんを見て吐き気を催したみたいだ。
俺が今日、街を何のあてもなく歩き、家に帰って来たらみかりが倒れていた。俺はどうしようもないと思って、広大に電話した。
椎名みかり視点 1月9日 火曜日 14:52
僕は武瑠に会ってから、三日間程意識が無かったらしい。しかも武瑠の家で倒れていたとか。多分その間の夢なんだけど、ずっと真っ暗な中、ただ心臓のあたりを抉られているみたいな感覚があった。実際、抉られた事が無いからあくまでイメージなのだけれど。その事を尚弥くんに話してみたら、「顔色が悪い。」と言われて飲みたいものを買いに行ってくれている。僕は「なんでもいいよ。」と答えて次の新曲のメロディーを探し出していた。でも、良いものは全然思いつかなくて、パソコンのメモ帳を何回も書いて、読んで、悩んで、消して。それを繰り返していたら、いつの間にか尚弥くんが帰ってきていた。
「みかりくん、あんまり無理しちゃダメだべ?病み上がり?なんだし。」
尚弥くんが買ってきてくれた缶コーヒーは温かくて、僕には少し苦すぎた。
椎名みかり視点 1月12日 金曜日 10:17
また夢の話になってしまうのだけれど、今度は白い空間に僕よりガタイの良い、黒い人型の影みたいなものが、「お前が間違えたんだ。お前が悪い。」とか、「お前は俺にとって迷惑だ。」とかずっと僕を憎むみたいな、嫌疑的な態度で僕の首を絞めている。という夢を見た。そんな事を思い出しながら、今日も今日とて曲作り。
ガドン。
僕の頭に意識が遠くなる程の鈍痛が打ち込まれた。床に倒れた僕に追い打ちをかけるような腹部の痛み。自身が、どんどん冷たくなっていくのを感じた。
開木隆視点 1月12日 金曜日 11:04
「みかりくん、遅いなぁ。何か別の用とかあったんかなぁ。」
今日は二人で埼玉の方を旅しよう言うて池袋で待っとったのに、いつもは遅刻しないみかりくんだからこそ、何かあったのかと思う。こーにぃ(広大)にメッセージでも送るか、とチャットのグループを見ると、こーにぃから長文のメッセージが送られてきていた。内容は...
※古田広大視点 1月12日 金曜日 10:53
みかりが死んだ。というよりは何者かに殺されたというほうが正しいんやろうか。頭と足の形ははっきりとしているものの、腹の部分は肉片となってそこら中にぶちまけてある。場所は武瑠の家やった。武瑠とみかりの喧嘩があってから、みかりが危険な状況になることが多かった。しかも、喧嘩相手の武瑠の家で。
湯浅武瑠視点 1月12日 金曜日 19:36
賑わい、きらびやかに輝く街をふらふらと歩いていた。人の流れに逆らってまで行く当てなどもう今のおれにはないのやけれど、歩いていないと恐怖に飲み込まれそうで。
肩を優しく叩かれた。ほんの少しの衝撃にふりかえると、高校からの親友の代永遠音だった。
「お前、なんでそんな元気ないねん。」
特に理由は...無いと言ったら嘘になるが、そう答える。
「ほーん。そうか。じゃあ私の家で酒でも飲むか?明日土曜なんやし、問題ないやろ。」
俺は、何かに縋りたかった。遠音のこの提案に乗ったのが、間違いだったのかそれはまだ分からなかった。
*第三者視点* 1月19日 土曜日 13:35
残された三人は、警察に何度も届け出を出したが、どちらの件も受け入れてはくれなかった。どうしようもないと、ほんの少しの希望を胸に、遠音に武瑠を見ていないかと聞いてみた。
「あいつやったら、この前新宿で会いましたよ。んー...何か重要な事をやり終えたみたいに疲れた顔しとりましたよ。」
広大はみかりの死と武瑠の失踪を脳内で関連づけて、再び遠音に問いを投げかけた。
「なあ、それっていつの事やったか覚えとる?」
「...私のバンドのライブが終わった後やったから...12日の事ちゃいます?」
遠音の口からでた言葉は、三人の身を凍らせ、嫌な予感を思い浮かばせた。
「あ、あいつの事で思い出したんですけど、あいつ、二重人格なんですわ。もう一つの性格はサイコキラーやったっけ。せやから、あいつが椎名さんを殺したとかも信じたくはないけど、あるんちゃいます?」
三人の顔は一気に青ざめた。それが真実だとは思いたくない。けれど、その考察はあまりにも的確であったし、三人にとって遠音は武瑠の一番の親友であり、信頼できる人間であったが為に、そう思うしかなかったのだ。
あの日に消えた文字を追って、三人は遠音を後にして武瑠の家へと向かった。
「言葉なんて便利やない。心なんてただの信号や。私は知っとるよ。」
※湯浅武瑠視点 1月12日 金曜日 21:12
それから俺は色々な事を遠音に話した。今日起こった事も含めて。
「武瑠さん、」
遠音の声なのにいつもとは違う呼び方で呼ばれたものだから、驚いて後ろを向いてしまった。目の前にいたのは、鋸をこちらに振りかざしている遠音だった。俺は素早くそれを避け、遠音から遠ざかった。
「しぶてぇ奴やのぉ...」
フラフラとした足取りで俺を睨みながら近づいてくる遠音。特にこいつに恨みを売った覚えはない。殺される理由があるとすれば、それは罪の償いや。そして俺は思い出した。こいつが...
「何目ぇそらしとんのじゃ。」
そう言われて遠音の方を見た瞬間、首元に異常なまでの痛みと筋や管が切れる音がした。俺の予想は当たった。遠音に首を切られたのだ。床に落とされた頭部はまだ若干機能する。薄れゆく意識の中で、遠音は静かに笑っていた。
代永遠音視点 1月20日 日曜日 17:58
家へ行っても武瑠が居ないと、広大さん、尚弥くん、隆さんが僕の家へ来た。まあ、居らんのは当然なんやけど。あ、ええ事思いついた。こいつら全員殺したろ。
「わざわざこんなド田舎まで...皆さん疲れてるでしょうから、ハーブティーでもどうぞ。」
私が差し出したハーブティーには睡眠促進の効果がある。話してるうちに効いてくれればええんやけど。
「そういえば、タケルさんの二重人格って本当なんですか?僕、タケルさんからそういう事聞いてないんですけど...」
にしても純情やなぁ尚弥くんって。武瑠がそんなん持っとるわけ無いやん。
「ほんまですよ。あいつが高校の時ぐらいに急に私の事襲ってきたんです。今は抑制剤?みたいなんを飲んどるらしいんですけど。」
ほんまのサイコキラーは僕や。みかりと武瑠はそれを知ってた。みかりは過去に一度殺そうとしとった相手で、この前一発食らわしたと思うたらまだ生きとるし、まさか先に武瑠に殺されるとはのぉ。みかりもまあ最悪な人生で。
「えおんくん~、ボクなんか眠いから今日は泊まらしてもらってええ?」
「はい。じゃあ布団用意しときますね。」
計画通り。と言っても計画なんてあんま無いんやけど。
代永遠音視点 1月20日 日曜日 21:48
三人とも僕の家でしっかりと眠ってくれとる。さて、じゃあまずはどのパーツからとろうかな。
個人的に隆さんの顔はとても格好良いと思うとるから、顔は彼から。色白な尚弥くんの皮膚を剥ぎとって、小食で済むようにと広大さんの内臓を取り出す。そしてこれらを男らしい体つきの武瑠の体に縫い付ける。少しのみかり要素として、イメージカラーであるピンクのペンキを辺りにぶちまければ。
なんて素敵な空間なんやろ。ここに永遠に居りたい。でも、僕も人殺しとして、罪を償わなければいけないらしいし。適当な連絡先に電話をしてみた。それは何故か圏外で、電話番号を見たらみかりの携帯に掛けていた。
「もう用済みや。」
と自分の携帯に声をかけ、ペンキの中に沈ませた。血とペンキの色が混ざり合って独特な色が出来ていた。近くにあった包丁で、自分の胸を抉る。皆こんな気持ちやったんやなぁ。と囲いの骨を折るくらいの強さで自分で自分を突き刺した。
目の前には、【僕の集大成】があった。
最初書こうとしてたのはこんなんじゃないんです。もっと精神的な葛藤を書きたかった。これ応募規定引っ掛かりそう...(流血表現)




