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メイドさんと魔王様に歓迎された

「魔王!勝負しろ!!」


 金髪の男が扉を壊して入ってきた。そしてどうらや魔王様に勝負を仕掛けてきたようだ。それに後ろからもう三人くらい仲間のような人が入ってきた。


「…勇者って何人いるんだ?勇者がたくさんいるのか?」


 テュオさんに聞いてみる。


「そうですね、勇者というのは自己申告制ですので、あちらが勇者といえば勇者なんですよ。」


「それ誰でも勇者になれるんじゃ…?」


 自己申告制って…不思議すぎるだろ。


「おい?お前…人間じゃないか?こんなところでなにをしているんだ!?は!分かったぞ!魔王に洗脳されたんだな!大丈夫だ!俺がなんとかする!安心してくれっ!」


「いや俺何も言ってないんだが…」


「勇者って大抵こんなやつらばかりですよ。」


 勇者のイメージが壊れていくんだが…


「おい!俺たちも一緒にいることを忘れるなよ?」


「そうよ!私たちがついてるんだからっ!魔王なんて余裕よ!」


「ふぉふぉ、ここまで来たら終わらせましょうぞ、勇者よ。」


「みんな…よし、いくぞ!」


 いやいやいや…あいつらなに勝手に話を進めてるんだ?すごいラスボスと戦うって感じだけど…


「だ、大丈夫なのか?魔王さん、狙われているけど…」


「えぇ、この程度に負けるようじゃ魔王なんて勤まりませんよ。」


 テュオさんはまるでいつものことのようにそう言う。だ、大丈夫か…?


「ふむ…うぬら…我と戦うつもりなら後80年はないとまともには戦えんぞ?無為な殺しは好かない。去れ。」


 幼女が80年を語ってるけども…いや勇者も勇者でなにも思わないのか?


「うるさい!くらえ!スラッシュ!」


「俺もいくぜ!はやぶさ切り!」


「いくわよ!風刃!」


「ふぉふぉふぉ!雷撃!」


 勇者たちが一斉攻撃を仕掛けてくる。


「お、おい?大丈夫なのか?魔王、なんも構えてもないけど…ずっと椅子にしっかりと腰を落ち着かせているけども…」


「だからさっき言ったじゃないですか。このシア様は、実質世界最強なんですよ。」

 

 この幼女が?さっきまでテュオさんにおもいっきり尻にしかれてた幼女が?まさか…


「はぁ…どうなっても知らんぞ。」


 魔王さんが指を立てて軽く振った。


 その刹那、まばゆい光が勇者たちに向けて放たれる。


「「「「え?」」」」


 勇者全員が間抜けな声を出した瞬間、その場に爆発が起こった。それもとんでもないほどの衝撃だ。


「またやってしまった…なあテュオ…人間は脆いの…」


「シア様が強いだけです。あれでも人間のなかでは強い方です。」


 爆発による煙がなくなるとそこには無惨にも身体中傷だらけの勇者たちが意識を失って倒れていた。


「う…大丈夫なのか?」


 ぱっと見、からだの一部が飛んでるとかはないようだ。


「大丈夫ですよ、シア様は加減をしてますから。」


「これでも無理やり抑えてるから疲れるのだがな…テュオ、ラスを呼んできてくれ。」


 あれで抑えてるのか…床とか壁が弾けとんでるけども…


「はい、連れてきました。」


「え!?肉が!?消えたんすけど!?」


 うぉ!?テュオさんの隣にいつの間にか別の女の人が!?


「来たか、ラス。こいつら勇者を人間界に送ってきてくれ。」


「え?あぁ、またいつものっすか。慣れないんすよね、急に連れてくるのやめてくださいっすテュオールさん…」


 ん?この女の人、顔じゃなくて頭に耳がある。まるで犬?猫?みたいな…


「あれ?誰っすか?その人間。」


「おぉ、紹介しよう。我が召喚した異世界から来た人間、スメラギ ソラだ。」


「あ、どうも皇 空です。よろしく御願いします。」


「異世界人っすか?はぇ~あんまりこの世界の人間と変わらないんすね。こちらこそよろしくっす。ラス=アルカっす。ラスって呼んでくださいっす。」


 手をこちらに差し出してラスさんは言う。こちらも手を出して握手した。ていうか驚かない辺り今までも魔王さんは規格外だったのか。


「ラスさんですね。その、耳はなんですか?」


「あぁこれっすか?」


 ぴこぴこしている耳を触りながら説明してくれる。


「自分、獣人なんすよ。ケルベロスって種類の。」


「け、ケルベロス?ケルベロスっていうと地獄の門番みたいな?」


「じごく?なんすかそれ?ケルベロスは獣人の中の種類っすよ。その数は少ないっすけどね。」


 地獄というのは、この世界にはないらしい。というか獣人か…日本にいるころにそういうコスプレってのは見たことあったけど本物はこんな感じなのか。

 茶色い髪にすこし筋肉質な身体、茶色い肌も健康的なイメージですごい可愛い。この世界は可愛い子が多いのか?


「ラスさん、速くそこの勇者たちを運んでください。その為に呼んだんですよ。」


「あ!りょーかいっす!じゃ!ソラさん、魔王様!行ってきますね!」


「行ってらっしゃいーラスさん。」


 ラスさんは勇者たち四人を抱えて走っていった。いや力持ち過ぎるだろ…あんな女の子が四人の男女を軽く持ち上げてるぞ…


「さて、ソラよ。お主には二つの選択肢から好きな方を選んでもらいたい。」


「ふたつから選ぶ?」


「あぁ、まず一つ目だ。この魔界に留まって半年待つ。もちろん住居はこちらで用意する。我たちとしばらく暮らすことになるな。」


 あぁ、これからどうするかってことか。住居を用意してくれるとはありがたい。適当にぽいっと捨てられたらどうしようかと思った。


「二つ目はこれからティルタナに向かって、人間たちと過ごすことだ。半年経ったら此方から迎えに行こう。こっちも住居を用意できるはずだ。そちらの方が人間のお主にとっては居やすいかもしれんの。」


「そうか…そうだな。すこし待ってくれるか?」


「分かった。簡単なことではないかもしれんからな。」


 さて、待てと言ったが、これは俺的にはそんなに迷うことではないんだよな。だってこんなに優しい人?いや魔族か。まあとにかくこんなに優しい人格者が近くにいるっていうのは何かと良いことだと思う。

 ここの人たちにもまだ挨拶してない人もいるしな。しばらくここで暮らす方が俺は楽しい気がする。


「ソラ様。」


「ん?なんだ?テュオさん。」


「これは決してソラ様の意思を変えたい訳でもソラ様に居てほしい訳でもありませんが。」


 それ言う必要あるのか…?悲しいんだが…俺に居てほしいわけじゃないって…いや確かにさっき人間を毛嫌いしてる感じがしたけど。


「ここは色んな個性的な魔族がいますし、三食すべて私が美味しいものを作っています。綺麗な部屋も準備できますし私が掃除いたしますからティルタナよりは過ごしやすいことを私は提言します。」


「お、おぉ…そうか。」


 なんかめっちゃこの城にいることを進めてくる…いやどっちみちここに残るつもりだったからいんだけど。


「いえ。別にソラ様が嫌ならば構わないんですが。もしこちらに残るのであれば私が半年間そばでお世話をすることだってできます。」


「ここに残ります!!」


 俺は悪くない。こんなにも綺麗な人が俺のお世話をやいてくれるというのはそれはそれはとんでもなく贅沢なことだろう。仕方ない。男なら誰でもこうするはずだ。


「そうですか。それはいい判断だと思います。」


「そうか!残ってくれるか!我は異世界の話を聞きたかったから残ってくれるのは嬉しいのだ!」


「そんなに歓迎してくれるのか、なんだか、気恥ずかしいな…」


 やっぱりここに残る方がいいよな。色んなことを見てみたいし。ティルタナにいくよりめぼしいものがありそうだ。


「では、私は夕食を作ってきますね。」


 テュオさんが頭を下げて部屋から出ていく。


「のう、テュオ?まさか本当にピーマンの肉詰めにしたりはせんよな?」


「今日は仕方がないのでソラ様の好物に致します。なにが好きですか?ソラ様は。」


 お!ありがたいことだ。どうやら俺の好物を作ってくれるらしい。まあ大概のもんは食べられるけど、一番好きなのは


「オムライスかな?」


「なるほど、オムライスですね。かしこまりました。」


「おぉやったのだ!オムライスなのだー!」


 やったね!これでハートマークを書いてもらったりしたら幸せだよね!ないと思うけど!あと魔王様さっきまでの威厳はどこに…?




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