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異世界ってやっぱり異世界

「結局、そのうちというのはところどれくらいになるんだ?」


 帰れるのなら帰りたい。俺にも両親や友達がいるからな。


「そうですね、これは私の主観なので確実かは分かりませんが、まず半年はかかるかと思われます。」


「本当に申し訳ないのだ。ソラ。我もまさか人間が召喚出来るとは思わなかったのだ。」


「や、やめてくださいって!半年くらいなら俺も待つことができるので…」



 二人はそう言って頭を下げた。半年くらいなら…と言っても長いけれど、二人の頭を下げ続けるわけにはいかない。こっちが申し訳なくなってしまう。


「それにしても、魔王様がそんな風に頭を下げていいのか?そんなことをすると威厳とかが…」


「よい。悪いことをしてそれを権力や威厳を盾に揉み消したり己を庇うようなものに魔王は勤まらんからな。」


 すごい立派なことを言っているのだが…容姿が子どもなのですこいねーとか言って頭を撫でたくなる…

 でも本当にいい人に見える、これが魔王って信じられるか?


「この世界の魔王様ってのはしっかりしてるもんなんだな…」


「そうか?他の魔王は血気盛んだったりもするぞ?我はまだ温厚な方だがな。」


 え?魔王様はいっぱいいるの?第六天魔王的な?

いや第六天魔王が実際に六人いるのかは知らないけど…


「そうですね、うちのシア様は魔王の中でも断トツで強いのに断トツでポンコツなんですよね。」


「急になにを言ってるのだテュオ!?」


「魔王ってのは何人もいるのか?」


「む、そうだぞソラ。今は魔界の中で色々な勢力があるのだ。魔族を中心にどんな種のものも受け入れるこの国、『シュドロム領』は一番大きく、この世界の北側に位置しているのだ。ここから東のところには人魚の国『テリオネ領』がある。ここは比較的仲がいい勢力じゃな。」


 この国が一番大きいのか。それに…人魚ね…人魚っていうとあれだよな?


「人魚ってのはあれか?下半身が魚で上半身が女性の生物っていう…」


「おぉ!よく知っておるの?ソラ。ソラの世界にも人魚がいたのか?」


「いたというか…伝説として伝わってた感じかな?」


 実際にいるなら見てみたいもんだな。いや決していやらしい意味じゃなくてね?知的好奇心だからね?


「私たちシュドロム国にもいますし、シア様の幹部にも一人いますから、すぐ会えますよ。」


「ほんとですか?それは見てみたいですね…あ、いえ変な意味ではなく…」


「次いくぞ?ここから西に行くと竜人の国『トゥース領』がある。こことは仲が悪いわけではないが…まあ気難しいやつがトップなのだ。」


「竜人…竜なら俺の世界にも伝説だが伝わっていた。」


「そうか、竜人はプライドが高い上に血気盛んなやつが多い。会ったときは気を付けるのだぞ。」


 それはなんというか…恐ろしい話だが、友好的になれるのであればなりたいものだ。


「わかった。あとは?」


「最後にここから真南にある人間が多く住んでいる『ティルタナ国』だ。こことは一番仲が悪い。というか向こうから敵視されているのだ。」


 人間と魔人だもんな…そういうイメージはあるが本当に仲が悪いってのはあまり嬉しいことじゃないな…


「敵視…か。確かにさっき蛇人間みたいなやつに襲われかけましたからね…餌だと思われたのかな…?」


「なんだと…?テュオ、それは本当か?」


「はい、私が払いましたがソラ様を食べようとしてましたね。」


 魔王様ははぁ…と大きいため息をついて俯く。


「ソラよ、重ね重ね申し訳ない。我もうまく統治出来ておらんのかもしれん。あまり人間を襲いすぎるなとは言っておるのだが…」


「いや、構わないって。生きるためには仕方ないことなんだろ?」


 人間が動物を食べるように魔人も人間を食べるのだろう。

 それは人間が今までやってきていることだ。自分が食われるのは流石に嫌だが、それでも理屈は通っている。


「そうか…そういってくれると助かる、ソラ。お主は優しいのだな。」


「そんな誉めるなよ、照れるだろ?」


 仕方がないことだからな、それに関しては俺がどうと言えることじゃない。


「あ、そういえば話は戻るけど、半年って」


ドゴォッッ!!!


「ん?なんだまた勇者か、ソラよ、後ろに下がっていろ。」


 え?勇者?また?急になにを…


「魔王!お前を倒して俺がティルタナを救うんだっ!!」


土煙の中から金髪のかっこいい感じの男が扉を壊して入ってきたようだった。なんで扉壊してんの?


「あぁ。ソラ様、勇者というのは虫のように沸いてくるんですよ。この時期。」


「勇者って何人もいるのかよ!?時期で沸いてくるとかあるの!?」


この世界…怖いんだけど!






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