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心のブランコ

作者: イマエサン

心のブランコは、いつも揺れている。


誰の心の中にも、ブランコはあって、


泣いたり、笑ったり、怒ったりすると、


ブランコは、揺れるんだ。



穏やかに揺れるブランコは、心地よい。


みんなは、そんなブランコに乗っている。


たまに大きく揺れることがあったとしても、


すぐに小さな揺れに戻る、そんなブランコ。



私が乗っているブランコは、常に大きく揺れている。


人のとは違って、あまり前には振れない。


だから、うまく笑えない。


でも、後ろには、大きく振られるスリリングなブランコ。


楽しいかって?


そんなわけないよ。


激しく振られるブランコから振り落とされないように、


しがみつくのが精一杯。


穏やかな揺れに戻るのをいくら待っても、


治まりそうにない。


だから、怖くて不安で、泣いてばかりいる。



魔法の水を飲んだら、大きく振られても怖くなくなった。


そればかりか、前にも振ることができるようになったんだ。


前後に大きく振れるブランコはアクロバティックで、


爽快だった。


でも、しばらくして、あまり前に振ることができなくなった。


昔よりも、ずっと大きく後ろに振られてしまう。


いつ一回転してもおかしくない。



怖くなった。


助けを求めたら、機械人形がブランコを止めるために、


私に体当たりをしてきた。


弾かれた私のブランコを、もう一人の機械人形が抑え付けた。


ブランコは止まった。


泣いたり、笑ったり、怒ったりすることもなくなった。


揺れないブランコは、楽しくない。



たまに機械人形は、ブランコから手を離す。


私は、ここぞとばかりに、ブランコをこぎ出そうともがく。


でも、前向き振られるのは一時で、ほとんどは後ろ向きだ。


傾斜した世界に見えるのは、いつも薄暗い地面だ。


悲しくなる。



それならば、ブランコなど動かなければいい。


何もしなければいいんだ。


でも、動かないブランコに乗り続けることなど、できない。


どうしようと悩んでいると、


機械人形は、ブランコ大きく前に振りだしてくれた。


こんなに大きく前に振られているのだから、


その反動で、大きく後ろに振られるかも知れない。


そのときは、機械人形に止めてもらおう。


もう恥ずかしがらず、周りにいる人達に助けを求めよう。


そして、いつか穏やかな揺れるブランコに乗れると信じよう。



揺れるから実感する「生きているという感覚」


大切にしたい心のブランコ。

10年以上前、1か月間療養していたときに書いた詩です。

当時ブログに載せていたものを再掲したものです。

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