第7話 『誰もいなかった』
たまにはまともなタイトルをつけないと
・・・たまになのか?これ
――――――
~鷲子視点
バムバムバムッ!!
銃声が聞こえたとき、私たちは屋上までもう少しと言う所まで来ていた。
「また銃声!?」
「な、何が起こってるの・・・?」
そう言っておびえる二人――優海ちゃんと蓮子ちゃん――を見ながら私はあることを考えていた。
・・・もし犯人が蓮子ちゃんが見たっていうブルーベリー(ryなら、今の発砲音は陸佐だってことになる。でも確かにあいつは銃が好きなガンヲタクではあるが・・・実弾をむやみに発砲する奴じゃあない。という事は何か異常があったという事になる。
そうこう考えていると、視界の端に何かが飛び込んできた。
「(あれは?・・・女の子!?)」
視界の端に飛び込んできたのは蓮子と同じくらいの背の金髪の少女だ。
「め、メリー!?」
どうやらその子が蓮子ちゃんが言っていたメリーと言う子らしい。私たちの事に気付いたのかこちらへと走ってきた。
「はぁッ・・・はぁッ・・・はぁッ・・・」
「メリー!!大丈夫!?」
「はぁ・・・化け物が・・・はぁ・・・」
「お、落ち着いて!一度深呼吸して!」
よほど走ったのか息が上がっているため、深呼吸をして落ち着かせる。そして何度か深呼吸をして落ち着いた所で
「ば・・・化け物が・・・そっちの部屋で・・・今・・・男の人が・・・戦って・・・」
「「「なッ!?________」」」
つまりさっきの銃声は陸佐のものであって、今陸佐は一人で正体も分からない怪物と戦っている。
“正体が分からない”それは相手の攻撃方法や間合いの一切が分からないという事もあり、それは人間が戦うにはあまりに不利な条件だ。
「優海ちゃん!!あなたはその二人を連れて屋上へ走れ!!」
「え!?しゅ、鷲子さんは!?」
「あたしは陸佐の所に行くから!!」
そう言うと私は優海ちゃんの止める声も聞かず銃声がする方へ走り出していた。
“普通の人間”対“化け物”が戦うのは人間には勝ち目がないが・・・
―――――――“化け物”対“化け物”ならば勝てないことはない
―――――――
~陸佐視点
バムバムバムッ!!
怪物が腕を振り上げた瞬間に拳銃を胴体に向け3発撃ち込む。だが怪物はそのまま腕を振りおろして自分の左腕をかすめる。
「ッ!!」
慌てて横に飛び怪物相手に距離を置き拳銃を構えしっかりと相手を見据える。
「・・・コイツ・・・遊んでやがる・・・」
怪物の目を見ればよくわかる。完璧に相手を嘗めている目だ。どうにもこちらの攻撃が効かないことに気付いたのかこちらをじりじりとなぶり殺しにかかる。
「ふぅ〜・・・やってられませんねぇ〜」
こんな時でも煙草を離さない自分に呆れてしまう。ちきちょーこんな事なら機関銃なり対物ライフルなり持ってくるんだったな・・・。とりあえず彼女たちが逃げる時間くらいは稼がねば・・・。
「さすがにかっこ悪いですよね。女の子の逃げる時間すら稼げないなんて」
さすがに今日来たばっかりの新人を危険な目に合わせるわけにもいかないでしょ。
・・・あれ?あの子名前なんだっけ?
「キシャァァアアア!!」
そう叫んで腕を横に振り回しこちらを切りにかかってくる怪物の攻撃をとっさにしゃがんで横に転がり部屋から飛び出す。その際にしっかりと怪物に銃弾を叩き込むのを忘れない。
「ぐぎゃぁッ!?」
今度は胴体ではなく頭に打ちこんだため少しは効いたようだ。内心ざまぁと思いながら廊下を走る。
「さて・・・部屋を出たのはいいですがこれからどうしましょうか?」
走りながらそんなことを考えていると後ろからさっきの怪物の叫び声が聞こえてきた。
「ああ〜・・・・・・モン○ンで言う怒り状態ってやつですね。分かります」
そして後ろを振り返るとそこには怒りで顔を歪ませた化け物が立っていた。
・・・・・・正直グロイっていうか気持ち悪い。
「グギャァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
そう叫び声をあげて猛ダッシュで走ってくる怪物。そしてそれと同時に全力で怪物から逃げる私。・・・しかし圧倒的に怪物の方が速いためすでにその差は10mまで迫っていた。
そして9、8、7、6、5mまで距離が縮まったとき
「うおッ!?」
「ぐぎがああああああ!?」
目の前から飛んで来た“何か”がすぐ後ろまで来ていた怪物にぶつかり廊下の奥へと吹き飛んで行った。
「・・・?」
何が起きたのかさっぱり分からない陸佐。よく目を凝らして見てみると・・・そこにはさっき自分を追いかけてきた化け物とその上に馬乗りになっている人がいた。
よく見ると馬乗りになっている人には大きな鳥の羽のようなものが生えている。そしてその人が来ている服は――――
「鷲・・・子さん?」
間違いなく鷲子さんが来ていたジーンズとTシャツだった。
「ぐぎゃあああああああああああああ!!」
そう叫んで馬乗りになっていた鷲子さん(?)を吹き飛ばし立ち上がる化け物。そして鷲子さん(?)を吹き飛ばしたほうへ向きなおった瞬間
「ぐぎゃ?」
怪物の体は一本の腕に貫かれていた。
「は?」
そのまま声も上げずに倒れていく怪物。そばにはその怪物を殺した“怪物”が血塗られた腕を見つめながら立っていた。
「・・・しゅ、鷲子さん・・・なんですか?」
「・・・・・・」
長く伸びた髪で顔は見えないが着ている服はさっき鷲子さんが来ていた服と同じものだ。だがあの羽は?それに鷲子さんの髪は赤みががった茶色で短かったはずだ。今の彼女の髪は真っ赤に染まっており、まるで血のように真っ赤に染まっていた。
「・・・・・・」
“怪物”は血で染まった腕から目を離すとそのまま後ろに向いて歩きだした。
「お、おい!!」
廊下の角を曲がった“怪物”を慌てて追いかける。
――――しかしそこには『誰もいなかった』
―――――――
~優海視点
「しゅ、鷲子さん・・・」
陸佐さんを助けに行った鷲子さんをただ茫然と見ていた私は、蓮子ちゃんに声をかけられたことで気が付いた。
「あ、あの・・・私たちはこれからどうすれば・・・」
「あ・・・と、とりあえず屋上に行こう!そこならきっと助けがいるから!!」
鷲子さんたちの事も気になるけど、今はこの子たちを安全なところまで運ぶのが優先事項だ。そう自分に言い聞かせて屋上へと階段を上る。
そして屋上の扉を開けると―――――
64式小銃いいですよ!64!!(←作者はガンヲタです)