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東方幻探課  作者: 犬上高一
白玉楼観光ツアー
47/49

第43話 クロ

―――――――


とある日の朝の事である。布団から起き上がった陸佐は、自身の脇に何やら違和感を感じた。

起き上がろうとして手をつくと布団の中に何やら柔らかい感覚が・・・


「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?)」


一瞬鷲子辺りが布団にもぐり込んで来たのかと思ったが、それはそれでやばい。


「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。)」


覚悟を決めた陸佐は一気に布団をひっぺはがした。

するとそこに居たのは、


―――すやすやと寝息を立てる幼女だった―――


「うわああぁぁあるえぇええええぇぇぇぇえええぇぇえええ!!?」


その叫びで家に居る全員が目を覚ましたという。











―――――――――――



「で、どうしたんですか?その娘は?」

「気が付いたら布団に入ってました。」

「「「「よし歯を食いしばれ。」」」」


時が過ぎる事約15分。

現在幻探課の女性陣が突如現れた謎の少女について陸佐に粛清している所だ。

ちなみにその娘は今真人が抱きかかえている。

陸佐が女性陣の粛清を受けている中、真人は幼女に話しかける。


「えっと君は誰かな?」

「私はね!クロっていうの!」

「そうか。クロちゃんっていうのか。」


『クロ』と名乗るこの少女は、元気よくそう答えた。


「所でどうして陸佐さんの布団に入ってたのかな?」


とりあえず、今一番知りたいことを聞いてみる。


「だってお父さんと一緒に寝たかったんだもん。」

「「「「「「!!?」」」」」」

「え?陸佐子供居たの!?」

「私は独身です!」


らしい。


「でもほら、この娘がお父さんって言ってますよ?」

「そんなこと言われても・・・。」


どうやら身に覚えがないらしい。だとしたらこの娘は・・・


「・・・クロ・・・?」

「ん?」

「どうしたんですか?」


何を思い立ったかみんなが見つめるなか立ち上がった陸佐は、そのまま部屋から出てガラッと玄関を開けて外を見る。すると


「な・・・・・・・・・・・・・ない・・・。」

「何が?」

「クロが・・・・・・“なくなってる”。」

「クロがって・・・・・・・・・・・・・あ・・・・。」


そこの扉の前にはいつも陸佐の愛車――96式装甲車が止めてあったのだ。だが、その装甲車が無くなっている。辺りを見回しても見つからない。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」


その場に居た全員が振り返り、“クロ”を見つめる。

真人に抱きかかえられた彼女は、キョトンとした顔で此方を見つめている。


「まさか・・・君・・・・・・クロ?」

「そうだよ?私はクロだよ?」

「クロってあの装甲車の?」

「うん。」


あっさりと認めたこの事実。皆口を開けしばしの間をおいて


「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええッツ!?」」」」」


本日2度目の叫び声が上がった。




―――――――



「それで、私に相談しに来たと・・・。」

「はい・・・。」


また時が過ぎる事30分。事態がさっぱり分からない幻探課の面々は、この人里にて幻想郷に詳しい慧音に助けを求めた。


「それは、付喪神だな。」


慧音の返事はこれだった。

付喪神とは長い年月を得て妖怪となった物の事である。傘や、琵琶などこの幻想郷には数多の付喪神が存在する。おそらくその内の一つなのだろう。

だが、ここで一つ疑問がある。

何故突然クロが付喪神となったかという事だ。


「それに関してはさっぱり分からない。」


それが慧音の回答だった。


「それだけ・・・ですか?」

「ああ。それだけだ。」


そう言って胸を張る慧音だが、聞いてる面々からするとどうしようもない答えである。


「でも、どうするんですか?この娘。」


そう言って陸佐の膝の上に乗っているクロを指差す優海。大事な装甲車が女の子になってしまったし、しかも持ち主は陸佐だし。

当のクロはそれが当たり前のように陸佐に頭を撫でて貰っている。


「・・・陸佐さん?」


・・・・・・・


「陸佐?」

「え?あ、はいなんでしょう?」

「いや、これからその娘をどうするんですかって聞いたんですけど?」


陸佐は少し間を置くと、見つめるクロに微笑みながら


「私が預かります。っていっても今までと変わらないですけどね。」

「・・・そうか。」

「どうかしましたか?」


何となく暗くなった表情を見て不思議に思う陸佐。その疑問を解決したのはクロだった。


「お父さん。どうして泣いてるの?」

「え?」


そう言って頬を拭ってみると少量だが涙がついていた。


「あ・・・あぁ、ちょっと欠伸をね。」


そういって眼鏡を外して涙を拭う陸佐。それを不思議そうに見つめるクロの目には彼のどこか寂しげな感情が映っていた。









          ―――――――――名前、どうしますか?―――――――――――



           ―――――――――名前かぁ。何が良いかな?――――――――



           ―――――――――『クロ』なんてどうですか?――――――――



            ―――――――――『クロ』?――――――――――



            ―――――――――そう。96だから『クロ』―――――――――



           ―――――――――決まりだな。―――――――――



           ―――――――――今日から君の名前はクロだ。―――――――



          ―――――――――――これからよろしくね。クロちゃん。――――――――――




言っちゃなんだけどおっさんの泣き顔見てもどうしようもなくね?

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