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東方幻探課  作者: 犬上高一
竹林にて出会ったもの
44/49

第40話 弾幕ごっこ

人称変えました。

――――


放たれた弾幕を慌てて避ける優海達。永遠亭の面々は弾幕を繰り出して対抗するが、どこから集まって来たのだろうか?妖精や小妖怪までもが弾幕を放って来た。


「くっ!数が多すぎる!!」


どうやら、騒ぎを起こすなら自分達も混ぜろ精神で集まってきたらしい彼らの相手をするのに忙しい永遠亭面子。次々と雑魚共を撃ち落としていくがどうにもこうにも数が多い。


「きゃーー!!」


そして例の幻特課面子は、赤マントの少女と例の茶髪の少女の弾幕を必死に走って避けていた。


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」


そばにあった岩の裏に隠れて呼吸を整える優海。


「(自分もあんな弾幕を出せれば・・・。)」


そんな事を考えてふと思い出した。


「(私魔法使えるじゃん!!)」


よくよく思い出してみると、優海は確かにアリスから弾幕ごっこについて聞かされていた。

その方法を思い出し、少女達を撃退しようとする。


「たしか・・・弾のイメージを作って・・・そこに魔力を込めて・・・。」


ぶつぶつと言いながら弾幕を放つ準備をしている優海。それに集中していた優海は、傍に近づいて来た一匹の犬の様な妖怪に気付かなかった。この幻想郷では人里に居る人間には手出しできない。だが、里の外にいる人間となれば話は別だった。


「!!」


気づいた時には、妖怪は優海目掛けて飛びかかって来た。


「来ないでぇえええええええ!!!


とっさに叫び手をブンブン振り回す優海。その振り回された手から放たれるのは、魔力を込めて作った弾幕。

人は極限状態に陥ると、通常では出せない力が出せるらしい。とっさに出したこの弾幕も、またその一種なのだろう。

突然現れた弾幕を避けられなかった妖怪は、被弾し、地面に転がって動かなくなった。


「優海さんナイス!!」

「ふえ?」


同じ岩裏に滑り込んできた真人にそう言われて、腑抜けた声を出す優海。目の前には先ほど自分に襲い掛かろうと飛びかかって来た妖怪が転がっていた。


「何があったの?」

「もう!!貴女が手から弾幕出してあの犬をやっつけたんじゃないですか!!」


真人にそう言われて初めて気づいた。自分が弾幕を放ったという事に。


「うそ・・・私・・・出来たんだ・・・。」

「そんな事よりも早く何とかしないと、蓮子ちゃん達が危ないんですよ!!」

「え!?」


岩陰から覗いて見てみると、蓮子とメリーが、小さな岩裏に隠れているのが見えた。だが、岩の大きさが小さすぎて隠れきれていない。


「さっきの弾幕。あれ、あいつ等にも当てられませんか?」


そう聞いて来た真人に優海は「やってみる。」と言って岩から手を突き出すと、弾幕を放とうとした。だが、手からは何も出ない。


「な!なんで!?」

「お、落ち着いて!きっと出来ますって!」


――そうだ。落ち着いて。さっきの感覚を思い出して・・・。


弾の形をイメージし、そこへ魔力を込める。


――そして優海の手から弾幕が放たれた。

ただし弾幕と言っても数発程度の弾が出ただけである。たった数発の弾幕を、少女達はさらりと躱した。


何度か同じ方法を試すものの、やはり一度に数発の弾を創り出すのがやっとである。


「どうしよう・・・。」


この程度の弾幕では少女達に勝てない。それは優海も、弾幕ごっこを初めて見た真人も感じていた。頼りになる永遠亭の面々は、いまだに雑魚共を片付けられない。時折、何やらカードをかざして傍から見ても強力な弾幕を放つが、一向に数は減らない。むしろ増える一方である。


「よし・・・こうなったら・・・。」

「ど・・・どうする気っすか?」

「走ってあいつ等の所まで言って、弾幕を当てる。」

「こ、この状況でですか!?」


弾幕が飛び交う中を移動し、なおかつその出元に弾幕を当てる。口で言うのは簡単だが、実際にやるのは難しい。


「・・・ま、まぁ・・・できないって訳でもないでしょうしね。」


他にいい案が思いつかなかったのか、そう言って真人はそこらへんに落ちていた竹の棒を拾い上げる。


「僕が囮になって相手の注意を引き付けます。その隙に、反対側から撃ってください。」

「え、でもそれじゃあ・・・。」


不安そうに聞く優海に対し、真人は竹の棒をグッと握りしめながら


「大丈夫。獲物さえあれば何とかなりますから。」











――――――



茶色い髪の少女―――今泉影狼は、先程から優海達や永琳達に向けて弾幕を放っていた。弾幕では無く暴力で自分の友人を傷つけようとしたものを影狼は許そうとしなかった。そして、その仲間と思しき者どもに向けて弾幕を放つ。

それは赤マントの少女――赤蛮奇も同じであった。自分の弾幕を抜けてきてかつ一発顔を殴られそうになったのに、その本人は友人の弾幕で伸びてしまっている。正直言って、認めたくない事だった。空も飛べない唯の人間に、自分の弾幕を躱されたことが。その怒りを、八つ当たりで優海達にぶつけているのだった。


そして、一度弾幕を放つのを止めて相手の出方を見ようとした時。岩陰から2人の人間が飛び出してくるのが見えた。その片方はこちらに真っ直ぐ突っ込んでくる。慌てた二人は弾幕を展開して飛び出してきた真人を迎撃する。


だが、真人は手に持っていた竹で、二人の弾幕を斬っていた。


「「!!?」」


正確には斬るというより受け流すという。角度を付けて弾幕を弾きながら突っ込んでくる真人に対し二人は唯驚くばかりである。だが、二人は即座に我を取り戻して弾幕を放ち始めた。


幾ら弾幕を弾けると言っても限界がある。足が止まって弾くことに必死になり、ついに被弾して吹っ飛ばされた。



被弾して吹っ飛ばされる真人を見て一安心した影狼は、突如己の背後に嫌な予感を感じる。そして振り返る間も無く彼女の体は吹き飛んでいき、そこで意識が途切れた。


赤蛮奇は見た。―――自分達の弾幕で人間が吹き飛ばされるところを


赤蛮奇は見た。―――吹き飛ばされた人間が笑っているのを


赤蛮奇は見た。―――自分の友人が吹き飛ばされた所を


赤蛮奇は見た。―――自分の友人に弾幕を放った少女を


赤蛮奇は見てしまった。―――その少女から自分に弾幕が放たれた所を



回避する間も無く被弾した赤蛮奇は、目を回して気絶してしまった。

後に残るのは、弾幕を放った優海と、小さな岩陰から様子を伺う蓮子とメリーだけだった。








「秘術『天文密葬法』!!!」


あ、忘れてた。

今の今まで雑魚と戦っていた永遠亭組は、半分キレた永琳のスペカ宣言により薙ぎ払われた。ほとんどの雑魚が駆逐された中、永琳は満身創痍の――それでも戦おうとする一匹の妖怪に向けて言い放った。


「もうッ!!しつっこいのよ!!いったい何なの!?私達に何か恨みでもあるの!?」


もう声にまで苛立ちが出ている永琳が聞くと妖怪はてゐを睨みつけながら


「そ・・・そこのウサギが・・・俺達を散々だましたんだ・・・。だから俺達は“被害者の会”を作って・・・いつかそこのウサギにふぎゅッツ!?」


すべて言い終わらない内にてゐが、ドロップキックを喰らわせる。そのキックのより妖怪は吹っ飛ばされていった。


「ははッ!!何を口走っているのかなこの妖怪は!?私がそんなことするわゲッツ!?」


今度はてゐのセリフが途中で切られた。無論切ったのは永琳と鈴仙である。二人とも片方ずつ耳を持っている。


「あ、あの〜二人ともどうしたんですか?・・・何か凄い笑顔ですけど?」

「「うふ・・・うふふふふふうふふふふふふふふふふふふふふふ。」」

「ごめんなさい適当にそこら辺に居た妖怪に悪戯しただけでして決して永遠亭の皆様にご迷惑を掛けようとしたわけではございませんすいません私が悪かったですだからスペカ笑顔で握るのヤメテ師匠も何か緑色の液体が入った注射器取り出すのヤメテ」


てゐの謝罪及び願望が叶う事は無かった。


残念ながらこの小説はまともな終わり方はしません。

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