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東方幻探課  作者: 犬上高一
竹林にて出会ったもの
40/49

第36話 筍狩りに行こうよ(前)

お待たせしました。今回から新章です。

――――――――

〜蓮子視点



探偵事務所を開いて早一か月。私達は未曽有の危機に直面していた。

それは―――




「・・・・・・・・・食料が・・・・・・・・無い・・・。」




飢えだった・・・。


「そんな事言われても仕事が来ないのでどうしようもありません・・・。」

「寺子屋の手伝いの報酬だけで家計を立てるのも限界です・・・。」

「お腹減った〜・・・。」


――――グゥゥゥゥゥゥ


全員が全員お腹を鳴らす。我が事務所の懐事情はそれほどまでに危ういのだ。

あ、やばい。何か頭がぼーっとしてきた・・・・・・。


そうして私が本気で人生を終えるかもと思ったその時。救世主が現れた。


「おーい。みんな〜おにぎり持って来たよ〜。」


家の外から聞こえた少女の声。その娘は手に籠を持っている。そしてその娘が発した単語に飢えで苦しんでいた者達がゆらりと起き上がる。まるで死体がゾンビとなって立ち上がるように。


「あれ?返事が無い・・・。どうしたのかな?」


そう言って少女が扉を開けたその時・・・。




「「「「「「「「「おぉ〜にぃ〜ぎぃ〜りぃ〜・・・・・・。」」」」」」」





「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」











「もう、みんなしていきなり脅かさないでよ。って聞いてるの?」


腰に手を当てながらそう言う少女は妙見と言って前に妖怪に襲われていた所を助けられた少女だ。そしてその娘の話を私達はおにぎりを食べながら聞いていた。


「うん、ひいへるひいへる。(聞いてる聞いてる)」

「いやどう見ても聞いてるように見えないんだけど・・・。」


それは気のせいだ、うん。


「それで、今日はどうしたの?」


おにぎりを食べ終わった優海さんが聞く。

優海さん。口の周りにご飯粒ついてます。


「ちょうどお仕事の依頼に来たのよ。」

「「「「「「「「仕事!?」」」」」」」


思わず全員が身を乗り出す。

だって、ここ最近仕事なんて来なかったんだよ!?それがここに来て依頼とはまさに助け舟だよ!!


「で、内容は?」

「それが店にある筍が無くなっちゃったから取ってきてほしいのよね。」


実はこの妙見ちゃんの両親は人里で『上海食亭』という食堂を経営しているのだ。

だから稀に差し入れとかを頂くのだが今回の差し入れは仕事だった。

それも筍狩りの。


「筍ってどこに取りに行けばいいの?」

「迷いの竹林っていう所にあるらしいの。今晩予約が入っているから出来るだけ急いでほしいんだ。」


今晩までか・・・。


「よし、その依頼受けたよ!」

「ありがと、助かるわ。あとこれ前金代わりのおにぎりだから皆頑張ってね。」


そう言い残すと妙見ちゃんはそのまま家へと帰って行く。


「さて!!おにぎりも食べたし、筍狩りしゅっぱーつ!!」

「「「「「「「「おおぉーー!!!」」」」」」


そう言って張り切って私達は筍狩りに出発していった。








――――――――で


「ここが・・・迷いの竹林。」


私こと蓮子は片手にバケツを持って立っていた。目の前には青々と茂った立派な竹林がある。ちなみに移動にはクロ使いました。


「さて、まずは手近な筍から取って行きましょうかね。大体30本ぐらいは欲しいですね。」


その内の3分の2はうちの食糧だろう。しばらく筍生活かな?


「それじゃ行ってみよー!!」


2人一組でペアを組んで片方がシャベル(陸佐さん持参)で筍を掘り出しもう片方はそれを木の桶に入れていく。


「あまり奥に行きすぎて迷うんじゃないよ。」

「「「「は〜い。」」」」


ちなみに私と蓮子。真人さんと優海さんが筍を取りに行って陸佐さんと鷲子さんはクロを見張っている。いや、クロ取られたら結構やばいじゃん?この幻想郷で装甲車を盗む人間は居ないかもしれないけど壊す妖怪ならいそうなので念のため。


「さて、頑張りましょうか!!」

「ええ、私達の食糧の為にね!!」


こうして幻特課の食材調達(あと依頼)は始まった。









――――――――

〜優海視点



「真人さん。鷲子さん言ってましたよね。“奥に行きすぎて迷うなよ”って。」

「言ってたね。」

「で・・・私達はいま・・・。」

「迷ったね。完璧に。」


そう、完璧に迷っていた。何所を見ても竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹竹やっぱり竹!!!竹しかない!!


「筍もあるよ。」


どーでもいいわ!!


「とりあえず元来た道を戻ればいいんだよ。」

「どっちから来たか覚えているんですか?」

「・・・・・・。」


そう言うと辺りをキョロキョロと見回すけど元来た道何て分かりはしない。だって地面ばかり見てたんだもの。

おまけに空一面に竹が生い茂っているせいで空も見れやしない。


「・・・・・・とりあえず歩こうよ。その内外に出るはずだから。」


そう言って真人さんは歩き始めた。それに私も続く。だが歩いても歩いても一向に外に出れる気配がしない。それどころかますます深くなっているような気がする。


「あの・・・ほんとに出られるんですか?これ?」

「そんなこと言われても、僕には



そこまで言いかけた所で真人さんの声が消えた。

というか姿ごと消えた。


「・・・・・・ほへ?」


あまりの事に変な声が出てしまう。そして辺りを見回すのだが真人さんの姿は「おーい・・・。」







ん?







「助けて・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・何やってるんですか?」


声のした方を見てみるとそこには落とし穴に落っこちた真人さんがいた。深さは大体2mあるかな?


「大丈夫ですか?」

「ちょっと足挫いたかも・・・。」


その穴の中で蹲って答える真人さん。そばにはスコップも落ちていた。


「ま、待っててください!!今ロープか何か持ってくるので!!」


そう言って辺りを見回して私は思った。ここ・・・竹林ジャンと・・・。

やばいよ、急いで引き上げないと妖怪とか何か出ちゃうよ・・・でもここにはロープ何てないし・・・。

・・・竹でも引っこ抜いてそれをロープ代わりにでもしようかな?



そんな事を考えながらあっちをうろうろこっちをうろろとしていると不意に何かにぶつかった。考え事しながら歩くもんじゃあないね。にしてもこの感覚・・・竹にしてはやわらかかったような?


「あいたたたたた・・・。」


・・・聞き覚えのない声が聞こえてまさかと思い顔を上げてみるとそこには


―――ウサ耳の少女がいました。


「は?」

「へ?」


そう言って二人揃ってお互いの顔を見る。ぶつかった娘は頭にウサ耳のセーラー服を着た女の子で真っ赤な目が良く目立つ娘だった。


・・・え?なにこれ?妖怪?それともコスプレ?


「に、人間!?なんでこんなとkr」


こう言う反応をするという事は・・・やっぱりこの娘は妖怪なんだ・・・よね?

ちなみに最後の方で舌噛んだみたい。口押さえて蹲っているもの・・・。


とりあえず蹲っているウサ耳少女に声を掛ける。


「大丈夫?」

「はい・・大・・丈夫・・・です・・・。」


死に掛けの人みたい。って思った私は悪くないと思う。

少しすると落ち着いたのか少女はゆっくりと起き上がった。まだ若干痛むようで時折渋い顔をする。


「イタタ・・・あ、何で人間がこんな所にいるんですか!?」

「いや、筍取りに来たら迷っちゃって・・・。」

「はぁ・・・・・・。」


溜め息吐かれたよ。


「とりあえず、竹林の外まで連れて行きますから着いて来てください。」

「え?道分かるの?」

「これでも妖怪です!!」


そう言うとウサ耳少女はずんずんと歩いて行って私は慌ててそれに行く。










―――――途中で真人さんの事を思い出して引き返したけど・・・。


不憫www

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