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東方幻探課  作者: 犬上高一
こちら幻探課探偵事務所
33/49

第31話  白玉楼の剣士

今回は短めですがゆっくり読むことをお勧めします。

――――――



「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」」」


この重苦しい沈黙。最後の希望が絶たれた感とそう言う事は口で言えよっていう怒り。

そんな感情をこの場に居ない妖忌さんに心の中でぶつけていた。


「・・・・・・・・・・ねぇ・・・一応聞くけどこれもしかして優海さんのとか?」

「あの人のはさっき見つけたしこれ墨で書いてあるから明らかに妖忌さんだと思うわ・・・。」

「っていうかあの人いつから居なくなってましたっけ?」


そう言えば・・・。あれ?最後に見たのいつだっけ?

といろいろ呟き始めるみんな。


「確か・・・慧音が土下座で床を破壊してた時には居た気がするんだけどね〜・・・。」

「そう言えば私の横に居ましたね。」


そんなこともあったね。その時の床はきちんと直してあります。


「・・・・・・で・・・どうします?魔法を習いに行った方を追いかけるかもしくは剣士さんの方を追いかけて助けてもらうか。」

「陸佐さん二人の名前忘れてません?」


そう言ってみるが相手はフッっと笑っただけで答えようとはしない。

っていうか何だよその笑いは。あれか?ついに開き直って「私が名前を憶えているとでも?」とでも言う気か?


「でも妖忌も自分の行先書いてないし・・・。やっぱり慧音に頼むしかないか・・・。」


やっぱりそうなっちゃいますよね・・・。


「そう言えば妖忌さんって一体どこに行ったんでしょうね?」


この何気ない質問はこの場の誰にも分からなかった。






―――――――



忘れる事のないこの無駄に長い階段。白塗りの壁と瓦で作られた門。昔とちっとも変らない眺め。

儂はこの幻想郷から外の世界へと旅立った。だが結界を抜けようとした時に何をどうしたか時間が狂い環境がまったく違う外の世界に放り出されそこで様々な問題を起こした。

寝る場所もなく、食べる物もなく。そうしてさまざまな所を彷徨いボロボロになりながらついにある街で倒れこんだ。外の世界の『常識』では儂は一応人間扱いになるらしい。だが、半人半霊の体ほど丈夫ではなく意外にもあっさりと倒れこんだ。

空腹で動けずさらには熱まで出てきた有様の老体を拾ったのは一人の老婆だった。

腰の曲がった白髪で目が細く丸眼鏡をしたその人は儂を引き摺って家の中へと連れ込んだ。

当時儂はかなりの熱を出していたからかその時の事はよく覚えていない。

だが、その後熱も下がり体力も回復し、これ以上迷惑を掛けれないからと家を出ようとすると


「お主はどこかへ行くあてでもあるのか?」


と聞かれ返事に困った。だったら家に来い、また倒れてもあれじゃろう。と言われ行くあても食事も寝床もなかったのでこの言葉に甘えさせてもらう事にした。

店の手伝いや家事料理などをやり、昔一度だけ強盗が入った時は刀で撃退した。(無論真剣ではなく木刀であるが・・・。)ただ・・・白玉楼の主の様に一度に大量の食事を用意しなければならない訳ではないが、伊智子殿の人使いの荒らさはかなりのものであったとだけ言っておく。


その後は彼らと共にもう一度幻想郷へと来る事になり、急にあの懐かしい笑顔が見たくなったのだ。昔自分が命に代えても守ると決めたあの主。一目だけでも見ておこうとこうしてやって来て、その目の前で思い出に浸ってしまっていた。

そして、思い出に浸るのをやめその門を潜ろうとした時。


「何者!!」


その言葉と共に門の奥から“2本の”刀を差しその周りにフワフワとした白い饅頭を漂わせた銀髪にリボンを付けた一人の少女が居た。


「・・・・・・ってあなたは?」


そう言って儂の姿―――正確には儂の腰に差してある刀――を見て戸惑いの表情になる。だがすぐさま顔を引き締めると刀を抜きその刃先を向ける。


「どこのどなたかは知りませんがこの白玉楼には一歩も入れさせないわ!!」


そう宣言して斬りかかってくる少女。そしてその刀を自分の刀で受け止める。


ガキィィン!!と言う金属同士のぶつかり合う音がし両者は一度距離を取る。


「なかなかやるな・・・。」

「そちらこそ、今のを防ぐなんてかなりの手練れですね・・・。ですがこの魂魄妖夢!!命に代えても負けられません!!」


そう宣言しもう一本の刀を抜き構える少女。・・・・ってちょっと待て、今この子は魂魄妖夢と言ったな・・・?という事は・・・。


改めてその少女の姿を見てみる。銀色の髪とその顔には微かに昔剣を教えた自分の弟子であり、同時に孫でもあった少女の面影がそこに有った。


と同時にある一つの思いが妖忌の中に湧いて出てきた。


昔の弟子がどのように育ったのか―――それを戦って確かめたいと。


良くも悪くも儂は剣士だ。だから同じ刀を持つ相手とはぜひとも戦ってみたくなる。


「ふっ、よかろう。儂が相手をしてやる。」


そう言って儂も2本目の刀を鞘から抜き構える。

お互いがお互いを見つめ合いそして


二人とも同時にそして一気に斬りかかった。


この後二人が戦うのだがそれはまた別のお話。









おまけ


―――――――


現在私とアリスは


「じゃこれ茹でといてね。」


「は〜い。」


お昼ご飯のパスタを茹でていた。


私はパスタにはバジルソース派です。

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