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東方幻探課  作者: 犬上高一
幻探課探偵事務所最初の事件
30/49

第29話  その後の幻探課

――――――



あの後、何とか陸佐は回復したがそこから結構遠くで倒れていた妖忌は全然起きなくて終いには装甲車の上に乗っけて里に戻ることにした。


え?なんで装甲車の中じゃないのかって?装甲車の中には何かいろんな物が詰め込まれてて人一人入るスペースがやっとだったんだよ。だから気絶していたのもあたし達も全員まとめて上に乗って帰ってきたって訳。ちなみに何故か上にも大量の荷物が載せられ縄で縛って止めてあった。・・・どんだけ持って来たんだよ・・・。


それにしても装甲車で人里に入ってきたときは随分驚かれたな。ここには車なんてものはないみたいだったし。


そして今あたし達は何しているかというと―――




「本ッ当にすまなかったッ!!」

「いや、だからもう大丈夫ですって。」




―――全力で土下座をして謝る慧音を止めることに必死だった。


「あの、人の話聞いてます?あのもう済んだこと何で大丈夫ですってさっきから言っているんですが・・・。」

「本当にすまなかった!!てっきり二人を攫った者かと思って怪我をさせてしまって・・・。」

「いや、あのですからもう大丈夫ですので。大した怪我ではありませんので・・・。」

「本当に申し訳ないッ!!」


そう言ってもう一度土下座をする慧音。彼女が土下座をする毎に木製の床が嫌な音を立てて壊れていく。そしてそれを陸佐と妖忌で必死に止めようとしているが・・・


「慧音さんってあそこまで人の話聞かない人でしたっけ?」

「さぁ・・・?」


一向に話を聞かず唯々謝罪と言う名の破壊を繰り返している。お!あたしってばうまいこと言った!!


「見てないで助けてくださいよ!!」


ついにこっちに助けを求めてきた陸佐。もう陸佐の手にも負えないか。


「しょうがないねぇ〜。」


そう言いながらあたしは土下座を続ける慧音に近ずくと――


「とりゃッ!!」


「いだッ!?」


結構力を入れて手刀を振り落した。


「いきなり何を!?」

「落ち着慧音。」

「今の洒落?」

「二人とも許すって言ってるんだし、女の子も無事に助かったんだ。事件も無事解決!これで誰も文句はないだろ?」


何でもいいから兎に角適当に言葉を並べて慧音を落ち着かせる。


「・・・ああ、そうだな。二人とも本当にすまなかった・・・。」

「いえいえ、儂は大丈夫でございます。」

「私も無事ですし。まぁ勘違いって言うのもよくありますから。」


この二人も空気を読んで快く許してくれた。・・・まぁさっきから許す許す言っていたのに話を聞いていなかった慧音が悪いが・・・。


「あの〜・・・・・・。」

「ん?何だい?」

「これはいったいどうゆうことでしょうか?」

「ああ〜。メリーは面識ないんだっけ。」

「ええ・・・。」

「まぁそう言う事ならしょうがないか。この迷彩服来たおじさんが陸佐。で、腰に刀を差しているのが妖忌。」

「どうも、陸佐です。」

「妖忌と申します。よろしくお願いします。」

「こ、此方こそ。マエリベリー・ハーンと言います。長いのでメリーで結構です。」


あ、メリーって愛称なんだ。まぁ絶対陸佐は覚えないだろうけど・・・。なんであそこまで人の名前覚えられないかね?


「で、どうして二人がこっちに?」

「あ、それですか?それはですね、『どうせこの際だからお前も行ってこい』との課長からの仰せでして。」

「・・・で?本人は?」

「『妻と娘残して別世界なんぞに行けるか!!』って言われました。」

「あの人らしいね。」


意外と課長は愛妻家なのだ。だって毎日の弁当いつも奥さんが作ってるし。


「まぁそんな訳で、もう一度お好み焼きさんに頼んでこっちに送ってもらいました。」


・・・・・・・・・・ああ、あの婆さんね。


「そしてこっちに来てみると、なんかゆうとs「優海です」・・・さんが襲われていたので、とりあえず装甲車で轢いたり斬ったりして助けたという訳です。」


いや、襲われていたからっていきなり轢いたり斬ったりするかね?普通。


「で、そっちの方はどうして?」

「小此木殿から陸佐殿を助けるように言われまして。そのまま来た次第です。」


へぇ〜、助っ人に出されるくらいだから結構腕がたつんだろう。


「で、あなた達はいったい何をしているんです?」


まぁ当然の質問だろうね。


私達は今までの起こった事を話した。優海がこっちに来た時の事。あたし達がこっちに来た時の事(真人がうっかりあたしの裸を見たことは省いた)。この幻想郷の事。

この人里で探偵事務所をやること。そしてさっきまで行方不明だった少女の事など。ちなみにあの後少女は目が覚めると近くにいた母親の所へ走って行きそのまま泣きながら抱き合っていた。


「・・・・・・はぁ・・・何ともまた・・・突拍子のない話ですな。」


そう言うとその場にいたメリー、蓮子、真人、優海。そしてあたしは思いっきり首を縦に振った。だって、別の世界があってさらにそこでは魔法やら妖怪やらいろいろある信じられない所だから、驚くのも無理ないさね。


「まるで、本の中にでも飛び込んだような感じですね。これじゃ。」

「元の世界から見れば幻想郷は夢のような所ですからね。」

「まぁ、何はともあれ女の子が無事でよかったです。」


優海の言葉にその場にいた全員が頷いた。



『ぐうぅぅぅ〜・・・。』



「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」」」

「あ、あははは・・・。何か安心したらお腹減っちゃって・・・。」


そう言って腹に手を当てながら恥ずかしそうに言う蓮子。あ、もうちゃん付けるのめんどくさくなってやめた。あたしは面倒なことはしないのさ。


「そうだな。それじゃあ今日は感謝の意も込めて私が盛大に腕を振るうとしよう!!。」

「「「「やったーッ!!」」」」


これで一先ず、幻探課最初の事件は幕を閉じたのであった。




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