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東方幻探課  作者: 犬上高一
とある怪事件にて
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第2話  ゲロ袋は役立たず

「まずは自己紹介だね。あたしは(うみ)(どり)鷲子(しゅうこ)。鷲子って呼んでちょうだい」

「わ、私は(とり)(しば)()(うみ)です!!よ、よろしくお願いします!!」

「かわいいね~。あ、そうそう紹介しておくよ。こちらのちっこい人がうちの課長」

「悪かったな小さくて」

「で、そこのおじさんは」

「陸佐です。よろしく」

「よ、よろしくお願いします」


えっと・・・まず最初に自己紹介したのはさっきドアを蹴り破ってきたお姉さんで名前は海鳥鷲子さん。だよね。

で、さっき私を脅かしてきたおじさんが陸佐さんだね。

次に・・・・・・この人ほんとに課長なの?


「悪かったな、課長に見えなくて」

「え、あ・・・すみません」


あれ?なんで心を読まれてるの?


「まぁいい。とりあえず優海君だったな。君はここがどういう所か分かっているのか?」

「い、いえまったく・・・」


だっていきなり辞令が来てそのままこっちにきたんだもん・・・


「ふむ、まぁしょうがないな。鷲子。過去の事件を見せてやれ。」

「らじゃー。と言うわけで優海ちゃん。こっち来て」

「あ、はい!」

「あ、ちょっと」


鷲子さんについていこうとしたらいきなり陸佐さんに呼び止められた。


「な、なんですか?」

「はいこれ」


えっとこれは・・・ビニール袋・・・ですよね。なぜ?


「そのうち分かるから」

「わ、分かりました・・・」


と、とりあえず行ってみよう。・・・ところでなんでこの二人は私の心が読めるの?





――――――


「ここだよ。」


そう言われて連れてこられたのは、小さな部屋にファイルが敷き詰められ、床にまで散らばっている。・・・正直言って汚い。


「あの・・・ここは?」

「資料室、うちが取り扱っている事件の資料が詰まっているところさ。」


なるほど、通りで~~事件と書かれたファイルばっかりが並んでいるわけだ。

・・・が、この散らかり様はなに?


「えっと、これでいいかな?」


そう言ってそこら辺の棚から一つのファイルを引っ張り出し、そのまま私に投げてきた。

これ・・・見た目より結構重いんですけど・・・


「それは、2年前のファイルだよ。まぁ見てみてよ」

「はい・・・」


鷲子さんにそう促されてファイルを開くするとそこには――――










――――――


「・・・で、新人にこのファイルを見せたわけか?お前は?」

「あはははは・・・うちに来るくらいだから慣れてるだろうなぁ~と思って・・・」


まったくお前は・・・と言いたげな視線を向けてくる課長。そして笑いながらその視線を受ける鷲子。


「で、その新人は?」

「洗面所で顔洗ってます」


この間にいったい何があったのかご説明しよう。鷲子が見せたファイルの中には目を背けたくなるような写真が貼ってありそれを見た優海はその場でリバースした(何をとは言わないが・・・)のだ。


「まったく・・・予備知識も与えずにこんなものを見せたらこうなることは予想できただ

 ろう?」

「でもおかげでうちがどういう所か説明する暇が省けたでしょう?」


まったくもって反省の色を見せない鷲子とそれを見て呆れる課長。ちなみに陸佐が渡したゲロ袋は役には立たなかった。


「うう~・・・ず、ずみません・・・迷惑をかけて・・・」


そうしてるうちに本人が口を押えながら部屋に入ってきた。


「ご、ごめんね~。ここにくるっていう事はそれなりに慣れてると思って」


慣れてないよ・・・まさか初日からあんなものを見せられ・・・うッ!!思い出したらまた吐き気が・・・・・・。


「はぁ・・・まぁたしかに説明する手間が省けたがな・・・」

「はい、水だよ」

「あ、ありがとうございます・・・」


陸佐さんに水を差しだされそれをゆっくり飲む。はぁ~、とりあえず吐き気は引いてきた。


「まぁ、今日はもう遅いから細かいところは明日でもしたらどうですかね?・・・何よりその状態で説明受けても頭に入らないでしょうし?」

「うう・・・」


思いっきり確信を得ているためどうすることも出来ない。まぁ私も今日ここに来たばっかりだしね。アパートに帰ってゆっくりしたいよ。


「君の部屋はそっちだ。荷物も置いてある。今日はそこで寝るといい」

「あ、ありがとうございます」


やったね!部屋まで用意まで用意してくれてるって!!もしかしたらここ、結構待遇がいいんじゃない?・・・ん?荷物って?


「今日から君はここで住み込みで働くんだよ。」

「え!?」


住み込み?・・・え?ここで暮らすの?


「そうだよん、ちなみに私と陸佐もここで生活しているよ」

「え、えぇ!?す、住み込みなんですか!?で、でも私アパートがあるし・・・」

「問題ない。もう契約は解除して荷物もこっちに移してある」


そう言って解約書と引越の書類を見せてくる課長。

・・・・・・・・い、いつのまに・・・。


「って何勝手に人の家の契約を解除しているんですか!?っていうか本人に断わりもなく

 無断で引っ越しの手続きをするんですか!?」

「まぁ、やってしまったものはしょうがないとして。詳しい話は後にするからとりあえず

 今日は部屋に戻って休んでくれ」

「ちょ、おま・・・」

「すみませんねぇ~。根はやさしい人なんですけど・・・」


私の質問を華麗にスルーした課長をフォローする陸佐さん。せめてその上司の横暴を止めてくれればなおよかったのに・・・


「まぁしょうがないね。とりあえず部屋に行って荷解きしようか。あたしも手伝ってあげ

 るからさ。」

「あ、ありがとうございます!!」


頼りになる先輩は後輩にとっての光だね!!


そして今日の私の最初の仕事は引っ越しの荷解きとなった。




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