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東方幻探課  作者: 犬上高一
幻想郷の少女たちと、外の世界の少女たち
17/49

第16話  人のふり

今回はなんと!!

若干長くなっただけです。

――――――

~蓮子視点



と、今まで起きたこと。そしてそれを解決するためにここに来たことを伝えると、おばあち「小此木じゃ!」・・・小此木さんは


「なるほどのぅ・・・それはまた難儀なことよのぅ」


現在私たちは魔菓子屋の奥にある一室にいる。部屋の真ん中の座布団の上には小此木さんが、その横に白髪のおじいさんが座っている。

それに向かい合うように端から鷲子さん。私。赤木さんが座布団の上に座っているのだがなぜか陸佐さんのみ座布団が出されなかったのはここだけの話だ。


「ところで、そちらの方は?」

「んあ〜。こやつは。」

「魂魄妖忌と申します。以後よろしくお願いします。」


丁寧に頭を下げるおじいさんもとい妖忌さん。の横には2本の刀が置いてある。さっき見た限りでは・・・・・・明らかに本物だ。っていうかそう言うのって許可がないと持っちゃいけないんじゃ・・・。


「こやつはしばらく前にわしの店の前で行き倒れておってな。今はわしの店の手伝いをさせておる。」

「小此木さんには助けていただいた身。助けになるのは当然の事です。」


第一印象、危険人物。


第二印象、堅苦しい。


第三印象、義理堅い。


以上が私が妖忌さんに感じた印象の上位3つだ。

一番最初に危険人物が来るのは、ついさっき刀を振り回そうとしたからである。


「はぁ・・・で、何か知っていませんか?」

「ああ、それはたぶんわしより妖忌の方が知っておるじゃろ。」

「「「「へ?」」」」

「はい、実は私はこの世界とは別の世界。“幻想郷”より来た身。そして我が身は半人半妖。元より寿命の長きこと。この幻想郷をはるか昔より知っている者です。おそらくその穴はスキマでしょう。」

「・・・すいません。よくわからないんですけど・・・」

「つまり、あなたは幻想郷と言う所から来てそしてその体は半分人間で半分が別の物。さらに幻想郷をずっと昔より知っていてそのスキマという物にも心当たりがある。と、いう事ですね。」

「その通りであります。」

「それで、そのスキマってのは何なんだい?」

「スキマと言いうのは、妖怪の賢者“八雲紫”殿の能力によって作られた空間の穴のようなものです。それは幻想郷とこの世界を分ける結界をも通り抜けるという物であります。おそらくは御二人もそのスキマに入りそのまま幻想入りしたと思われます。」


つまりその、八雲紫って人の作った“スキマ”にあの二人は飲み込まれて別の世界に行ってしまったという事なのね。

よくわからないけど・・・さらっとすごいことするな!!


「それで、その幻想郷とやらに行くにはどうしたらいいんですか?」

「それは・・・できません。」

「え、でもそちらから来たという事はこっちからも」

「無理です。私はこちらに来る際に紫殿のスキマによって送っていただいたのです。自分自身ではどうすることも出来ません。」


そうかぁ・・・その時は別の人に送ってもらったのか・・・。


「なに、お主ら幻想郷に行きたいのか?」

「え、ええ。友達がそこにいるんだから助けに行きたいんですけど・・・」

「なるほどのぉ〜」


それを聞いた小此木さんは怪しい笑みを浮かべながらこちらを見てくる。何か怖かったので助けを求めるように他の人の方を向くと、鷲子さんは何やら居心地が悪そうな顔をしており、赤木さんはどうやら気づいていないようだ。妖忌さんは表情に変化はない。そして最後に陸佐さんを見ると・・・何か微妙に体が震えていて顔が若干引きつっている。

・・・どうしたの?いったい。


「ならわしが幻想郷に連れて行ってやろう」

「「「「「え?」」」」」


え?


「わしがお主らを幻想郷へ連れて行ってやろうと言っておるのじゃ。」

「「「「「は?」」」」」


は?


「ええぃ!!だ・か・ら!!わしがその幻想郷に連れて行ってやろうと言っておるのじゃ!!」

「な・・・しかし幻想郷との間には強力な結界が貼ってあるのですぞ!!どうやって結界を抜けるのですか!?」

「ひひひ。わしを舐めるでないわ。久々にやるけぇの〜」


そう言って立ち上がる小此木さん。え、マジで幻想郷に行けるの!?


「ほれ、お前ら何しとる。はようこんか。」


そう言われて私たちは慌てて後を追いかける。どうやら店の奥は自宅だったらしくえらく古臭い木の廊下が続いていた。おばけが出てきてもおかしくない家である。


「ここじゃけぇの」


そう言ってある一部屋の前で止まる。


「なんです?ここ」

「まぁ入ってみればわかるわい。」


赤木さんの質問を誤魔化して襖を開ける小此木さん。そしてその部屋の中には・・・・







「「「「「何も・・・ない・・・?」」」」」



そこには何もないただ空っぽの薄暗い部屋があるだけだった。


「ふふふっ、まぁ見とれ。」


そう言うと服のポケットから何かの紙を取り出してそれを柱へと貼り付ける。

その瞬間天井が開き上から何やら奇妙な機械が下りてくる。

よく見るとそれは本棚であったりタンスであったり顕微鏡のような物であったり・・・

兎も角すごい変な機械だ。



「ようこそ、本当の“魔菓子屋”へ!!」















―――――――

~真人視点




さて、僕は今――――



――――開いた口が塞がりません。




「な、なんですか・・・?これは?」


全員が一番聞きたいことを代わりに聞く蓮子ちゃん。


「ふっふっふっ。よくぞ聞いたの!!これはわし特製の暗号作成機じゃ!!」

「「「「「暗号作成機!?」」」」」

「いかにもたこにも!」


死語だ・・・。


「それで・・・何ができるっていうんです?」

「この暗号機で幻想郷への扉を作るのじゃ。」

「「「「???」」」」」

「つまり、この機械を使って幻想郷の結界を通り抜ける。という事なのですね。」

「そう言う事じゃ。」

「「「「へぇ〜・・・」」」」


正直に言おう。訳分からねぇ〜・・・

妖忌さんを除いて全員が頭の上に?を浮かべていそうな表情だ。


「まぁ、論より証拠。見てみる方が早いじゃろ。」


そう言うとB「小此木じゃぞ・・・」・・・小此木さんはその不気味な機械を操作し始める。

っていうかどこがどうなっているんだあの機械は?そこかしこにレバーがついているからさっぱり分からない。


少しの間レバーやらボタンやらを動かしていたかと思うと突如その怪しい機械が音を立ててガタガタ動き始める。部屋の中が薄暗かったこと。家の内装がまるでおばけ屋敷のようだったことから、その機械が動き出した時は比喩ではなく本当に体がビクッ!!っとなった。


「いいいいいい、いったいなんだい!?」


驚いて声を上げる鷲子さん。よく見ると地味に蓮子ちゃんの服を裾をつかんでいる。その質問が言い終わると同時に今度は機械が一際大きく動く。その瞬間


「ひゃあ!?」


と言う可愛らしい声を上げた鷲子さんに一瞬驚き「ちーん!!」と言う音が聞こえた瞬間鷲子さんの体は猫のように飛び上がっていた。・・・何だろう。昼間の彼女とはまた違う雰囲気が・・・


「できたぞぉ!!。」

「「「「「!?」」」」」」


そして追い打ちをかけるように大声を出した小此木さん。

夜中に大声出さないでください!!びっくりするな〜もう・・・。


そしてその大声を出した張本人である小此木の手を見るとそこには怪しげな文字列や記号が書かれた御札があった。


「こいつを体に張れば即幻想郷行じゃて。」

「まじで!!」

「まじで。じゃ。」


そんなもん体に貼っただけで本当に幻想郷なんかに行けるのかな・・・?


「じゃが、たった3枚しか用意できんかった・・・。」

「え?っていうことは3人だけしか行けないっていう事?」

「そう言う事になるの。」


3人しかその幻想郷に行けないのか・・・。


「で、誰がその幻想郷に行くんじゃ?」


そう聞かれ、誰ともなく顔を合わせる。いきなり知らない世界に飛び込む勇気はさすがに誰も持ち合わせておらず、どうする?と言うような状況だった。


「まぁそう焦らなくともええ。明日にでも決めればええさ。」

「そう・・・ですね・・・。今夜はもう遅いですし」


部屋には時計がなかったが、外の方を見るとあたりは真っ暗になり星が輝いていることからかなり遅い時間だという事が分かる。


「それで、お主ら今晩はどうするつもりじゃ?」

「まぁ、近くのホテルにでも泊まろうかと」

「そうですよね。さすがにこれじゃあ京都に戻る時間もないし・・・」

「しゃあないか〜。さて、どこかいい宿ある?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


鷲子さんの気楽な質問に、黙っている陸佐さん。どうしたの?


「ここら辺には宿の一軒もないぞ。」

「「「!?」」」


小此木さんの言葉に4人は一斉に驚く。


「・・・っていうことはどうするんだい?陸佐〜?」

「い、いや〜・・・クロの中で寝ればいいかなー?とか考えていたもので〜・・・」

「「「「「クロ?」」」」」

「あの装甲車の名前。私の部下だった人が付けたんです。96式だからクロ。」

「「あ、なるほど」」

「じゃなくて今晩はあの固い椅子の上で雑魚寝しろっていうのかい?」


そう言って陸佐さんの襟を持ち上げる鷲子さん。何かカツアゲの現場みたいだ。


「第一、 装甲車に乗り心地を求める方が可笑しいんですが・・・」

「なんだって〜?」


そう言ってさらに襟を持ち上げる鷲子さん。だが、身長差の所為であまり効果はないようだ。そうしてみると、結構背が高いんだなあの人。妖忌さんも体格いいけど身長は完璧に陸佐さんの方が高いからな〜・・・。


「はぁ・・・まぁそこの阿呆はほっておいて。お主ら、今日はうちに泊まれい。」

「「「え?いいんですか?」」」

「かまわん。その代り・・・」


その・・・代わり・・・?


「宿泊料4万円じゃ!」


「「「「ぶッ!!」」」」


これは予想外だ・・・。何か来るとは思っていたがあからさまに金銭を要求してくるとは・・・


とかなんとかありながらとりあえず今日は小此木さんの家に泊まることになった僕たちだった・・・。










ちなみに宿泊料の4万円は、満場一致で陸佐が払うことに決定したのは別のお話。



























――――――――

~???視点



近所でも気味悪がられている駄菓子屋の奥にある古い家。その部屋の一角に布団が2つ敷いてあった。片方は少女、これでも大学生である。布団の中にきれいに寝ており、すやすやと安らかな寝息を立てている。もう片方は・・・何やら布団の中でごそごそしており何度も寝返りをうちなおしている。


と、何度目かの寝返りのうち布団が、起き上がったかと思うと



「眠れない・・・」



と中で寝返りをうっていた女性がつぶやいた・・・。










――――なんだかすっきりしない。


実は昨日のあの事件以来から何故だか体調がよくない。だるいというかそんな感じのものだ。そうして台所まで行き水を飲もうとする。


「はぁ・・・・なんだかな〜・・・」


こんなことですっきりするとは思えないが、とりあえず何か飲むものが欲しかった。そしてコップに水を注ぎ、それを一気に飲み干す。


「ふぅ・・・」


そして飲み終わったコップをテーブルに置いた瞬間、


「どうかしたかの?」

「!?」


驚き振り向くとそこにはこの家の家主。小此木がそこにいた。


「いや、ちょっと水が飲みたくなってね。」

「ほぉ〜。妖怪が夜中に水飲みか?」

「―――ッツ!!?」

「気づいてないとでも思ったか?わしを舐めるでないわ。」

「いつから・・・気が付いてた・・・?」

「お主を初めて見たときからじゃな。普通の人間が妖力なんてもっとるわけがないじゃろ。大方変化の術でも使って、人間のふりをしておったのじゃろう。」

「・・・・・・・」

「なぜお主が人間のふりをしてあやつらと一緒に行動しとるのかは知らん。じゃがお主も人に害を与える妖怪ではないのじゃろう?あの京都で暴れ回った妖怪のように。」

「・・・・・・・なぁ・・・この事」

「安心せい。このことはわしと妖忌以外は気づいておらん。あやつらの目の前でお主が変化を解いて元の姿に戻らない限りは気づかんじゃろ。」

「・・・・すまない・・・」


遠回しに黙ってやると言っているので、ひとまず安心する。という事はこの二人以外は気づいていないのか・・・。それはそれでいいが・・・。


「ところであの爺さん。いったい何者だい?ただの人間にしては妙に力が強かったが?」

「妖忌は半人半霊じゃ。半分が人間でもう半分は人外と言ったところじゃの。」

「あんたも半人半霊か?ただの婆さんには見えないんだけどね。」


実際、あんな機械を使っている時点でただの人間とは思えない。

そう言って、何を言い出すのかと待っていると、不意に


「お主は、何故?人のふりをしておる?」


と返されてしまう。唐突な質問にどう返事をするか迷っていると


「まぁええわ。わしの事などどうでもええじゃろ。お主も早く寝ないと怪しまれるぞい。」


そう言い残して部屋から出て行ってしまった。その姿を見送ってから自分も部屋に戻る。







お主は、何故?人のふりをしておる?



その言葉の意味を考えながら。


きな臭いですねぇ~。まぁ、ある種の付箋ですが。

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