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東方幻探課  作者: 犬上高一
幻想郷の少女たちと、外の世界の少女たち
12/49

第11話  上海人形ってかわいいよね!

今回はアリス宅。

――――――アリス宅

~優海視点



「はぁ〜・・・おいしぃ〜」


アリスちゃんが入れてくれた紅茶はとても上品でとてつもなく美味であった。


「ありがとう。これでも紅茶を入れるのは得意なのよ。」

「へぇ〜・・・」


そう言って人形―――上海の髪を触りながら答えるアリスちゃんを見て、次に部屋に飾ってある人形や本に目を移す。本の題名は英語で書いてあり、その中の一冊に『魔導書』と言う単語が目に留まった。


「あの・・・そこにある本って魔導書か何かですか?」

「ええ、そうだけど?何か興味でも?」

「え、あ、いや。小さいころは『魔法使いになりたい!』とか思っていて、それでいろいろ調べたりしたんです。おかげで英語の成績だけはよくなりましたけど」


何せ魔導書とかの類はほとんどが英語表記で、日本語表記のものなんてほとんどなかったからなぁ〜。


「でもなんでこんなものがここに?」

「それは私が魔法使いだからよ」

「・・・へ?」


たっぷり3秒置いて私が発した言葉はそれだった。だっていきなり目の前の人が魔法使い宣言するんですよ!おかしくないですか!?


「そう言う事が起こりうるのよ。ここ。幻想郷ではね」

「そのさっきから言っているその幻想郷っていうのは何なんですか?」


聞きたくて仕方なかった質問をようやく彼女に話す。そして帰ってきた答えは


「ここは幻想郷。神や妖怪や人間が共存している場所よ」


「神?妖怪?」

「まぁ外から来たのだから分からなくもないけど」


神様なんているわけないでしょ。だってそんなもの今時、どこで見るの?妖怪に関しては何か用かい?ぐらいしか思いつかない。

と、そんなことを考えていると不意に頭に重みを感じた。見るとそこには先ほどの上海人形が頭の上にちょこんと乗っかっていた。


「しゃんはい!!」

「どうやらそこが気に入ったみたいね」

「かわいい〜///」


そう言って紅茶を飲みながら微笑む二人をみて、視線を上海に戻す。一方の上海は、私の頭をぺちぺちと叩いている。そして――


「に、人形が動いてる!?」

「「今更かよッ!!」」








その後はこの幻想郷についていろいろと聞かせてもらった。それによるとこの魔法の森を抜けたところに人里って言う所があるらしい。そこに稗田家ってところがあるらしい。そこの当主稗田阿求に訳を話せば何とかなるだろう。とのことだった。


「じゃあその阿求さんって言う人に会えばいいんですね?」

「ええ、その方が安全だわ。残念だけどこの魔法の森は幻想郷でもそれなりに危険なところだから何かあったら、あなた達を守れる自信がないのよ・・・。」

「そ、そうなんですか・・・」


確かに、私達二人は自衛の手段をほとんど持っていない。そこを襲われたらどうしようもないだろう。


「ねぇアリスさん。この人形って全部アリスさんが作ったんですか?」


そう言いながらメリーは私の頭の上に乗っている上海の頬をつついている。つつかれている上海が見れないのが残念だが・・・。


「ええそうよ。ここにある人形はすべて私の手作りよ。」

「へぇ〜・・・。もしかして魔法とかで動くようにしてある。とか?」

「よくわかったわね。」


驚きの表情を見せながら答えるアリスに対し、メリーは得意げに胸を張ると


「ここにある魔導書と、動く人形。それを見ればたいていの人は分かりますよ」

「・・・」


そう言われて私は・・・結構へこんでいた。そんなことも分からなかった自分がちょっと残念でならない。・・・ってそれよりも!!


「あ、アリスちゃんって魔法が使えたの!?」

「「さっき魔法使いって言ったでしょうが!!」」


本日2度目のツッコミを喰らい、椅子に座ったままいじける・・・。そんな私を


「シャンハーイ・・・」


と言いながら慰めてくれる上海は、とっても可愛かった。






―――――――アリス宅

~アリス視点



いやはや、こんなボケをかましてくる人はほとんどいないだろうと私は紅茶を飲みながら思った。しかもこの人――優海の反応からするにどうやら狙ってやったわけではなさそうだ。・・・よく言えば天然。悪く言えばバカだろう。


「あ、もうこんな時間・・・」


部屋を見ると河童特製の時計がもうすっかり遅い時刻を刻んでいる。


「今日は二人とも、うちに泊まっていきなさい。今から人里に向かったのでは妖怪たちに食べられてしまうわよ」

「「え!?いいんですか!?」」

「いいのよ。送り出した人間が、途中で死んじゃったっていうのも後味悪いし・・・何より上海があなたの事を気に入ってるみたいだからね」

「シャンハーイ!!」


そう言うと上海は優海の周りをくるくると回り始めた。

が、周り過ぎたのか目を回し、ふらふらと飛んでいるうちにメリーにぶつかってしまった。


「ふぎゃ!?」


そう妙な声を出して顔を抑えるメリーと上海。それを見て噴き出す二人。さながらどこかの漫才のようだ。


「さて、とりあえず夕飯の準備をしてくるから、そこで待っていて」

「あ、手伝いますよアリスさん!!」

「アリスでいいわ。じゃあお願いね」

「はい!」


そう言ってメリーと一緒に台所へと向かう。その際優海を見てみると、いつの間にか肩に上海を乗せて本棚の中の一冊を夢中になって読んでいた。


「読み終わったら元の所に戻しておいてね」

「分かりました〜」


返事はしているが目は完璧にこちらをとらえていない。どうやら完全に本の虜になっているようだ。


「しばらく放っておいてあげましょう。」


私の言葉にうなずきながら台所へと向かうメリー。


そんな二人を知ってか知らずか、優海はただ黙々と魔導書を読み漁っていた。



「ほーらい?」(訳:わたしは?)


あ・・・ほーらいのことすっかり忘れてた・・・・。

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