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東方幻探課  作者: 犬上高一
幻想郷の少女たちと、外の世界の少女たち
11/49

第10話  魔女の所へ行くんだよ

今回は外にいる蓮子たちのお話です。

――――――

~蓮子視点



あの後私は校舎の外に出てそのまま救急車に乗せられた。そこで簡単な身体チェックと温かいスープ(栄養食品か何かだろう)を飲んだ後、お巡りさんに車で送ってもらった。両親は二人とも東京で働いているため、家には私一人で生活している。お巡りさんによると、明日の9時くらいにそちらに事情を聴きに来るから待っているようにと言われた。空を見て時間を確認すると、すでに10時を過ぎていた。


「あれはいったいなんだったんだろう?」


突然現れたあの不気味な穴。そこにあの化け物は飲み込まれていった。その場にいた二人とともに・・・


「・・・兎に角寝よう・・・今日はもう疲れた・・・」


これはどうせ悪い夢なんだ・・・夢からさめればいつも通りの日常が待っている。

そんなことを考えて私はベットの上に倒れこんだ。







―――――


翌朝、呼び鈴によって起こされた私はぐしゃぐしゃになった髪を直さないまま玄関へと向かった。玄関の扉を開けるとそこには、女性のお巡りさんが二人いた。


「初めまして、宇佐美蓮子さんですか?」

「え、あ。はい。そうですけど・・・」

「昨日大学で起こった事件の事情聴取のために迎えに来たのですが・・・・」


そう言われて私は、昨日の事件の事を思い出していた。

あれ・・・夢じゃなかったんだ・・・。


「それで、署の方に来ていただきたいのですが・・・今すぐには無理そうですね」


そう言って二人は私を見つめてくる。いや、正確には私の体だ。


「?」


気になってそばに置いてある鏡で自分の姿を見てみると、そこには髪が乱れすごい有様になっている自分の姿があった。


「とりあえず・・・身だしなみは整えたほうがいいですよ?」


そう言われて慌てて洗面所へ行き顔を洗い、髪を整えて、歯を磨いて、服を着替えて、と女としての最低限の身だしなみをそろえてから、私は地元の警察署へと向かった。







――――――


と、いう訳で私は現在、地元の警察署のとある部屋の前に連れてこられた。まさか自分が警察署に行くなんて思いもしていなかったが、警察署と言っても中にいる人が警官の制服を着ている以外、ほかの建物とはあまり変わらないところだろう。


「失礼します」


隣にいた婦警さんがドアをノックして開けると、そこには3人の男女がいた。

一人は20代くらいかな?と言う所の若い男の人だった。きっちりと着こなしているスーツが良く似合う。

その隣には、Tシャツを着た女性が座っていた。よくよく見ると昨日学校で私を助けてくれた女の人だ。

最後に、迷彩柄の服を着た眼鏡をかけた男の人が壁に寄りかかりながら煙草を吸っていた。

・・・明らかに最後の人警察官に見えないんだけど・・・

ちなみにさっきの婦警さんは、私が部屋に入った後何所かへ行ってしまった。


「君が、宇佐美蓮子ちゃんだね?」

「はい、そうですけど・・・?」

「初めまして。僕はここの警察署の捜査官の赤木真人。こっちの人たちは」

「どうも〜。幻特課の海鳥鷲子で〜す。鷲子でいいよ」

「同じく幻特課の陸佐です。よろしく」


あ、そうだ。この人あの時屋上で鷲子さんと一緒に居た人じゃん。


「じゃあ、早速ですが昨日の事件についてお話を聞かせてください。」

「あ、はい」


そうして昨日の出来事を話す。時々いろいろな質問されたがとりあえずわかる範囲だけを答えた。途中鷲子さんたちと出会ったところの説明をすると


「あの時私思いっきり首を絞められたな〜・・・・」


何て事をつぶやいたのでものすごく申し訳なくなってしまった。

そして、屋上で二人が消えた話になると、


「「「穴の中に飲み込まれた???」」」


3人そろって胡散臭い話を聞いているかのような顔をしてきた。


「はい・・・その化け物ごと、二人は穴の中に落ちて行って・・・私は少し離れていたから落ちなかったけど・・・」


いやいやいや・・・こんなこと言っても信じられないよね・・・。まず信じられないと言ったらはっきり言ってあんな化け物が出てきた時点でもうおかしいのよ・・・。


「やっぱり・・・信じられませんよね・・・」

「だが、現に二人は消えていて今も行方が分からない」

「おまけに屋上には何の痕跡もなし。ところどころ妙な破壊痕があったけど普通の人間が付けられるような後でもないし・・・。」

「はぁ・・・一体全体何なんだよこの事件は・・・」


「「「「はぁ〜・・・」」」」


そう言って四者四様の反応を見せそれぞれため息を吐く。


「・・・とりあえず、その穴の特徴を聞かせてくれるかな?」

「えっと・・・中は薄暗くて目玉みたいなものがいっぱいうごめいてて・・・すごく気持ち悪いところです・・・」

「えっと・・・こんな感じかな?」


そう言って赤木さんが出した鉛筆描きのスケッチにはまさしくあの時現れた穴のような絵が描いてあった。


「そ、そうです!!そんな感じの穴が足元にいきなり現れたんです!!」


って言うかあの穴をまるでコピーしたかのような絵だ。この人俗に言う似顔絵捜査官っていう人なのかな?


「うへぇ〜・・・ほんとにこんな感じの穴があるのか?」

「不気味・・・ですな・・・」


実物はカラーだからもっと気持ち悪いですよ♪


「もう、何が何だか僕にはさっぱりですよ。あなた方幻特課の方でしたよね?これ・・・何かわかります?」

「私達でもこんなのは見たことありませんよ。」

「こんな穴を見たら忘れたくとも忘れられないね。」

「あの・・・さっきから気になってたんですけど・・・幻特課っていったいなんですか?」


実はさっきの自己紹介の時からずっと気になっていたのだが、幻特課っていったい何なんだろう?


「正式名称は幻想特殊捜査1課。要は猟奇事件とか、普通は扱わない事件を担当しているところだよ。学校で言うと・・・オカルト研究部っていう所かな?」


お、オカルト研究部?そんなところがあるんだ・・・。まぁ秘封倶楽部なんて倶楽部をやっている私がいう事じゃあないけど・・・


「さて、手掛かりはその気味悪い穴だけ・・・どうしろと?」


私たちはそれぞれの顔を見て誰かいい案はもってない?と言いたげな目をそれぞれ向け合った。が、そんなものがあるわけもなく結局全員


「「「「はぁ・・・」」」」


と、溜息をもらすはめになったのである。


「う〜ん・・・こういうオカルトじみたことならその道の専門家に聞くのが一番じゃないかな?」

「専門家って言うと?」

「大学の心霊学の教授とか・・・そういうことを調べている倶楽部とか・・・」

「うぅ〜ん・・・どこの教授に聞いてもいい答えが返ってきたためしがないし・・・」

「オカルト倶楽部なんて所詮アマチュアだからね。あまりいい答えは期待できないね。」

「うう〜ん・・・他にこの道に通じている人なんて・・・」


鷲子さんにオカルト倶楽部をバカにされて若干腹が立ったが、考えてみれば確かにろくな成果はない。


「じゃあいっそ、どっかの魔女なり巫女さんにでも聞きますか?な〜んて」

「それだッ!!」

「「「うわッ!?」」」


私が冗談で言った案になぜか思いっきり反応したのは陸佐さんだった。ま、魔女や巫女さんがどうかしたの?


「よしッ!!そうと決まれば早速出発だな!!」

「あ、ちょ!陸佐!!ストップストップ!!」


いきなり部屋を出て行こうとする陸佐さんを慌てて押しとどめる鷲子さん。それにしてもあの人、体を動かすたびにあの大きい胸が揺れてかなりうらやましいんだけど・・・


「な、なんでしょうか?」

「いったいどこに行くつもりだい!?それくらい説明してほしいね!」

「あ、それは失礼。」

「で、どこに行くつもりなんですか?」


赤木さんの質問に対して陸佐さんは、にやりとしながら





「魔女の所へ行くんだよ」


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