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転生令嬢冒険者は元・ニセモノ魔法少女!  作者: 軟膏
第五章『ミラー・ミラー』
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22話『試練の予兆』

父との和解を果たし、真の戦士として覚醒したブリジット。三人の魔法少女が揃った新生『ミラージュアモーレ』の活躍は、王都の誰もが知るところとなっていた。 どんな困難な依頼も、三人の完璧な連携と、それぞれの愛と奇跡と夢の力で次々と解決していく。その姿は、まさしく英雄そのものだった。


「これでミラージュアモーレは向かうところ敵なし、だね!」


冒険者ギルドの談話スペース。アンナは積み上げられた依頼書の山を前に、満足げに胸を張った。鉱山での一件で浄化したダークミラーの力を吸収し、彼女のミラージュパクトの亀裂はさらに修復が進んでいる。 湧き上がる力に、自信が満ち溢れていた。


「ええ。わたくしたち三人が揃えば、ダークイマージュの幹部が束になってかかってきたとて、恐るるに足りませんわ」


ブリジットもまた、優雅に紅茶を飲みながら、自信に満ちた笑みを浮かべる。その言葉には、かつてのスヴァンフルート家の令嬢としての傲慢さではなく、仲間と共に幾多の死線を乗り越えてきた者だけが持つ、本物の誇りが宿っていた。


「はい! これからも三人で力を合わせれば、きっと大丈夫です!」


カナリアは、二人の頼もしい姿に、嬉しそうに目を細めた。


そんな、自信と希望に満ちた空気が三人を包んでいた、まさにその時だった。


「おおーい! 聞いておるか、ミラージュアモーレの諸君! ワシじゃ、ワシじゃよー!」


ギルド中に響き渡ったのは、場違いなほどに甲高く、そして聞き覚えのある声だった。三人が声のした方を見ると、ギルドの入り口で、小さな少女がぴょんぴょんと飛び跳ねながら手を振っている。銀髪のツーサイドアップに、豪奢なフリルのドレス。王立魔法研究院アントゥルー対策本部の偉い部長、『慧眼のキルケ』その人だった。


「キルケちゃん!?」


アンナが驚きの声を上げる。キルケは、周囲の冒険者たちの好奇の視線など意にも介さず、三人がいるテーブルまでずんずんと歩いてくると、自分の身長よりも高い椅子にひょいと飛び乗った。


「うむ! 相変わらず元気そうで何よりじゃな! さて、お主たちを呼びに来たのは他でもない! 面白いものを見つけたんじゃ!」


キルケはにぱーっと効果音がつきそうな笑顔で、一枚の古びた地図をテーブルの上に広げた。


「これは、王都の南方に位置する『黄昏の遺跡』の地図じゃ。古のヴェネディクト王国時代よりも、さらに昔の超古代文明の物とされておるが、これまで幾多の冒険者や研究者が挑んでは、誰一人として最深部までたどり着けた者はいない、謎多き遺跡でのう」


「遺跡調査、ですか?」


ブリジットが眉をひそめる。ダークイマージュとの戦いが激化するこの状況で、なぜ悠長に遺跡調査など。


「まあ、そう焦るでない」と、キルケは人差し指を立てた。「実はのう、つい先日、ワシの設置した魔力観測網が、その遺跡の深部から、ごく微弱なダークミラーの反応を捉えたのじゃ!」


「なんですって!?」


三人の顔色が変わる。


「うむ。おそらく、遺跡そのものが持つ強力な魔力フィールドに阻まれて、これまで観測できなかったのじゃろうな。だが、間違いなく、そこに『何か』がおる。そして、その反応は、ただのアントゥルーが放つものとは比べ物にならんほど、強力で、古く、そして邪悪な気配を放っておる」


キルケの瞳が、いつになく真剣な光を宿した。


「ワシの予測では、その遺跡の最深部には、鏡の女王の復活に関わる、何か重大な秘密が眠っておる可能性が高い。そこで、お主たちに、その調査をお願いしたいという訳じゃ」


ダークイマージュに直結する、重要な任務。アンナの心は、瞬時に決まった。


「分かったわ、キルケちゃん! その依頼、私たちミラージュアモーレが引き受ける!」


「アンナ!」「アンナ様!」


即答するアンナに、ブリジットとカナリアが慌てて声をかける。


「待ちさない、アンナ。少しは慎重になるべきですわ。誰一人たどり着けていない遺跡ですのよ? よほどの危険があるはずです」


「そ、そうです! それに、とっても邪悪な気配がするなんて…」


二人の心配ももっともだった。しかし、アンナの決意は揺るがない。


「危険だからこそ、私たちが行かなきゃ! 敵がそこにいるって分かってるのに、待ってなんていられないよ!」


その瞳は、もう遺跡の奥にいるであろう未知の敵を、確かに捉えていた。その強い光を見て、ブリジットとカナリアは、これ以上何を言っても無駄だと悟った。そして、それ以上に、この頼もしいリーダーの判断を信じている自分たちがいることにも気づいていた。二人は顔を見合わせると、やれやれと肩をすくめ、そして力強く頷いた。


「…まったく、あなたという人は。分かりましたわ。行きましょう」

「はい! 私も、覚悟を決めます!」


「うむ! 話が早くて助かるぞ!」


三人の決意を見て、キルケは満足げに頷いた。


こうして、ミラージュアモーレの一行は、新たな決意を胸に、謎多き『黄昏の遺跡』へと旅立つことになった。全員が変身能力を手にし、チームとしての結束もかつてないほどに高まっている。今の彼女たちに、敵はないように思えた。


だが、この先に待ち受けているのが、あまりにも大きな試練であることを、今はまだ、誰も知る由もなかった。

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