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第四話 なんかおかしい

「リアム・シャルム! ……素晴らしい魔力量だ! どの魔法にも適し、技量・知識、全てにおいて卓越している。よって、星の寮に選出する!」


「オフェリア・クラウン! ……陸の……っ、あー……えー……いや、多くの者に慈愛に満ち、様々な魔法に長け、人を導く能力を認める。よって、星の寮に選出する!」


「リアム・シャルムとオフェリア・クラウンは……αクラスだ」


「やぁ、ボクは三年の星の寮長のフェルセンだ。君達二人は……今日から二人でこの部屋を使ってくれ」



 ◇



 寮選別のあとクラス発表があり、それから寮へ行き部屋をあてがわれる。入学式後は実にサクサクとコトが進んだのはいいのだが、不自然なことが数々あった。


 寮選別では、明らかにオフェリアは陸の寮だったはずから一転星の寮に。

 本来、星の寮生は別々のクラスになるはずなのに同じクラス。

 極めつけは、性別の違う生徒は同室になるはずがないのに同室にされたことだ。


 薄々オフェリアもおかしいと思っていたものの、その都度指摘して混乱が生じたらと思って言えなかったが、寮の部屋に入り二人きりになったところで意を決してリアムに詰め寄った。


「リアム。変心魔法使ったでしょ」

「だから?」


 悪びれずに認めるリアム。

 さすが将来悪の帝王になるだけはあって、どうやら倫理観が欠けているらしい。


「だから? じゃないでしょ。変心魔法は禁忌の魔法でしょ! バレたらどうなるか……っ」


 変心魔法は術者の思うがままに意思を変えてしまう魔法だ。そのため、過去に犯罪者の隠れ蓑として多用されたのを機に禁忌の魔法として扱われている。

 当然、禁忌魔法なので一般的にその魔法を学ぶ機会などないのだが、どうやらリアムは十六という若さで扱えるらしい。しかも周りの教師さえも欺き、違和感を感じさせることないほどに。


「心外だなぁ。僕がそんなヘマをすると思う?」

「そういう問題じゃないでしょ」

「そもそもずっと一緒にいるって言ったでしょ。オフェリアと僕は離れられない契約なんだからこれでいいんだよ」

「離れられないからってそこまで徹底する必要ある?」

「もちろん。オフェリアさえよければお風呂だってトイレだって」

「な、何言ってるの! そこはダメに決まってるでしょ!」


 一緒にいるといっても一体どこまで一緒にいる気だと、頭が痛くなってくるオフェリア。想像以上にリアムはずっとそばから離れないつもりのようだ。


「というか、どうして私と一緒にいることがリアムが悪の帝王にならないことに繋がるのか全く理解できないんだけど。リアムが悪の帝王にならないっていう意志が強ければ問題ないじゃない」


 なぜだかは知らないが、現時点で未来のことを知っているのなら、未来を改変できるのではないかと思うオフェリア。

 既に変心魔法すら使えるほどの技量があるのに、わざわざマグナ・クルガ魔法学校に入学し、自分と一緒にいるのがオフェリアには理解できなかった。


「残念だけど、意志でどうこう変えられるものではないんだよ」

「何で?」

「簡単に言えば、因果の影響が強くてね。……とにかく、現時点ではオフェリアが僕と一緒にいたら悪の帝王にはならないということが確定してるとしか言えないかな。というわけで、オフェリアはずっと僕と一緒にいれば大丈夫」

「いやいや、全然大丈夫じゃないんだけど。着替えやお風呂はもちろん、トイレも別じゃないと無理」

「一生共にすると誓った仲なのに?」

「言い方! 語弊がありすぎるでしょ!」


 まだ会ってそんなに経ってないのにグイグイ来るリアムに若干引き気味のオフェリア。

 リアムの見た目、能力であればオフェリアみたいなその辺の雑種ではなく、由緒正しい王族や貴族の令嬢が黙っていないだろうにと自分に執着するリアムが不思議でしょうがなかった。


「オフェリアがいいんだよ」

「……っ! だから心を読まないでってば!」

「僕はキミ一筋だって逐一言っておかないとオフェリアはすぐに不安になるみたいだからね。というか、今は二人っきりだし、邪魔者もいないからさっきの続き、する?」

「さっきの続き……?」


 何かしなければいけないことなどあったっけ? と思いながら、オフェリアが首を傾げるとリアムが顔を近づけ目を瞑ってくる。そこで「あ」と先程の言動を思い出し、すぐさま身を翻そうとしたが、ガッチリとリアムに抱きしめられて身体を拘束されてしまった。


「約束、したよね?」

「してないしてない」

「往生際が悪いなぁ」

「往生際って……っ! そりゃそうでしょ。私、リアムのことまだよく知らないのにそういうことするのって……」


 実際、まだお互い知らない状態で恋人らしいことをするのには抵抗があった。リアムのことは嫌いではないが、まだ好きという感情には程遠い。あくまで今は友人以上恋人未満だ。


「なるほど。確かに、それは一理あるかもね」


 どうやらオフェリアの言葉に納得したらしいリアム。オフェリアを拘束していた腕を解き、代わりに彼女の手を握った。


「では、まずはオフェリアに僕のことを好きになってもらうように努めよう」


 リアムから恭しく手の甲に唇を落とされる。

 こういうことにあまり慣れていないオフェリアは不意打ちに耳まで真っ赤に染めた。


「覚悟しておいてね」

「お、お手柔らかにお願いします」


 自分で言ったはずなのに、なんだか変な方向に話が進んでると思いつつも、キスすることを免れたことにホッとする。

 その後、やっぱり選択間違えたかな? と気づくも、オフェリアにはどうすることもできなかった。

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