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「……………?」


「どったの?親友」


北斗がとある方向を向いた。


「争う声がする。男女の声だね」


「ああ、明衣さんのご兄妹かな?」


「そうかも。でも、かなり焦っているね。うんと遺産?借金?とか聞こえてくるね」


「あー。情報通りか。かなり多額の借金があるっては書いてあったけど……」


……………なんで声が聞こえてくるんだろうか?全然、私の耳には一切そんな声は入ってこない。これが年の差なのか……?


「明衣さーん。親友の身体能力が人外並みだから気にしないでいいよお」


「まあ、否定しないけど」


あ、励まされた……。





争う声はするがそれを無視して、荷物を片付けていると使用人が声をかけてきて広間に集合するように言われた。

どうにも手紙を送ってきた弁護士である鶫しょうがが全員を集めて、話をしたいというのだ。

広間まで着くとそこには男女が座っていて、こちらを睨みつけていた。

三人とも確か黒髪で癖があったはずだが、大人になってから髪を染めたり縮毛矯正をしているのだろう。以前会ったときが子どもの頃なのでうろ覚えではあるが、まあ、私に対していい感情は無いようだ。


「なんで、あんたがここにいるのよ」

まずは長女の響子(きょうこ)


「本当に」

次男の猿彦(さるひこ)


「邪魔なんだけど?」

三女の義子(よしこ)


うわー、暴言の嵐だなー。そんな言葉を受け流すが北斗が気を使って前に出た。


「はあ?なに、その高校生たち?」


「ボディーガードでーす。気にしないでくださーい」


「はあ??」


まあ、普通はそういうリアクションになるよね。うん。


「……………ようこそ、おいでくださいました。明衣様」


スーツを着ている老人。この人が弁護士の(つぐみ)である。

母の葬式であった以来だろうか?

さあ、お座りくださいと促されたので座る。


「お集まりいただいたのは遺言のことでございます」


「あの当主と値する者にカエル物を持ってくれば、財産を相続するってやつ?」


「さようでございます」


「それが何なのか分かんないんだけど?」


「そうよ。使用人たちに訊いても変わらないっていうし」


ぎゃいぎゃいと騒ぎだす。

醜いなと内心で思っていると南がまるで昼ドラみたいとぼそっと言う。


「そうです。皆様はまだそれを持ってきておりません。遺言状での期限としましては一月とされています」


「そうだけどよ」


「それに兄さんも亡くなったのよ?それどころじゃないわ」


そう言って妹はこちらを見てくる。


「まさか、あんたが?」

…………………………なんで、そんな思考回路になるの??



「あのー、失礼かと思いますが遺言状を見せてもらうことって可能ですか?それと写真とかも」



そして、空気を読まずに挙手をしてそんなことを言うのかな?南ちゃんよ。



「はあ?部外者はだま」


「というか、お兄さんを殺すなんて明衣さんにはできませんよ?だって、死亡推定時刻から考えるとその時はずっと私たちといましたし、ましてや新幹線で数時間かかるところをどうやって行けるんですか?」


まあ、疑うのであれば警察に言って勤怠管理を調べたらいいのでは?と続けざまに言うと妹は口ごもる。


「………………確かに大貴様のこともございます。ですので、皆様もくれぐれもお気を付けください」


「それって私たちも狙われているってこと!?」


「じょ、冗談じゃない!!!」


「し、失礼するわ!!」


そう言って兄妹たちは慌てた様子で立ち上がって去っていった。

……………何か狙われるようなことでもしているのかしら?

兄妹が去ったのを確認してから鶫が木箱を出してきて、中身を空けてくれた。


「こちらが遺言状となります」


さっと遺言状を見せてきた。

こうやって母の字を見るのは初めてだな。手が震えていたのか、少し字が歪んではいるが直筆で書かれている。


「……………へえ、カエル物って片仮名なんだ」


「ちなみに他にないんですか?こうヒントみたいなのは」


北斗がそう訊くと鶫はございますと言ってくる。


「皆様にそれぞれご当主さまから渡された品物があります」


長男には鍋、次男には臼、長女には煙管、次女には人形、三女には屏風を渡すようにと言われたようだ。ちなみに人形と言うのが北の間に置かれていたあの双子人形だ。


「なんというか変ですね」


「……………ちなみに弁護士さんのそのブローチってご当主からですか?」


「ええ、そうでございます」


小さくも高級品だと分かる。鳥の絵が描かれているな。


「我が家は天井利家との親交の証にと」


「……………そうですか」


南が何か考え事をしている。

遺言状を箱に仕舞い、用事があるようで鶫も去っていった。

代わりに入ってきた使用人がアルバムを持ってきて、それを広げてみていたがなんというか違和感がある。

兄妹、父親、母の写真が当たり前のようにあるのだが。


「……………()()()()()()()()()()()?」


「だねー。しかも、夫婦写真もないのは不思議だね」


黒髪の型よりも短く、体格は少し細い。顔つきとかは兄妹にそっくりである男性の写真。

確か、父親も母の前に亡くなっていたな。確か名前は。


鶫大尊(つぐみひろたか)……」


「…………………………成程。親交ってそういうことか」


鶫家から婿入りしていた父親ではあるが母と同じであまり面識がない。


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