2
そして、いよいよ実家に戻る日となった。
法事ということもあり、アパートに戻って色々と準備してから出発となった。
いつの間にか新幹線のチケットも用意されていて、普通に乗ることが出来た。
「……………なんで新幹線のアイスって硬すぎるんだい?親友よ」
「乗る時間が長いからその間に溶かして食べるためじゃなかったかな?まあ、まだ時間はあるし待てばいいよ」
車内販売で売っていたアイスを買った南にコンビニでお菓子や飲み物を買っていた北斗が食べる?と渡してくる。
「それもそっか。というか、親友。買いすぎでは?」
「ん?そう。糖分ほしいかなと思って買ったんだけど?」
「え、私の為に!?好き!愛しているよ!」
「うん。私も好きだよー」
きゃあ、両思いだねとおちゃらける南にそうだねーと棒読みをする北斗。
なんだ、このコントのようなお喋りは。
傍観していた私に南が声を掛けてくる。
「明衣さんも食べてください」
「うん。このポテチ、おいしいですよ」
「………ありがとう」
うん、久々に食べたけどおいしいな。
新幹線からのタクシーで移動していた。
「うーん、ザ・日本屋敷だね」
「でかーい。すごーい」
実家の大きさに二人はテンプレートな感想が出ていた。
「まあ、お嬢様!!お帰りなさいませ」
玄関前で世話しなく動いている使用人の一人が私を見つけて、近寄ってくる。
「まあまあ!大きくなられて!!」
「う、うん」
「それとお隣の方は?」
「初めまして!明衣さんの護衛でともに参りました」
そう言うと使用人は息を吞む。……………何か知っているのか?
しかし、それも一瞬でようこそお越しくださいました。さあ、中へどうぞと言われて中に入る。
中も中で日本屋敷だ。木造の建築に長く続く廊下。
「お嬢様たちは『北の間』をお使いください」
「『北の間』?」
北斗がそう呟くと使用人がこの屋敷に関して説明してくれた。
ここは東西南北で部屋があり、前当主である母が、子どもたちが泊まる際には部屋ごとに分けるようにと言いつけられているというのだ。
それで、私は『北の間』に泊まるように言われているという。
「へえ、何か意味があるのですか?」
「さぁ、私は何とも。梅子さんであれば何か知っているかもしれません」
そう使用人は言って、ここが『北の間』だと案内してくれた。
「おー。ひろーい。しかも、豪華」
「そして、床の間に飾られている謎の人形」
「はっ、ホラー映画あるあるではっ」
こらこらと二人を宥める。
しかし、私も初めて入る部屋を思わず目を見張ってしまった。
一人部屋かと思いきや三人入っても広いし、縁側には小さな池もある。
部屋の装飾も豪華でまるで昔のお姫様の部屋のようであった。
「うーん。これは元々なんですか?」
「ええ。ここは必ず掃除するように言われておりますから」
「へー。この人形たちもですか?」
「はい。そうです」
床の間に置いてあるガラスケースの中には男女の日本人形が飾られている。
武士と姫であろうか?武士のように甲冑と刀を腰につけているし、女の子の方は着物に何故か手には弓を持っている。
「……………手入れを丁寧にされているんですね。これって誰かの作品ですか?」
「さあ?私もよくは……、それにそのガラスケースは開かないので」
手入れはしてないのですと使用人はそう言うとまだ仕事があるので失礼しますと頭を下げて去っていく。
「……………親友」
「これは死物じゃないよ。というか、これはまあ、お守りだね」
南がそう言ってほっと安心した。
「きっと、ここは明衣さんの為の部屋なんだと思う」
「え?私の?」
どういうことだ?私の為の部屋??
ここには来たことがなかった私に何で部屋を用意したのだろうか。
「まあ、本当のことはまだ分からないし。ここは知っている人に話を聞きたいよねー」
にしては、これはかなりの品物だな。一見しても分かるぐらいだし、何処で作ってもらったんだろうとぶつぶつと人形たちを見ながら呟いていた。




