後日談
「……………明衣さん。彼氏さんできたんだって」
「あー、やっぱり?」
とあるカフェの中にて南たちは休憩をしていた。
先程、とある屋敷の依頼を終わらせてきたばかりであったがスマホをいじっていた南が嬉しそうにそう言ってくる。
「良縁の赤い糸が誰かに繋がっていたからね。よかったよかった」
「意識してくれるまで時間かかったんだろうねー」
そんな話をしていた際にふと北斗がずっと気になっていたことを話し出す。
「そういえばだけど、円佳さんは病死でその夫になった大尊さんってどうなったんだっけ?」
そう。皆が天井利円佳のことに意識を向けていたが鶫大尊に関しては触れてこなかった。
「あー、確かに気になるよね。大尊さんは結婚した二年後に愛人と失踪してその半年後に遺体として発見されたんだよ」
二人とも何かに引き裂かれた跡があり、野生動物に遭遇して殺されたとして処理された。
「へえ。森の中で迷子になったのかな?」
「さあね。………まあ、あまり証拠がないから私の考えだと」
何者かによって殺された。
「こう考えたほうがいいかもねー。二人とも金遣いが荒くってよく鶫家にせびっていたって話だし」
ましてや、天井利家のこともある。表にばらされたくなければ金をくれと脅すこともできただろう。しかし、二人は失踪のちに亡くなった。
「それともう一つは死物のことも気になるんだよねー」
「え?」
だって、天井利家にあった『鵺の毛皮』は封印され、厳重に保管されていたのに鶫靖巌はたまたま見つけたと言っていた。そんなたまたま見つけられる場所に保管しておくか?
誰かがそこに意図的に置いておいたのではないだろうか?では誰が?
それに話を戻すが、大人二人が引き裂かれて死んでいた。血肉を貪った様な跡も残っていなくて果たして野生動物が殺したのだろうか?
「もしかしたら、鶫靖巌の他にも死物を使ったんじゃないかなって考えるんだよね。あの二人を口封じするために。そう考えると封印を解いて、わざと見つけられるところにおいて、使い方が記された本を置いとくとなると納得いくんだよね」
「でも、一体誰が?」
「さあね。これはあくまでも私の考えだし。真実はどうだろうね」
南はそう言って食べていたショートケーキのイチゴにフォークを刺した。
「ただ、事件の後だけど鶫昭牙が精神病院に入院したようだよ」
「え?」
「なんでも鶫家の悪事が発覚しまくって精神をやられたみたい」
始まりはいつだったか。夜中に急に叫び出した鶫昭牙は目を血走りながら自身の顔に引っ搔き回していた。
『顔!!!!私の顔は何処に行ったぁぁぁああああああ!!!?????』
あああ!!と絶叫とともに暴れ出したと言う。
治療をするために入院をしているが、治るかが不明とも診断された。
「これは鶫靖巌も似たような症状が出てきているっていう話だよ。まあ、黒翼から術者を派遣してそこら辺のケアはしているみたいだけど」
「……………じゃあ」
「真実は分からない。まあ、私たちや明衣さんたちには関係のない話だよ」
南はそう言って、ぱくりとイチゴを頬張る。
―鶫昭牙が着けていた鳥のブローチだが、それが『トラツグミ』であったことは果たして偶然だったのか。それとも必然だったのか。
「人ってやっぱり怖いよねー。さあて、親友」
次の死物はなんだろうね?




