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第六話 明らかになる事実


○○警察署内にある会議室を貸してもらい、南はホワイトボートに色々と書き込んでいく。


「まず、天井利家の可笑しなところをおさらいしましょう」


天井利円佳が残した遺言状。

子どもたちに残したモノ。

三女である明衣だけが幼少期から叔父夫婦に育てられていたこと。

鶫家と天井利家の関係。

アルバムの違和感。

異常なまでに明衣を敵視する兄妹たち。


「これら全てが今回に関係があるってことです」


「天井利家の財産目的の殺人ではないのか?」


「まあ、それもあるでしょうけど犯人は天井利家の裏の顔を隠したいのでしょうね。だから、明衣さんを執拗に狙っている」


「裏の顔?」


「明衣さん。これから話すことを落ち着いて聞いてください」


「……………うん」

ごくりとつばを飲み込む。

なんだろう。この不安感は。




「DNA鑑定をすれば分かるとは思いますが、明衣さんと他の兄妹は()()()()()()()


「は、はあ!?」





またもや突拍子もないことに全員が唖然とした。


「親友。なんで分かるの?血縁関係がないって」


「昨夜に話したことがあるでしょ?遺伝のこと」


遺伝?


「両親から遺伝する中でも髪質や髪色は特に遺伝しやすい。黒髪、癖っ毛……、アルバムの中の円佳さんと大尊さんは二人とも黒髪の直毛。調べたら祖父母も同じ髪質だった。ましてや、自分の子どもなのに一緒に写っている写真が一枚も無いのはどう見ても不自然でしかない」


「………成程。他人の子どもと写ることを嫌がった」


「そう。んで、ここで問題が出てくる。では、あの兄妹の母親は誰なのか?」


「……………もしかして、愛人?」


そう。生前の大尊さんは顔に見合わず、女遊びが激しい人だったそうだ。その中でも一人の愛人にのめり込んでその女性は子どもを出産した。しかし、鶫家は代々弁護士を生業としてきた一族だ。そんな愛人の子どもを認めるわけがない。そんな中で、出てきたのが天井利家との結婚話だった。


「恐らく、愛人の子を引き取る代わりに婿入りしたんでしょうね」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!天井利家には何にもメリットがないじゃないか!」


「……………それがあるんですよ。天井利家では円佳さんと当時、婚約をしていた冬紀(ふゆき)さんという方がいたんです」


ポケットからスマホを取り出して、画面を見せてくる。

そこに映し出されていたのは母である円佳と彼女に寄り添おう男性の姿があった。

長身で黒髪の肩にもつかないほど短く、強面で体格ががっしりとしている。


「結婚が迫っていた時に冬紀さんが事故で亡くなってしまった」

これが当時の新聞記事ですとまた違う画面を見せてくれた。


「天井利家の当時の当主は焦ったのでしょう」


それもそのはずだ。結婚式には政治家や有名な実業家たちが招待されている。そんな中で婿が死んでしまい、結婚式が無くなってしまうとなると天井利家の名誉に関わると思ったのだろう。……いや、この結婚式には何か大きな契約や大金が裏で動いていたのかもしれない。その際に、鶫家のことを知ったのだろう。愛人の子どもと言う汚点を引き受ける代わりに婿を寄こすように取引をした。


「円佳さんは反対したのでしょう。それもそうだ。愛した男性を失ったのに知らない男と結婚させられそうになっているのですから」


「でも、結婚した。それは一体、何故?」


「………この時、円佳さんのおなかには赤ちゃんがいたんです」


「…………………………それって」


「はい。それこそ、明衣さん。貴方です」


どくんと胸が早鳴りする。


「恐らくですが、円佳さんも脅されたのでしょう。子どもの命を人質に取られ、手立てがなかった彼女は明衣さんを守るために当主に従った」


「…………………………なんということだ」


「そして、円佳さんは信頼できる弟夫妻と乳母に明衣さんを託したのでしょう」


もし、本家に居たら何をされるか分かったものじゃない。誰にも打ち明けられずにいる中で弟に娘を託した。恐らく、弟も何かを感じ取っていたのでしょうね。ましてや、冬紀さんと円佳さんは愛し合っていた仲だ。弟である彼も親しかったと聞いています。だからこそ、明衣さんを大事に育てた。


「……………会わなかったのは明衣さんを()()()()?」


「恐らくそうだろうね。結婚してから彼女は豹変したように前当主を更迭して、自分が当主になった。そこから事業を広め、天井利家は更なる金持ちとなった」


「…………………そんなことがあったなんて」


表現できない何かがあふれてきた。

私には母を直接見たことはなかった。子どもの時は母に会えなくて寂しい思いをしたが、それ以上に叔父夫婦や梅子が愛情を注いでくれたおかげで歪むことがなく生きてきた。母のことを聞こうとも思ったが、三人はあまりにも悲痛な顔をするので聞くのもやめた。だが、こんな事情があったなんて、もっと追及しておけばよかった。


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