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敬意の払い方

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

バチバチのお嬢様口調はほぼ使いませんよ。

俺の先輩はそりゃもう人の好き嫌いが激しい人だった。好きな人の対応が、嫌いな人の対応が、雲泥の差がある。中でも一番分かりやすいのが口調だった。好きな人の前では敬語をフルに使った話し方。嫌いな人の前では、荒くれ者の様な口調だった。同一人物か確認する為に二度見したことは記憶に新しい。例えばこんな感じ。

――お久しゅう御座います。□□様。お加減は如何で御座いましょうか?

――んだよ、久しぶりだなぁ。△△。(ツラ)拝まねぇから死んだかと思ってたわ。

これくらいの差がある。それくらいの差を付けて扱いを変える。


久方振りに先輩に会うことになって、近くのパーラーに行くことになった。

「久しぶりです。先輩。元気にしてましたか?」

「まぁ。それなりに。昨日は性的嫌がらせされたから、目を潰して置いた。良い薬だろうね」

俺に対しては、かなり人当たりの良い口調で会話を続ける。しかし嫌いな相手を思った時の内容の物騒さは大して変わらない。ほくそ笑んだ顔は果たして、ケーキに対してか。不届き者に対してか。

ケーキを口に入れながら困惑した様に先輩の様子を伺う。彼女は決して猫背にならず、静かにクリームにフォークを差し込んで、口へと運んでいた。口から引き抜いた後も、垂直のままに紅茶を啜る。目を見張る程に美しい所作だった。

「敵、多そうですね」

「まぁね。でも因果応報。そんな行動されたくなければ我が振り直す。対人関係の基本だよ」

「それは……口調もですか?」

ピクっと眉毛が動く。突き刺さりかけたフォークはすぐに真上に引き上げられ、へばりついたクリームは舌先に舐め取られる。そうして静かに皿の上に乗せられた。それからじっと此方を見て黙って舌なめずりをした。

地雷をぶち抜いたのかも知れない。元々かなり気まぐれな人だ。俺に対してだって何時荒い口調で襲い掛かるか分からない。

「君、今日はやけに突っかかるな。誰かの差し金か……。はたまた好奇心か……。まぁ良いさ」

それから強者特有の眼光を煌めかせると、徐に口を開く。

「敬意を払いたいと思う相手には自然とそうなるよ。払おうと思えないから雑になるんだ。私に敬意を払われたいかい? ならば私が敬おうと思える人間になりな」

その言葉に釘を刺すような響きが多分に含まれていた。まるで『これ以上首を突っ込むようならば、こちらも容赦はしない』という様な。しかし彼女はあくまでも本心を隠した様に、直立に、静かに紅茶を啜っている。

「俺は……」

「あぁ。君が年上ならば……そうだな。□□様に及ばなくとも、それなりに綺麗な敬語を使うよ。『お久しぶりです。□□さん。お元気ですか?』ってね」

口調からキャラ作始めるので、敬語一つとっても幅は持たせてます。


最初は最上級の敬語なんて使おうとも思わなかったですよ。

それが先生であれ、上司であれ。

使おうと思ったのは、つい最近。数年くらい前ですかね。

そういう相手が出来れば、バチバチに仕上がりまくった敬語使いますし、所作だって気を使います。


だから、とりあえず丁寧語だけ覚えておけばなんとかなります。これに関して言えば慌てる必要は無いですよ。


今回この先輩が敬意を払ってるのは、何も後輩だけではなく、出されたケーキ、紅茶にも。

出来上がる過程に携わった全ての方々、つまり農家さん、料理人さんに敬意を込めて、姿勢を正して食べてます。

この料理に相応しい自分になりたい。という意識の現れかと。

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