夢
気が付くと古いアパートの廊下に立っていた。
変色した半透明のトタンが廊下を黄色く染めている。
とりあえず、階段を降りるとそこには小学生の時仲が良かった友人がいた。
友人に声をかけ、手を振る、視界をかばんが視界を遮る。
気が付かなかったが自分はかばんを持っていた。
視界が明けるとそこには友人がこちらに気づいて語りかけてくる。気のせいだろうか一瞬友人が恐ろしく冷たい目をしていた気がする。
そこからは覚えてはいないが、友人と一緒にご飯を食べながら談笑していた気がする。ただ、覚えていないはずなのに充足感があったことだけは確かだ。
店を出を出るとあたりに友人の姿はなかった。
人の行列が目の前の道をうめていた、それだけならいいのだがその行列は何かおかしかった。その行列に並んでいるのは抱っこされている赤ん坊から高校生ぐらいまでの子供だったのだ。それにちらほらと何かよくわからないものを持っている子がいる。布にくるまれた淡い光。
布にくるまれた淡い光を持っている。そしてその行列は、とある方向へ向かって歩いている。その方向には何があるのかはわからない。ただそのときに思ったことは「帰らないと」ただそれだけだった。
道のわきにはその行列を彩るかのようにして屋台が出ている。何かのお祭りだろうか、垂れ幕には読みにくいが「 行列」「 祭り」と書いてある。
気が付くと駅についていた。海外映画にでも出てきそうな石造りの駅。横断歩道を渡り階段を上る。その際になぜかいちゃつく男女のカップルが目に留まった。その男女のカップルを尻目に、一歩一歩階段を上っていく。
階段を登り切ってとあるものが目に入った。それは「入口」。ただ人一人が余裕で入れそうな扉のない長方形の「入り口」遠目からまるで黒で塗りつぶしたかのようにう中をうかがうことができない。
─────好奇心が一瞬沸いた。
いつの間にか「入口」を通って中にいた。なぜ、いつの間に、という疑問が浮かんだが、それよりも目の前に続いている廊下に目を奪われた見た目は金属質であり壁の隙間に埋められている光によって廊下が橙色にを目あげられていた。
─────────不思議と近代的な廊下だとは思わなかった。
一瞬戻ろうかという考えが頭をよぎったが、ここまで来たのだから最後まで行ってみようという考えとこの廊下の先に何があるのかという好奇心が沸いた。
───────────右回りの廊下を進んでいく。
今気づいたがこの廊下は少し下り坂になっている。ただひたすらに長く下に続く廊下、いつまで続くのだろうかと思っていた時、突然目の前にあの「入口」が現れた。いや、現れたというよりもとからあったが気が付かなかったというのが正しいかもしれない。
なぜ気づかなかったのだろうか。
─────────────好奇心が沸いて中をのぞいた。
中は下に向かって段になっている。真ん中にはまるで「そこ」まで案内するように階段がある。
朱色に塗られてない鳥居と小さな社があった。どちらもとても古くとても昔から「そこ」にあったことが見て取れる。
一歩踏み出すとパキリという音が鳴った。よく見てみると社と鳥居の周り以外すべてが赤、青、緑、色とりどりの絵の具があった、そう、あった。塗られているわけじゃないただ絵具をそのまま垂らして絵具が固まっているようだった。
その異様な雰囲気に戻ろうかと思ったが、ふと気づいてしまった。
───────────────小さな社の戸が少し空いていることに。
社を目指し階段を下っていく。固まった絵具踏み、階段を一歩一歩塗っていく。
階段がなぜか長く感じた。だが、ようやく階段を降り切った。そして小さな社を正面に見据える。
そこには変わらず異様な雰囲気を纏っている社があった。
鼓動が早くなるのを感じる。そして、少し空いている小さな社の戸に手を伸ばす。
─────────────────六本指の手が目を覆った。