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薔薇姫の学園  作者: 松野三鶴
第1章 秘密
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餌食

 紫色のリボンでポニーテールを作った二人の少女がカオルに飛びついてくる。その顔は瓜二つである。「パープル・ドッグス」と呼ばれる双子、紫月わかなと紫月かのん。わかなはカオルの首に、かのんは腰に巻きついてきゃあきゃあと騒いでいる。


「お前らなぁ。あたしを誰だと思ってんだ!」

「僕たちと〜」

「遊んでくれるおねーさん!」

「お前らがひっついてきてるだけだろ!」


 雪風はそーっと踵を返して一人で第二寮に向かおうとする。


「あ、ユッキー!」

「ユッキーじゃーん!」


 ぎくり、と肩を震わせた時には遅く、元気な二人の「犬」に襲いかかられた後だった。


「お、お久しぶり……」

「さっきも会ったじゃーん!」

「同じクラスのクラスメートじゃーん!」


 なんで敬語ー? 声を合わせる双子が雪風を前と後ろから抱きしめる。


「うっ、そうだね……じゃあ私はそろそろ第二寮へ帰るんで……」

「あっ、ユッキーも刻限過ぎてんじゃんー!」

「ダメだよー!」

「あっ……はい……気をつけます……」

「もうーたっぷりお仕置きされたいのかな?」

「身体の隅々まで検査されちゃいたいのかな?」


 そういうことならいくらでも? と微笑んだ双子に雪風がひっ、と声を上げる。


「僕たちそういうのはとっても得意」

「だよ? 試してく?」

「け、結構です……身体は清いままでいたいので……それから他の寮へは入れないので……」

「うふふふふ……でも、次また刻限を破ったら……」

「ご招待しちゃうからねー」


 ぎゅっと強く抱きしめられて雪風の身体が軋む。普段は玄関でずっと立っていることもないので油断していた……もう二度と第一寮には近づくまい、と雪風は強く誓った。

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