2
普段は忙しく必ずしも一緒の食卓に着けるわけではない両親が揃って一緒に夕食を食べている。そして何よりも今日は大好きな姉の誕生日だ。だから愛結花はとてもご機嫌であった。
「愛衣菜ちゃん。お誕生日、おめでとうございます。」
「ありがとう、お母様。」
「愛衣菜、誕生日おめでとう。
愛衣菜も小学生とはやいものだなぁ。学校には慣れてきたかい?」
「ありがとう、お父様。学校には慣れてきたよ。お兄様や志穂がいるからね。」
「そういえば、愛結花。愛結花も来年から小学生だよね。この学校に通わないかい?智也や愛衣菜も通っている桜宮学院だ。」
「愛結花ちゃん。こちらはパンフレットですよ。見てみて下さいね。」
小学校を紹介したのが愛結花の父、パンフレットを渡したのが愛結花の母である。そして智也とは愛結花の6つ上の兄で、愛衣菜とは今日が誕生日の愛結花の1つ上の姉のことだ。そして、姉がいった志穂とは愛結花達の従姉でフルネームは一宮志穂と言う。姉とは同い年で仲が良く、愛結花の事も可愛がってくれるもう一人の姉のような存在だ。
「ねぇ、愛結花。私も一緒に見てもいい?」
「勿論ですわ、お姉様。お兄様も一緒に見ませんか?」
「そうだね。よかったら、どんなところか説明しようか?」
「お兄様、私も一応聞いておきたいな。慣れてきたとはいえ、まだ一ヶ月程しか経ってないしね。」
「分かったよ…」
兄が姉と愛結花に学校の説明をしてくれているのだが愛結花はそれどころではなく、頭の中では混乱していた。
(待ってくださいまし。桜宮学院に天宮愛結花という事はもしかしたらあの少女マンガの世界に転生したという事になりますわ⁈)
そう、つまりは愛結花は少女マンガの世界に転生したという事になるからだ。