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そして、CSFが始まった。
CSFはやる気がある生徒とない生徒、どちらも楽しめるようになっている。
小1~2は50m走、小3~4は70m走、小5以降からは100m走には必ず出る必要があるが、それ以外は自由参加になっている。だが、一人5種目までという規制は一応ある。
愛結花は50m走以外には代表リレーと大縄跳びに出ることになっている。代表リレーは各学年、男女2人ずつ出ることになっていて志穂も出ている。ちなみに、姉は短距離より長距離が得意でこの競技には出ていない。
そして、応援席というものがある。応援席は百合、椿、牡丹、菊、蘭の五つに分かれている。愛結花は自身の出番が来るまでそこで葵達と牡丹を応援していた。姉や志穂もそれぞれの友人と応援している。
「愛結花様。志穂様ですわ!」
「あら、本当ですわね。志穂さんは運動神経がよくて羨ましいですわ。」
志穂は普段からおっとりしているが、運動神経は良い。羨ましいと愛結花は思う。愛結花が見た時、志穂は大縄跳びに出ていた。愛結花も大縄跳びに出るが志穂をみれるのは大縄跳びが学年別で行われるからだ。
大縄跳びは8の字になって飛んでいくのだが、前の人が飛んでから直ぐに入るのが難しい。だが、上級生となると出来る人がほとんどでテンポよく飛んでいく。見ているだけで凄い。愛結花には絶対に無理な芸当である。前世は運動神経が皆無だったが、今はだいぶ良い方だからいつか出来る様になりたいと思ったのだった。
そして、代表リレーの時がやってきた。
すぐ隣のレーンが四宮だったのでちらりと隣を見ると四宮と一緒にリレーに走る百合の女子が四宮に話しかけていた。
「四宮様と一緒のリレーが出来るなんてわたくし、光栄です。」
「そう言ってもらえると嬉しい。蓮月、ありがとう。」
(四宮様ってやっぱり人気ですわね。漫画でもそうでしたし。今から人気だとは思いませんでしたわ。たしか彼女は四宮様と同じクラスでしたし、普段からこんな感じなのでしょうか?本当にすごいですわ。)
変な所を感心している愛結花だった。愛結花は愛結花で一緒にリレーに出る男子に話しかけられたのだが、あまり話したこともなかったのでさっさと会話を切り上げていた。四宮は蓮月に話しかけられてもそんな事をしていないのだから対応の差が知れてる。
因みにリレーは1位であった。全体としては1位が椿で愛結花たち牡丹は3位だった。ちなみに、愛結花だけでなく姉も玉入れで1位は取っていたので今度の休日は遊びに行くことが決定した。
優勝出来なかった事に少し悔しいく思いながらも、他クラスの人とも仲良くなれたという事は満足に思っている愛結花。そして5月にCSFがあるのはもしかしたら学校生活に慣れてきたこの時期に人と人の繋がりを高めるためかもしれないと思った愛結花であった。




