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「佑人、二宮さんを放っておいてはいけませんよ。」
「ごめん、姉さん。翔との話が盛り上がっちゃって。」
羅奈が来たことにより逃げようとした愛結花だったが、その目論見は羅奈に阻止されてしまった。
「四宮さん達と天宮さんもお願いしますね。」
逃げられなかったことを残念に思いながらも反抗はせずに大人しく愛結花は謝った。凛たちもだ。誰だって先輩に目を付けられるのはごめんなのである。
「申し訳ございません、真宮先輩。今から二宮様の所に行きますわね。」
「わたくしもこれから行かせてもらいますの。これから気を付けるので許して欲しいのです。」
「俺も悪かったです。すみません。」
「これから気を付けてくれてたら別にいいですよ。今回は私の愚弟も悪いのですし。」
これで何とか角が立たずに済んだと愛結花は一安心した。これでは入学初日から平穏とは遠くなってそうだ。
そして、宣言通りに4人は小夜子のところへと向かった。
(二宮様はとても可愛らしい方ですわね。見た目もですけど雰囲気や言動もとても可愛らしい方ですわ。マンガに出てこなかったのが不思議なくらいですわね。私も身内には可愛いと言ってもらいますがそれはただ単に身贔屓してもらっているだけですわ。私はお父様とお母様の遺伝子のおかげでまあまあ見れる見た目ではありますがお兄様とお姉様には劣りますし、そもそも可愛いというよりかは自分で言うのも嫌なのですが綺麗という感じですわ。それでも見目麗しい者がそろっている上級階級では普通顔になりますが。)
愛結花は小夜子の可愛さに目を輝かせていたが、小夜子は小夜子で愛結花と凛の美しさに目を奪われていた。そして自分よりも格上である存在の二人に若干怯えてしまった。
「は、初めまして。四宮様、天宮様。二宮小夜子と申します。よろしくお願いします。小夜子と呼んでいただけると幸いです。」
「初めまして、小夜子さん。四宮凛と申しますの。よろしくお願いしますの。
わたくしの事も是非凛と呼んで欲しいのです。」
「分かりました、凛様。これからよろしくお願いします。」
「初めまして、小夜子さん。天宮愛結花と申しますわ。よろしくお願い致しますわ。
良ければ私の事も愛結花と呼んでいただけないでしょうか?」
「勿論です、愛結花様。これからよろしくお願いします。」
「なんだか、愛結花さんの方が親しみやすく返されている気がしますの。」
凛の言葉に愛結花は嬉しく思っていたが小夜子はとても怖がっていた。少し取っつきにくい凛よりも穏やかな愛結花の方に親しみやすく声をかけてしまうのは当然のことかもしれないが。
「そ、そのような事はございませんよ。」
「本当ですの?」
凛の人も殺しそうな視線に怯えている小夜子に可愛いと思いながらも愛結花は思わず苦笑してしまった。
「凛さん、そろそろその辺でやめておきましょう?小夜子さんが大変そうですわよ。」
「あら、それは申し訳ございませんの。…許してもらえたら嬉しいですの。」
凛がハッとした顔になり、とっさに謝った。やってしまったというような表情である。もしかしたらよくやってしまう事なのかもしれない。




