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お嬢様転生  作者: 金瀬囲炉裏
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ピアノ家庭教師

私の名はルディック・ウェイター。イギリス人だ。

幼き頃、母に連れて行ってもらったピアノのコンサートでピアノに心を惹かれ私は音楽の道に行こうと心抱いた。その後ピアノの演奏者としての道に進み、人に負けない程の努力をして数々のコンクールを総攫いし、六十歳になり既に人生の後半を生きている今の私はピアノ会で大きな権力を持つ地位に気づけばなっていた。

そして、更に九年の年月が経ち音楽界の重人と呼ばれるようになり、七十の歳を期に引退して静かな田舎町で残りの人生をと思っていたある日、私のもとへ一つの仕事の依頼が来た。

それは日本の鳳城院家と言う家の三歳になる令嬢にピアノのレッスンをすることだった。


日本には演奏公演だけでなくプライベートでもよく行っていたし、ここ数年は行っていない。丁度いいこれを最後の仕事としよう。

一時期日本に住んでいたた為、日本語を話せる私はこの仕事を音楽家の最後の仕事として仕事を承諾し日本へ旅立った。


その後、長い空の旅を過ごしてたどり着いた私は仕事までの三日間を観光を楽しんだ後、鳳城院家の屋敷に来た。


この仕事の依頼を承諾した時に依頼を受けて私に回してきた関係者からくれぐれもあの家の方には粗相のないようにと高い地位にいる私に言っていたが、いざ屋敷を目の前によくわかる。

ここに来て緊張をしてしまうがそれを殺して私は屋敷の中に入った。


その後、鳳城院家の当主に挨拶をしてレッスンプランを話し合って組むのとピアノ教える令嬢について詳しく聞きその日は終了し。その翌日からピアノのレッスンを行う事になった。


ピアノを教える鳳城院家の令嬢の名は白亜様と言うらしく、アルビノとして生まれた為髪などが白く白亜様のお母様の母君の欧米の血が特に濃く瞳に受け継ぎ欧米のクオータであるのに外国人のような容姿らしい。

そして白亜様の性格は非常におとなしいと言う事を聞いているが当主によると三日ほど前から少し物事に積極的になり始めているらしい。

何はともあれ、とりあえずは白亜様と会わなければならない。


そう思い、当主が言っていた白亜様が一人で住んでいると言っていたお家に向かうと。


「え…」


驚いた、何せ物凄く大きな本邸よりは小さいがそれでもセレブが住む屋敷の倍ほどの大きさだとても三歳の子供が一人で住む家じゃない。

確か前日、白亜様の事について伺っていた時にあの方は熱心に話していた為、相当な親ばかなのだろう。

話は聞いていたが一体白亜様とは一体どのような少女なのだろう。そう思いながらも白亜様の屋敷に入り白亜様と顔を合わせた。


「なっ…」


また驚いた、何せ白亜様の容姿は幻想的と聞いており当主がとても白亜様の事に熱心に話していた為、我が子ゆえに過大評価をし過ぎているのだと思っていたのだが、彼女の容姿は本当に幻想的と言えるほどであり、妖精のような繊細さがあった。


「家庭教師の方ですね、今日はよろしくお願いします」


更にまた驚いた、三歳と言う歳の少女が普通に話してきたのだ。その事に私は一瞬動揺をしたがそれを押し殺し、やるべきことをする。



「それではレッスンを始めさせていただきます」




◇    ◇    ◇    ◇    ◇







「それでは白亜様、まず最初にピアノの事を知ってもらうために私の演奏をお聞きください」


今回のレッスンはまず白亜様にピアノについて興味を持ってもらうと言う事でレッスン時間は10分であり、最初の三分程私は白亜様にピアノについては話しを軽く説明した後、実際に聞いてもらう事にした。


その為ピアノ椅子に座り、チューニングができているかを確認した後、ピアノに鍵盤に触れ精神を統一する。精神統一を完了した私は代表作のか革命のエチュードを弾きはじめる。



やはり、歳は取りたくないものだな…



年老いたせいで手がぶれて二か所ほどミスをしてしまった。それに音の強弱による表現も全盛期の自分自身に遠く及ばなくない。

そう思いながらも、弾き終えた私は白亜様のもとに行き、この曲の名と作者について説明する。


「先ほど演奏させていただきましたのはピアノの代表曲の一つであるフレディック・フランソワ・ショパンと呼ばれる作曲家の革命のエチュードと言うものですがいかがだったでしょうか?」


「はい、すごくきれいな音色でとてもいい曲でした」


小さいのにホントに良くできたお嬢様だ。

その後、実際に体験してもらおうと思い。椅子の高さを調整した後白亜様に座ってもらい。まずはドレミを覚えてもらおうと思ったのだが。


「それではまずドレミから「いえ、一度自分で弾いてみます」」


そう言って、白亜様は鍵盤に触れて何か確認をしたのち。


「っ…これは先ほど私が引いた革命のエチュード…」


弾き始めたのだ、それも先ほど私が弾いたショパンの革命のエチュードを。それも恐らく三歳と言う年齢の為、ピアノについて見て聞いたのも初めてであろうに一度聞いただけで理解し覚え、更にその小さな手で淡々と弾いているのだ。


いや、待てそれだけでは無い!私が先ほど引いた革命のエチュードよりも深みがあり、更に私がミスをした箇所もそのままでは無くちゃんと修正されて弾かれている。なんという恐ろしい才能だ…


その才能に恐怖しながらも私はこの少女が弾く音色に一歩また一歩弾かれて次第にのめりこまれてゆく。

彼女が弾くこの革命のエチュードはまるで一人の淑女が幼き頃、婚約を約束した彼が別の女性を好きになりつつも、彼の事を本当に愛していた彼女はそれを祝いその恋を手助けする事しかできず、その後、彼を庇って死ぬと言う悲しき物語を脳に連想させられまるで演奏劇を見せられているようだ。

そしてこの曲がらラストスパートに入った瞬間、連想させられていた物語が先ほどと比べ物にならないくらいに色濃く、それも私がその物語の中に居るかの如く連想され、その後最後のシーンである彼女が愛する彼を庇って死ぬ。このシーンが私の脳に深く焼き付いたとともに演奏はを終りった。


ああ、神が、神が今ここに降りられた。


その後、気づけばただ一人、ピアノ部屋に取り残された私は泣いていたのだった。

誤字脱字報告はバンバンおねがいします

後評価もよろしくお願いします

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