やり過ぎた稽古
転生して三歳になり記憶が戻ってから、一週間が経った。
自分自身の記憶をたどり自身の事や身の回りの事を調べてみるとどうやら俺は鳳城院と言う古くい時代から莫大な富を築き、日本を支援してきた四つの家の内の一つであり、その本家の家元の次女、鳳城院白亜として生まれたらしい。
そして、アルティナに聞いていたお気に入りの巫女になるこの名前は神楽坂美琴と言い、そんじょそこらで自分は巫女と詩っている偽者とは違い古と言ってもおかしくない時代にアルティナから加護をもらい力を手にして一定周期で召喚される魔物を討伐に協力している、古くから代々巫女の力を受け継ぐ由緒正しき巫女の家系なのだが、鳳城院白亜としての自身の記憶の中で神楽坂と言う苗字が何度か出てきており、アルティナはその神楽坂美琴を守りやすい様に自分が決めた家に転生させると言っていた為、自分が生まれたこの鳳城院は影の者、と言っても悪人ではなく本物のスピリチャル系の者達との関係があるらしい。
ま、鳳城院白亜としての記憶の中には秘めたる力があるとか何歳に成ったら秘密を話すとかそんな事は誰にも言われていなかったから、多分裏側の関係者と言っても莫大な財力で支援をしているくらいだろうと思うし戦いに駆り出されることはまずないだろう。
それに、女の子として生まれたことも今考えれば家を継ぐためにたくさん縛られることもないし、たとえ政略結婚でも逃げれば大丈夫だから正直、この家で男として生まれなくてよかったと思っている。
そして現在、自分は三歳のだが令嬢と言う立場にあり、三年後には聖蘭学園と言う超の着くお金持ちや各界の著名人の子供達が通う初等部から大学院までありエスカレータ式に上がっていく学園に通わなければならい為、そのお受験勉強として自宅にあるピアノ部屋で家庭教師を呼びピアノのレッスンをしているのだが。
「それでは白亜様、まず最初にピアノの事を知ってもらうために私の演奏をお聞きください」
ピアノと言うか音楽系の稽古ははじめてな為、家庭教師男性はまず自分にピアノを知ってもらおうとさすがお金持ちと思う光が反射して黒く輝くグランドピアノの元へ行き、弾き始める。
ピアノに触れ職人の目をして弾き始めた家庭教師が奏でる曲は低温で素早く切ないん感じの曲であり、その演奏が二分程で終わり演奏を終えた家庭教師がこちらに向かってきた。
「先ほど演奏させていただきましたのはピアノの代表曲の一つであるフレディック・フランソワ・ショパンと呼ばれる作曲家の革命のエチュードと言うものですがいかがだったでしょうか?」
先ほどからこの家庭教師はこんな感じでずっと子供である自分に敬語で話しかけてく為どれほど鳳城院と言う家が恐れられているのが少しわかるな。うんうん。
っと、少し黙り込んでいたら、家庭教師が少々焦り出したため上から目線ではあるが評価を言うとしよう。
「はい、すごくきれいな音色でとてもいい曲でした」
と、猫をかぶって子供の様に言う自分。これが鳳城院白亜としての表の顔だ。
「ありがとうございます。どれでは実際に白亜様もピアノを弾いてみましょう」
「はい」
丁度いい。さっきの曲も完全記憶で覚えたし、早速こっちで音楽系のスキルが同いう感じで作動するか試してみるか。
記憶を取り戻した最初の三日間は最重要案件であった人外の領域にある身体能力と膨大な魔力を封印するスキル以外は自分の立場を調べる為にうろちょろしていなかった為、ここで試してみることにした。
「それではまずドレミから「いえ、一度自分で弾いてみます」」
そう言って俺は、演奏系スキルの音感強化と演奏Ⅹだと恐らく家庭教師に影響を及ぼす為、Ⅷに調整して、他にも演奏補助や演奏表現強化など適当に重ねる。よし、やるか。
俺は先ほど完全に記憶したショパンの革命のエチュードを引き始める。
「っ…これは先ほど私が引いた革命のエチュード…」
と、家庭教師の男性が言っているが無視して引き続ける。
三歳の小さな手では引くのは難しいが、演奏補助のスキルでそれを補って簡単に引けて更に演奏のスキルでどのように引けばいいのかもわかる為、なんだかだんだん弾くのが楽しくなってきたな。そう思い始めテンションが上がって来たのだが曲は終盤に入り始めた。正直作曲スキルを使って作るのもいいが直感がここまでと言っている為、作らず曲を弾き終えた。
「…終わりました。先生、どうでしたか?」
弾き終えた自分は感想を求めそう言い家庭教師の男性の方に体を向けると。
「…」
何故か静かに涙を流していた。わけがわからない。
演奏スキル以外は自分を補助するだけのスキルであり、メインの演奏スキルはⅨで奏でる音楽や演奏者の演奏表現の具現化、Ⅹで奏でる音楽や演奏者の演奏表現を周囲に具現化させると言うものだが、今回はⅧに抑えていた為、具現化はそれは無い。
演奏のⅧは演奏により周囲の魔素が共鳴して奏でられる音が反復し合い音に深みや重さを持たせる事ができ、演奏を聞く者に多少脳内にその曲の表現がかすかに思いうか…そうか、演奏表現力強化によって脳内に曲の演奏表現が具体的に浮かばせるようにしてしまったのか。
それに、今思えば演奏Ⅷでも魔素を共鳴させてもし、この家に周囲の魔素の変化を感知できるものが居るのなら危ないじゃないか!とりあえず今後スキルは周囲の魔素に影響を与えると言うか魔力関連の者は封印し、レベルが上ることで周囲の魔素に影響を与える物は周囲の魔素に影響を与えないレベルⅤまでと言う使用制限にすることに決めた。
「っと、今日はもう時間ですね」
時計を確認すると時刻は十一時三十分、始めたのは二十分からだが今日は初めてと言う事で十分だけなのだ。
「今日はありがとうございました」
そう言ってお辞儀した後、身長が低いため横にあった靴ベラでドアノブを下してドアを開け、その瞬間直感スキルが速く退散したほうが良いとい言ってきた為、そそくさと早歩きでじしピアノ部屋から離れた。その後お腹が減った為、近くにいたお手伝いさんのもとに行きお昼を食べたいと言って部屋に戻り、十五分ほどで運ばれてきた食事を取った後、眠くなりお昼寝をした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
一方その頃。
「結果か報告はこの通り、現れる魔の者の強さも安定しており、しばらくはこれが続くでしょう」
「そうか、なら今後とも退魔師にはよろしく頼むとしよう」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
白亜が食事を自室で食べ終えお昼寝をし始めたのと同時刻。一定周期で出現する魔物討伐に支援をしてもらっている鳳城院家に毎月の経過報告に来ていた退魔師の名取泉名取泉は鳳城院家当主に経過報告を終え、部屋を出るとほっとした顔になる。息を吐く。
「ふぅ~今回も無事に終えてよかった~」
今代の鳳城院家の当主は妖魔退治に積極的だし、他の三家も積極的ではないけど協力的ではあるから、話がスムーズに進んでらくだな。
「っと、それよりも」
鳳城院家当主と話している時に起きたあの魔力の振動、それもこの鳳城院家の屋敷内で起きていたし、調べないと。
そう思い泉は魔力振動が起きた場所に向かい、そしてその中心地と思われる場所の近くに着いた。
「この先が魔力振動の発生地だけど…」
この屋敷、と言うかこの西側の別邸は鳳城院家の次女の白亜様の為に作られた屋敷でさっき一度当主のところに戻って結界の点検の許可はもらったけど各部屋に入る許可はもらってないんだよね。
そして、私の目の前にあるこの扉の先は白亜様がお稽古をされる為の一室の一つであるピアノ部屋。
「う~ん、どうしようか」
もし問題が発生したら大変だし。これは白亜様の為だし大目に見てもらおう。
そう考え、泉はピアノ部屋の扉を開けると。
「お~神よ…」
ガチャ
「よし、異状なし」
男性が泣いて祈ってたけど、恐らく白亜様を怒らせたのね。多分あのあの魔力振動もめったに無いけど何処でも起きるもの、私の勘違いね。
そう思い、ピアノ部屋で泣いていた男性に強く生きなさい心の中で行ったあと当主に点検の終えた事を伝えて屋敷を出た。
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