吾輩はホモである (現代国語)
本日は別作品※1に登場する「先生」と「私」がBLではないかとまことしやかにささやかれている夏目漱石の作品前文を学ぶとしよう。
吾輩はホモである※2。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも輝くネオン街に隠された、魑魅魍魎がうごめく路地裏でホモホモしていた事だけは記憶している。
吾輩はここで始めてノンケというものを見た。
しかもあとで聞くとそれは童貞というノンケ中で一番獰悪な種族であったそうだ。
この童貞というのは時々我々を捕えては風評被害をもたらすという話である。
しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。
ただ彼の掌にいちもつを握られてスーと持ち上げられた時、何だかフワフワした感じがあったばかりである。
いちもつを握られて少し落ちついて童貞の顔を見たのがいわゆるノンケというものの見始みはじめであろう。
この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。
第一髭をもって装飾されべきはずの顔がつるつるして、まるで草食動物だ。
その後、他のホモにもだいぶ逢ったがこんな片輪には一度も出会た事がない。
のみならず顔があまりに自信を喪失している
そうして自信なさげに世間に対し時々ぷうぷうと文句をはく。
どうも僻みっぽくて実に弱った。
これがノンケのいう反LGBT運動というものである事はようやくこの頃知った。
(前文終わり)
なお、脚注を次に示しておくので、暇なときについでに学ぶとよかろう。
※1 「こころ」
※2 「吾輩は猫である」
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当けんとうがつかぬ。
何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
吾輩はここで始めて人間というものを見た。
しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪どうあくな種族であったそうだ。
この書生というのは時々我々を捕つかまえて煮にて食うという話である。
しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。
ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。
掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始みはじめであろう。
この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。
第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶だ。
その後猫にもだいぶ逢ったがこんな片輪には一度も出会でくわした事がない。
のみならず顔の真中があまりに突起している。
そうしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を吹く。
どうも咽ぽくて実に弱った。
これが人間の飲む煙草というものである事はようやくこの頃知った。
今日はここまで




