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異世界に転生することもなく、チートで無双ハーレムすることもなく、カレーの作り方をあれこれと模索した結果

作者: Takker

諸君、私はカレーが好きだ。

そして、日本男児たるものカレーが好きだろうそうだろう。

いや、大和撫子たる女性読者の方々もカレー好きは多いと思う。

かくいう私も、週に一回は何かしらカレーを食べる。レトルトだったり、牛丼屋のカレーだったり、ココイチだったり、まあそんなもんだ。


そして、ある一定以上のカレー好きになると、必ずと言っていいほど通る道なのが『自分で作る』これであろう。何せ市販のカレールーさえあれば、後は材料を調達し、さして専門的な料理の技術が必要なわけでも無い。器材だって一般家庭にあるものしか使わないのだ。


今、このエッセイを開いていただいている奇特な読者諸兄にも覚えがないだろうか? 私自身も「レトルト飽きたー、お店のはうまいけど高いー、ならもう自分で作るしかないじゃない!!(泣)」てな具合である。


そんな私が、なんと無駄に数年間も試行錯誤してたどりついた。現在のレシピ……と言えるほどでもないレシピ、市販のルーを使って作る『それなりにおいしいと思われるカレー』の作り方を紹介しようと思う。


先に言っておくが、好みは人それぞれなので絶対はない。以下に取り上げるレシピも、当然私の好みありきなのであって、誰でも絶対おいしいと思える訳じゃあない。

そこのところよろしく。


まずルー。

ぶっちゃけるとルーは個人の好みでなんでも良いと思う。だって市販だしね。


んで、私が何を使うかと言うとジャワカレー。色々と使ってみたが最終的にはハウスに軍配があがってしまう。なんと言うかバーモントにしても、ハウスのカレーは『万人ウケ』タイプだと感じる。100点は目指さず70~80点を常に理想とする――そんなイメージだ。


さらに言うと、レシピはその市販ルー裏面を信じろ。あれはその道のプロであるメーカー推奨だ。伊達じゃあない。無難に、間違いなく、おいしいカレーを作るなら裏面にしたがうのも一興である。


すまない、話しがそれた。

ここ(・・)はあえてそのレシピに逆らい、無駄な探求をした成果を伝える場なのだ。


さて、ジャワカレーの裏面にある材料は以下の通りである。

肉500グラム、玉ねぎ400グラム、じゃがいも300グラム、人参200グラム、水1300cc。


それが、私の場合は以下の通りとなる。

鶏もも肉700グラム、玉ねぎ600グラム、人参200グラム、セロリの葉の部分30~50グラム、にんにく3片くらい、バター25グラム、砂糖15グラム【大さじ一杯】、水1300cc、ワイン適量【赤でも白でも】、あらびきコショウ少々、サラダ油適量。


これを見て――は? 鶏もも肉? ここ牛肉では!? の意見も多いと思う。

でもね。

牛肉さんは高いのだ。当たり外れもあるのだ。地味に扱い難しいのだ。鶏肉さんにおまかせなのだ!

安定して、しかもコストが安くカレーに相性のいい『鶏もも肉』を私は推奨する。間違っても安いからと胸肉など選ばないように!


野菜類に関しては、これまた扱いの難しいじゃがいもをリストラ、アイツすぐいなくなるんだよ! で、その分量を別に振った。基本的には肉と玉ねぎを増量している。なぜ玉ねぎなのかは調理段階の説明に加える。


にんじんはそのまま、そしてセロリ、いやセロリの()だ。おいおい茎の部分はどうしたよ? ――という声が聞こえるがあえて(・・・)葉の部分を使う。当然、葉の部分のみは売ってないので、残ったセロリ本体(茎)は別の料理にでも使ってくれ。


にんにくは適当な大きさのものを三片あれば充分。これも売っているのは丸一個なので残りは以下略だ。ちなみに、にんにくの安い(100円クラス)ものは基本中国産である。こだわる場合、国産のにんにくは一個300円はするので覚悟して欲しい。


サラダ油にバターと砂糖、あらびきコショウくらいは一人暮らしでも無ければ、おおよそ家にあると思う。ワインに関してはなんともだが、これは安いワインで充分。酒のディスカウントストアで一本400円程度で良い。まあ、大量に残るけどね! だから別の料理に以下略。


水はちゃんとミネラルウォーターにすべし。何故わざわざミネラルウォーターかと言うと、水道水はまずい、正直まずい。それに2リットルペットボトルでも、これまたディスカウントストアに行けば70~80円なのだからとりあえず買っとけ。カレーに1300cc、残りはご飯を炊くのに使うのでバッチリだ。


まあ、あえて水について言及するなら、私の後輩に池田という男がいる。所謂ゲーム仲間というヤツであるが、池田は水道局、中でも浄水場に勤めているのだ。その池田が「タッカーさん、水道の水飲むのは止めた方がいいっスよ。あれは飲むもんじゃないっスよ」と言うくらいなのだ。

きっと、あれだ、色々言えない物も見ているのだろう……そんな、池田に私の作ったカレーを食べさせたことは無いが。


それでは材料が揃ったところで調理に移ろう。


おっとその前に、必要な調理具について説明しよう。

当たり前だが、鍋、フライパン、包丁、計量カップ、デジタルスケール、ピーラーあたりは必須。あると便利なのはスライサー、あるとないでは玉ねぎの処理と調理の手間が格段に違う。アクとり用には網目の細いメッシュのおたまが、それと私のレシピでどうしても必須になるのがミキサー(ジューサー)である。


これはカレールーのできの良し悪しを決めるのに『舌触り』が非常に大きなウェイトを占めているからだ。実はセロリの茎を使わず、葉を使う理由もここにある。セロリの茎には筋があり、この筋取りがそれはもうめんどくさい。


筋取りをしていると、某美食家兼陶芸家の海原なんちゃらに料理のまごころとは何かを問われている気分になるのでオススメはしない。何よりも失敗して筋を残すと舌触りアウトなので、ここは成功率100%の葉を使って欲しい。


まず鍋に1000ccの水を入れる。300ccは別で使うのでよけて置こう。

玉ねぎ、人参、にんにくの皮むきをする。皮をむいたら人参とにんにく、セロリの葉はフライパンで炒めやすいサイズに切っておく、同様に鶏むね肉も一口サイズに切っておこう。肉のカットサイズは個人の好みで、肉をかじりたいなら大きく、しっかり煮込みたいなら小さくだ。


ここから火を使う。最初にフライパンで炒めるのは玉ねぎだ。スライサーがあると、二分の一にカットした玉ねぎを直接フライパンにスライスしながら落とせるので手間が省ける。『ソテー・ド・オニオン』を作るのだ。


玉ねぎを炒めしモノ(ソテー・ド・オニオン)……フッ。と言うと頭おかし――カッコいいが、ぶっちゃけると玉ねぎを適度に炒めるだけの簡単なお仕事。俗称『あめ色玉ねぎちゃん』の調理である。


最初は強火で構わないが、スライスした玉ねぎの全体がしなっとなったら、中火以下にして小まめにヘラなどで、焦げ付かないようにしてやろう。底からぐるりと混ぜて表面へと回転させるイメージだ。


ここが最も手間がかかる部分で、それ故に最も重要だ。玉ねぎの量を増やしているのもこの『ソテー・ド・オニオン』がルーの土台と言えるべき存在だからなのだ。とにかくここで手を惜しむとおいしいカレーは出来ないので我慢するように。


うまく火が入ると独特の甘い匂いがすると思う。火の入りもキツネ色より少し濃い程度のコゲなら問題ないのでしっかりと全体をあめ色にしてやろう。まあ、と言っても炒めるのに10~15分程度のものだ。完成したら、これまた私のレシピでは必須項目ミキサー大帝の出番である。


とりあえずは冷ましついでにミキサーに完成したあめ色玉ねぎを入れておく。そのままフライパンで調理を再開、今度は先ほど切っておいた人参、にんにく、セロリの葉を炒める。こちらは玉ねぎのような手間は無いのでご安心。だいたい人参の破片の芯に火が通るくらいで問題ない、追いかけでこちらもミキサーに入れてやろう。


そうしてすぐにスイッチを入れてミキシングと言うわけにはいかない。過去の私のみたく「どうして固形(・・)のままなのよォオオオ~~~~~~~~ッ!!」って悲劇になる。先ほどよけて置いた水300ccの出番である。いや、水分無いとマジでダメ。絶対。


しっかり2~3分間回してドロドロのペースト状態にしてしまおう。ここでルーの舌触りが決まる。本当よ。では、ペースト状になった野菜たちを水1000cc入りの鍋に入れてやったら、蓋をして火をかけよう。


無論、沸騰目的なので強火ね。その間にフライパン最後のお仕事で鶏もも肉に火を通そう。え? コンロが一つしかない? 知らんがな? 先にフライパン関連を済ませりゃいいんでない?


失礼。鶏もも肉は完全に火を通す目的でなくコショウ、ワインによる香り付けがメインだ。強火で一気に終わらせよう。肉をフライパンに放り込んだら、コショウを軽く振ってやり、そのままワインを軽くフライパンを一周するくらいでかけてやる。ワインの入れすぎには注意、冗談抜きでワインの味がカレーに残るから……うん。残ったことがあった。


その後、ワインと肉の脂がフライパンの底で沸騰したら、そのまま鍋に入れる。肉への火の通りはアバウトで問題ない、生の部分が残るくらいで表面に火が通れば充分だ。鍋には再度蓋をして、そのまま強火で沸騰するのを待とう。


一回沸騰したらそのまま2~3分沸騰させてからアク取りをしよう。火を弱火にして蓋を開けると、中身は丁度淡いオレンジ色の液体が沸騰しており、表面にアクが出ているハズだ。


多少は野菜のミキサーで粉砕されたものもついてくるが気にせずアクごとごっそり取り除こう。この時、網目の細いメッシュのおたまがあると本当に楽、なのでオススメ百均にあるよ。


もう完成間近だからな? あきらめるなよ? あきらめたら以下略だからな?


その後は中火で10~15分程度煮込めばゴールは目前。ここでルーの投入となるが事前注意を一つ。

ルーを入れるときは火は止めておく(・・・・・・・)こと。沸騰した状態でルーを入れると溶け切れずにダマができる可能性がある。何度も言うが、ルーは舌触りが命なので、これ重要。


ルーがきっちり溶けたのを確認したら、かくし味と言うほどでも無いが砂糖とバターを投入。これがあると無いでは、何故かは知らないがずいぶんと違う。


なんだったかのTV番組で紹介してたのだが、甘みとコクってヤツは人間の味覚には重要らしいぜ。色々試してみたが自分の中ではこれが一番しっくり来た。これらも入れたら、きっちり溶けるまでかき混ぜよう。


最後の最後はルーの固さの調整。

今はまだちょっと手ごたえある程度で、サラサラ系に近いはず。ここからは弱火にしてひたすらぐるぐるとかき混ぜつつ、自分の好みの固さになるまで続ければいい。

ほら完成。やったぜ!


当然だが、一度完全に冷ましてから、再加熱するとよりまろやかになるので、朝に作って夜食べるルーチンをオススメしておこう。


さて、実際に作ってみた! おいしかった! と思われた読者がおられたら是非とも以下をよろしくお願いしたい。


あべこべ小説書こうぜ!!


うん。

「おまえ頭おかしいの?」

の声が聞こえるようですな。


そう、実はこのタイトルは『異世界に転生することもなく、無双チートハーレムすることもなく、カレーの作り方をあれこれと模索した結果、あべこべ小説書かない?』という超絶地雷エッセイである。


それでも、あべこべ小説ってなんぞ? と言っていただける心優しい読者様がおられたら、是非とも作者のマイペに飛んで、ブクマのあべこべフォルダの作品を読んでみていただきたい。ついでに作者もこっそり連載なんかしているのでよろしく。


※あべこべ小説

いわゆる男女逆転モノ。最近の主流は貞操観念逆転、男女比率変換(女性が多い)がメインになっている。基本的には主人公(♂)によるハーレム無双の作風が多い。


書き手様はこちら。

とにかくあべこべ小説は書き手が少ない。しかし、実はなろう裏情報での検索ワード「あべこべ」はかなりの上位に位置している。さらに言うと現在連載中で、かつ長期連載停止でない作品は余裕で50作品を切る。控えめに言っても超がつくブルーオーシャンである。激戦ファンタジーや恋愛タグで苦戦されている書き手様は是非ご検討いただきたい。


特に作者はファンタジー系あべこべが読みたい。読みたくて仕方ない。


言いたいことは言ったので「これだと読みながら作るのめんどくせーよ」とカレーガチ勢の読者諸兄からの幻聴が聞こえて仕方ないので、以下にレシピ化して記しておく。


◇鶏もも肉煮込みのジャワカレー◇

□材料

ジャワカレー 1箱(9皿)

鶏もも肉 700グラム

玉ねぎ 600グラム

人参 200グラム

セロリの葉 30~50グラム

にんにく 3片

バター 25グラム

砂糖 大さじ一杯

水 1300cc

ワイン 適量

あらびきコショウ 少々

サラダ油 適量


1.切る

鶏もも肉、人参、セロリの葉、にんにくを適当なサイズにカット。玉ねぎは細かく刻むかスライスに。

2.炒める

玉ねぎはキツネ色になるまでしっかりと炒める。人参、セロリ、にんにくは火が通る程度。鶏肉はコショウとワインをかけてワインが沸騰する程度に火を通す。炒めるときはサラダ油を敷くのを忘れずに。

3.ミキサー

玉ねぎ、人参、セロリ、にんにく、水300ccをミキサーにかける。

4.煮込む

水1000ccと3のミキサーの中身、鶏肉を鍋に入れて強火で10分煮込む。途中でアク取りをします。

5.ルーを入れる

火を止めて、ルーを入れしっかりと溶けるまでかき混ぜる。

6.煮込む

砂糖とバターを入れ、弱火で好みの固さになるまで煮込む。


□ポイント

玉ねぎはしっかりあめ色になるまで炒めましょう。ミキサーはしっかりペースト状になるまでかけましょう。水はミネラルウォーターを推奨。

もうこれクックパッドじゃねえか(憤怒)

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― 新着の感想 ―
[一言] これは天才。うちのカレーレシピ改善の一手となりました。感謝。
[一言] 私はジャワとゴールデン1対1。 市販ルーのブレンドを色々試すのも楽しいですよ。 肉は私も鶏腿骨付きが基本ですが、一番旨かったのは牛脛肉でした。 アホ程時間を掛けましたが。
[良い点] 大Takkerさん(笑)。 [気になる点] Takker軍師の罠だ(爆発)! [一言] 「ともあれ、カルタゴは滅ぼされるべきである」 というネタを連想。 タイトルだけで目に留めて、読…
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