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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第2章 奴隷時代の憂鬱
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72.ドワーフ

 

 鱗という収穫があったが、ヒュプヌアカンタの針は得られなかった。残念ながら希少種のヒュプヌアカンタはあの竜に守られているため諦めるしかなさそうだった。帰還して数日間は鱗を使えないか考えたが、加工仕様にも硬すぎて加工できなかった。何とか加工できないかとコルトスターに相談しに行くことにした。


「竜の鱗を加工するのか・・・。ふむ、それならばバチカルのあやつのところに行くか。」

「あやつって誰でしょうか?」

「ドワーフのオルランドだ。儂らは爪や牙があるから使わないが、有名な鍛冶屋だと噂は聞いておる。」


 この世界ではドワーフは魔族に大別されるらしい。有名な鍛冶屋というだけで選んでしまっていいのだろうか・・・。言われるがままに部屋に鱗を持ってくる。持っていくと邪魔になるので目的地で交渉の次第で持ってくるという。準備が整い、次元魔導で件の人のいる場所に移動する。


 転移してみると大きな街の門の前であった。人みたいな街なので少し懐かしさを覚える。顔が馬な門番に話を通し、なんなく中には入れた。ドワーフの町かと思いきや、いろいろな魔族が入り混じっているようだ。


「ここは魔族の街の中でもひときわ大きい。迷うなよ。」

「はい。」


 通りに人が多くにぎわっている。しっかりぴったりコルトスターについて行かないと迷子になってしまいそうだ。迷子になった日にはどこに行けばいいかわからないし・・・。しばらく歩くと鍛冶屋についた。バチカルはこの世界の最北端の国だ。そのためすごく寒い。しかし、目の前の鍛冶屋に近づくと暑くなってきた。鍛冶屋の扉を開けるとカランコロンと音を立てて来客を知らせるベルが鳴った。


「誰だ?」

「お主がオルランドか?儂はコルトスターというものだ。」

「おおぅ、有名な狼様じゃねぇか。確かに俺がオルランドだ。ここは鍛冶屋だぞ。てめぇらみたいな天然の武器を持っている奴が来るところでねぇぞ。」


 ドワーフのオルランドはイメージ通りのドワーフだった。いきなり喧嘩腰で酒を飲んでいる。テンプレすぎて笑ってしまいそうになる。コルトスターは喧嘩腰でもまったく気にしていないようだ。


「儂ではない。」

「はい。私が頼みたいことがありまして・・・。」

「んん?人族か?俺は人族の相談なんか乗りはしねぇぜ!」


 おぉふ、テンプレ・・・。これは何か課題をこなしてやってくれるタイプの奴かな?こんなことを考えるのはメタいなぁ。とりあえず、お酒が好きそうなのでお酒に関して何かすればいいかな?


「タダでとは言いません。お金だけではなく望むものを手に入れてくるので相談に乗ってくれませんか?」

「ふん!言ってもいいが、おめぇのようながきんちょにこなせるとは思えねぇぜ。」

「お酒に関してですか?」

「おう!・・・ってなんでわかった?まぁいい。俺が今まで飲んだことのねぇ酒を持ってこい。そしたら相談には乗ってやろうじゃねぇか。」


 やはり酒か。アルコール度数の強い酒を好んでそうだなぁ。一応、今まで飲んだことのあるお酒について聞いてみた。すると果実酒というか、葡萄酒しか飲んだことがないようだ。どうやらこの世界に蒸留という概念はないようだ。今ある葡萄酒を蒸留させ、ブランデーでも作ればいいかもしれない。この世界はファンタジー世界だ。魔力を使ってお酒を造れば面白い結果が出るかもしれない。


「では、数日後にまたお伺いしますね!」


 研究の最中に脱線して別の研究をしてしまうのは悪い癖だがまぁいいか。街でお酒を買ってもらい、帰って蒸留酒を作ることにした。コルトスターが研究用に勝ってくれた。


「儂にも分けろよ。」


 コルトスターがぼそりと言った。


この世界ではエルフはエルフなのにドワーフは魔族扱いです。

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