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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第2章 奴隷時代の憂鬱
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71.眠り竜

 

「とりあえずいったん城に戻りませんか?」


 提案したのはレヴェリーだった。僕もドラゴンを相手になんかしたくないので撤退に賛成である。


「いいや、儂はドラゴンと戦ってみたい!」

「ジェーヴォよ、勝てぬかもしれんぞ?」

「それでも引くことをしたくないのです。」


 コルトスターの諫めも効果がなかった。ジェーヴォ以外は撤退するつもりだったのだが・・・。


「ジェーヴォ、この前のスピラプースさえ危なかったのに、竜なんて無理だよ。まして、相手は知能を持っているんだよ?策はあるの?」

「ぐぬぬ、ない・・・。」


 これでなんとか帰還できるかな?そう思ったらコルトスターが意外な提案をしてきた。


「では、針を分けてもらうよう聞いてみるのはどうだろうか?」

「話ができる相手ですかね?」

「竜は基本的に慈悲深い生き物だ。なんとかなるだろう。」


 すごい希望的観測だけど、まぁ、いけなくもないのかなぁ・・・。とりあえず、その案に乗ってみることにした。岩亀から降りてヒュプノスたちに近づく。他に危険生物がいないか気を付けながら近づいた。


「汝ら、何者であるか。」


 ある程度近づいたところでヒュプノスがパッと起きて話しかけてきた。


「儂らはそのヒュプヌアカンタの針がほしくてこの密林をさまよっていたのだ!」


 おおっと、ジェーヴォ君それは直接的すぎやしないか・・・?機嫌を損ねていないか竜を見ても表情からは何もわからなかった。竜は怒りもせず、ゆっくり問うてきた。


「なぜだ?」

「それは・・・わぶっ」

「ジェーヴォ、これ以上余計なことを言うな!」

「不眠の者がおり、これ以上寝ないと死んでしまうからです。」


 コルトスターがジェーヴォを叱ると同時に僕はとりあえずの嘘をついてしまった。口から出まかせだが乗り切れるだろうか?


「ふむ、では我の鱗をやろう。この者たちの針を取ると、この者たちの戦う手段がなくなってしまうからな。我の鱗を額にかざし、魔力を通せばすぐに眠れるだろう。」


 でまかせで言ってみたら貴重なものがもらえた。目標のブツではないが、代用できないか後で考えてみよう。僕だけが鱗を取る許可を得たのでヒュプノスに近づく。


「汝は人族か?何故にウェアウルフと共に行動をしている?」


 竜鱗を剥ぎ取って居たらこそっと話しかけられた。竜鱗は大きくてすぐに剥ぎ取れないので嫌でも返事をしなければならない。


「奴隷なんですよ。まぁ、奴隷らしくない奴隷ですがね。」

「誇り高きウェアウルフが人族を奴隷にするとは・・・。時代が変わったのだなぁ・・・。」


 ヒュプノスはしみじみと言う。この竜も長く生きているのだろう。昔の誇り高いウェアウルフを知っているらしい。僕は今のウェアウルフしか知らないけどなんとなく想像できた。


「あなた何故この魔物たちを保護しているのですか?」

「単純な話だ。傷ついたところを彼らに救われたのだよ。」


 寝ていたヒュプノスは長い首を持ち上げ、遠い空を眺めた。昔を思い出しているのだろうか。そんな話をしていたらなんとか剥ぎ取れた。僕の両腕の長さ分はある楕円形の鱗だ。それを二枚もらった。これは額にかざすって言うよりか顔全体を覆うって感じだなぁ。


「マズい、さっきのアゲリマイモウがまだ追いかけてきていやがる!」


 レヴェリーが叫んだ。重い鱗を持って移動しようとするとヒュプノスに止められた。


「そこらのウェアウルフも我の下には入れ。」


 羽を広げヒュプヌアカンタと僕を包み込んだ。ジェーヴォたちは羽の中に急いで入ってきた。


「野蛮なるものよ、眠れ!」


 そう言い放った後、口から白い息を吐き出したのが見えた。あれが例の睡眠ブレスなのだろう。流石眠り流、瞬く間に猿の軍団が眠りについた。横を見るとジェーヴォが間抜けな顔をしていた。こんなのと戦おうとしていたのを反省しているようだった。


忙しくて更新が滞ってしまいました・・・。

ヒュプノスは種族名です。竜に名前を付けるという習慣はありません。

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