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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第2章 奴隷時代の憂鬱
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68.コスパ魔法


 今日は、スピラプースをジェーヴォと取りに行くことにした。城の近くの洞窟に住んでいる鶏みたいなやつだ。こいつの筋肉質な肉は硬くて食えないそうだ。肉は食えないらしいが、ガラスープにでもしたらうまいかもしれない。支度をしてから城を出て、ジェーヴォと2人で森を進むと広めの空間にたどり着いた。ちょっとダンジョンみたいで興奮する。これが洞窟なようだ。


「洞窟の奥の方にいるが一本道だから迷わずたどり着けるだろう。」


 ジェーヴォに従いながら洞窟の奥に進む。爆進する僕らに蝙蝠らしき生物が飛んできた。顔はサルっぽい。確か名前はペルペロッペだっけな。やけに「ぺ」が多いから覚えてしまった。集団でバサバサと飛んできてうざい。


「こいつら牙に毒があるから注意しろ!」

「了解!」


 わんさか湧いてきた蝙蝠もどきを両手の真空剣でばっさばっさとたたっ斬る。真空剣は手から魔力を出し、それを延長すればでかくできるので噛みつかれる心配がない。しかし、敵の数が多いのでたくさん斬らなければならない。出力の大きいワイド真空剣を両手で使っているから疲れそうだ。なんか一掃できるものはないか考えてみる。・・・あ、こいつら確か火に弱いんだったような。よし、あれを使おう!


「ジェーヴォ、どいてくれ!」


 そう言ってから口にとある実を放り込む。ジェーヴォはすぐに僕の後ろに下がった。口の中に入れたのはトハルの実と呼ばれめちゃくちゃ辛い実だ。魔法を使う際にはイメージが大事で、この実を使って辛さを火に変えるという魔法をのに使うのだ。消費魔力もぐんと抑えられるし、さらに広範囲攻撃が簡単にできる。口の中に広がる辛さを火に変える。竜もびっくりの火炎ブレスをあたりにぶちまける。すると、あたり一面火の海になる。火が収まると焦げ焦げのペルペロッペがあたり一面に散らばっていた。辛さは微妙に残るのがこの魔法の欠点だ。ものを使っているので魔術に思えるが、精神エネルギーを吸い取られる感覚があるので、おそらく魔法なのだろう。


「よくそんな辛いものを・・・。」

「正直、結構な苦行だけど、お手頃魔法だからさ。」

「儂には無理だなぁ・・・。」


 正直、僕も辛いのが得意ではないのであまり使いたくはない。しかし、コスパの良い魅力的な魔法だから仕方ない。そんなことを話しながら走って進むと奥に大きな鶏が一体いた。スピラプースである。僕の知っている鶏よりも大きく、僕と同じくらいの大きさである。足の見た目はまんまバネで、性質も見た通りバネである。めちゃくちゃ強力なバネで一弾みで50m程は跳べるらしい。しかも素早く。この力を使ってひ弱なファラのパワーを補うのだ。


 スピラプースは強い魔物らしくなかなか手ごわいと聞く。しかし、ジェーヴォがいるから恐るるに足らず!相手方がこちらを見つけると同時にこちらは奇襲をかける。ジェーヴォは左から爪で、僕は右から真空剣でそれぞれの攻撃を繰り出す。攻撃がヒットする直前にスピラプースがフンスと息を吐いた。すると、攻撃がぶつかったのになぜか無傷であった。


「くっ、離れろ!」


 ジェーヴォに言われたが反応しきれず、体当たりをもろに食らう。すごく痛い。岩壁に激突しさらに痛い思いをする。骨を折ったりはしていないが、痛みで体がうまく動かない。向こうでスピラプースが足のバネをギュッと収縮させた。これはやばい、あんな硬いのにすごいスピードで体当たりされたら、壁と奴に挟まれて中身が出てしまう・・・。奴が来る前に足に魔力を込め魔導アシストでどっかに跳んでいく。あわやミンチ、すんでのところで奴が跳んできた。壁にぶつかると止まったのだが、岩壁がえぐれている。こえぇぇぇ!!


「とりあえず回復するまで逃げろ!」


 ジェーヴォが囮になってくれるらしい。離れた位置にいたのにいつの間にか近くにいて僕の前に出た。その言葉に甘えて魔導アシストを使い最高速度で逃げていく。敵はジェーヴォに狙いを定めてバネを収縮させていた。ジェーヴォは避けようともしない。バネの収縮が解放されスピラプースが跳んでくる。しかし、ジェーヴォは雷になって敵より速くそれを避けた。雷が離れた場所に動いたと思ったらそこからジェーヴォが現れた。すごい!雷になって移動している!僕の魔法を昇華させたのか?あるいは魔導か?なんにせよ僕にはできなさそうな芸当だ。ジェーヴォもひそかな努力をしていたのだろう。すごい技を開発したもんだ。


 などと考えていたら鶏が跳んできた。危ない危ない、離れていなかったら避けられなかった。戦闘中は集中せねば。そう考えながら逃げ続ける。回避はなんとかできるが、攻撃に出られない。攻撃力の高い真空剣が通じないので困ったものだ。真空剣もジェーヴォの爪すらも通らなくなったのは何故だ・・・?考えてもわからないまま避け続けていた。


サクサク進めるために書いてませんが、戦闘技術の向上のためにアルはそれなりに実験しています。稽古もジェーヴォとよくします。

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