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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第2章 奴隷時代の憂鬱
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60.分け与える元気

 

 しばらくリリスの恐怖にうなされる日々が続いた。ついでに、コルトスターに会うのが恥ずかしいで部屋から出れなかった。食事はジェーヴォが運んで来てくれていた。ジェーヴォは気を使ってかあの日のことをあまり聞いてこない。そんな日が続いていたある日のことである。とうとうジェーヴォも僕の姿に痺れを切らした。


「なぁ、そろそろ儂と稽古せんか?もうアルが相手してくれなくて退屈なのだ。」

「すまん・・・なんか神様と対峙してから私がちっぽけな何もできない存在だと思い知らされてな・・・。」

「それは前にも聞いた!だからこそ鍛錬して倒せるようになるんじゃないのか?」

「あれは・・・無理だよ。倒せやしない。リッチーやコルトスターですらどうにでもならないのに・・・。」


 あれは魔力とか体力と精神力とかに縛られている人族や魔族では超えることができないだろう。何せ魂を縛り付けたとか意味不明なことを一瞬でやったのだ。しかも、なんというかオーラが違う。神々しさもあるが、それ以上に禍々しい。魔族にすら禍々しいとか感じたことがなかったのにアレにはそう感じたのだ。生き物全てを恐怖させる存在だと思う。


「儂はアルの言っていた魔法を使えるようになったぞ。」

「えっ?魔族は魔法を使えないはずじゃ・・・?」

「しかし、ずっと練習をしていたらできたぞ!アルの教え方が常識を打ち破ったのではない?」


 本に書いてあることは机上の空論なのだろうか?魔族も魔法を使えた。例のスタンガンだけではなく風の真空剣を使えるようになったのだ。ジェーヴォが例外なのかもしれないが、魔族に魔法が使えないことはないのだろう。新たな発見にちょっと元気をもらえた気がする。


「それにだ、アルは非常識な存在だ。そんな非常識なやつなら非常識な神にも知恵で対抗できるのだろう?」

「ハハハハ、確かに。私ならなんとかなるかもなぁ。でも、なんか失礼だなぁ~。」


 ジェーヴォに励まされて少し元気が出た。元気をもらったので部屋から出て見ることにした。食事で使った食器を片づけるため、ジェーヴォと食堂に向かった。部屋から出たときに他の人族の子たちに嫌な視線を向けられた。ジェーヴォは少しそれを気にしているようだった。



 ☆



「あぁ、アルさん部屋から出れるようになったんですね!最近、アルさんの教えてくれる新作がないから他のやつらが気を落としていて・・・。」


 テンスが食堂に来たことを喜んでくれた。どうやら他のみんなは僕の前世レシピを気に入ってくれてたらしい。様々なフレーバーのあるソーセージが人気らしい。というかウェアウルフは肉系しか食べない。


「なぁ、アル。コルトスター様が元気になったら来てほしいと言っていたぞ。」

「そうか。明日向かおうかな。今日は部屋に戻ってこの元気をさらに補充しなければね。」

「えぇ、せっかく動いたのだから一稽古して行こう!」

「そうなぁ、ちょっとだけなら・・・。」


 そういって中庭に向かってから稽古を少しした。風の真空剣は僕より綺麗にできており、ちょっとばかり悔しい気持ちになった。開発者より上手にできるって・・・。まぁ、努力がものを言うのだろう。僕はジェーヴォが練習している間さぼっていたのだから仕方あるまい。


 そんなこんなで練習を切り上げシャワーを浴び、風呂に入るとすぐに眠ってしまった。久々の運動で疲れたのだろうか。少しづつ元気が出てきたのでジェーヴォには感謝せねば。


ジェーヴォは人族の嫌悪の目に晒されながらもアルの食事を運んでいました。彼は本当は他の人族とも仲良したいのですから嫌悪の目を向けられるのを悲しく思っています。

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