表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第2章 奴隷時代の憂鬱
67/83

59.魔神の気まぐれ

 

「皆、逃げるぞ!」


 コルトスターが叫び、次元魔導を使って一人ひとり移動させていった。レヴェリー僕以外が瞬時に運ばれた。コルトスターの近くにいた仲間が先に移動したのだ。眼前のリリスという恐怖にさらされ、僕の心臓は飛び跳ねていた。


「アハハハハ、逃げるか。だが、これ以上は逃げさせぬ。」


 リリスが手を前に出した。すると、僕とレヴェリーは何かにとりつかれたように動けなくなった。金縛りみたいに動かない。魔法も魔導も使うことができなくて、ただつかつかと歩いてくるリリスを見ることしかできない。コルトスターはまだ来ない。


「な、なんだこれ・・・。」

「わらわは霊を司る神ぞ。そなたらの魂をそこに縛り付けておるのだ。」


 解説されてもどうしてそんなことができるのかはわからない。いっそ神様だからできるのかくらいに考えたほうが楽そうだ。リリスが眼前にやってきた。


「ほう、そなたよく見ると人族ではないか。しかも何やら珍しい魂を持っておるな。」


 リリスが僕の髪を掴み、顔が見えるように上を向かせた。金色の瞳が僕を捕らえて離さない。つい魅入ってしまいそうになるくらい恐ろしい瞳だ。怖いのに魅入ってしまうのが謎だ。しばらくリリスが僕のことをじっと見つめていた。


「我が神リリスよ、その者どもだけでもうち滅ぼし下さい。」

「そなたは黙っておれ。今わらわはこの者の魂の根源を探っておるのだ。邪魔するならばそなたを消すぞ。」


 大変なことになった。この禍々しいオーラを近くで浴びてもう限界なのに、まだやめてくれないらしい。もう泡拭いて倒れそうなくらいだ。ちびりそう。すると、隣のレヴェリーが視界の端から消えた。おそらくコルトスターが移動させたのだろう。


「ふむ、次元魔導が使えるのか。素晴らしいが、まぁ、そちらの者どもなど興味はない。そなたは・・・別の世界から来た魂か?」


 何を言われても言葉を返せる状態じゃない。威圧されてもうガクガクしているのだ。


「ふむ、恐れから声も出ないか。・・・そなたは逃がそう。」

「はっ・・・?」


 リリスが僕の髪を離すとリッチーがぽかんとしていた。僕もぽかんとしてしまう。


「気まぐれだ。もしそなたに神であるわらわが危害を加えたら他の神どもに干渉されてめんどくさそうだ。」


 ん?僕には神様の加護でもあるのかな?それにしては辛いこと多いんですが・・・。僕は緊張の糸がぷつんと切れ、その場に崩れ落ちた。その瞬間に漏れてしまったのは言うまでもない。


「アハハハ、そこの人よ、醜いぞ!アハッハッハ!」


 なぜか漏らしたことを盛大に笑われた。神様の気まぐれで救われたのだから何も言えないのだけれど。それ以前に恐怖は未だ体を支配していて体が動かない。


「それならば我が殺してくれよう!」


 リッチーの手から闇の魔導が撃ち出された。リリスはすでにどこかに消えていなかった。やばい、動けない。これはさすがに死んだかな・・・。目の前に黒い塊が飛んでくる。


「待たせたな。」


 声が背後から聞こえたと思ったら手が後ろから伸びてきて僕を引っ張った。瞬きをする間に僕らの住む城に戻っていた。間一髪のところでコルトスターの転移が間にあったようだ。


「最後になってしまいすまない。」

「う、う、うわぁぁぁぁぁ!!!」


 僕は怖さのあまり泣いてしまった。奴隷にされた時でもこんなに感情的に泣かなかったのに大声をあげて泣いた。なんでかわからないけどコルトスターに抱き着いて泣いた。もふもふしていて気持ちいものだから、泣きつかれたときに彼の胸の中で寝ていた。


フルパワーでもないのに神は魔族も人族も圧倒します。決して5歳児が倒せる相手ではないのです。

ちなみに、コルトスターはアルに抱き着かれて困惑しています。次元魔導の連発で疲れているのにしばらくはアルに胸を貸してあげていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ